【Advent企画】12/13:ソリ【410字小説】
「わー、綺麗なソリ」
薫子が感嘆する。
舞台の上には、金色の土台に銀色の模様が描かれたソリが置かれている。
くるみ割り人形の一幕ラスト。雪の精霊たちに見送られ、くるみ割り人形と主人公のクララは、お菓子の国へ向かう。その時に乗るソリだ。
大道具や舞台機構の可動テストを、客席から見学している。
「客席から見た時にこんな綺麗だと、テンションあがりますね」
「たしかに」
「乗ったら自分たちからは見えないから、見とけてよかったです。中はベニヤ丸出しだし」
「まあ、大道具だからな」
黒ずくめのスタッフが乗ったハリボテのソリが、ゆっくりと動き出す。
「それで」
薫子はわざとらしく咳払いをひとつ。
「今朝、美吉さんが乗ってきたソリの“運転手”とは、その後どうなってるんです?」
……見られてたのか。
ニヤニヤした横目に、舌打ちが出た。
なんだよ、ソリって。
「若いくせにおっさんみたいな例え方するのやめろ」
薫子は肩をすくめると、口笛で古いポップスを吹き出した。
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本文410字。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
古今東西、恋人はサンタクロース。
ちなみに書いてる四四田の脳内にあったのは、こっち。
薫子は四四田よりも若いと思うんですが、口笛ははたしてどっちのポップスだったのか。
この二人の話です。
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