韓国住宅の住文化10選|日本とこんなに違う韓国アパート
韓国に住んでみると、日本の住宅と似ているようで実は大きく違うことに気づく。
外から見ると、日本のマンションと韓国のアパートはよく似ている。しかし実際に暮らしてみると、そこには明確な空間文化の違いがある。
オンドル(床暖房)
リビング中心の間取り
キムチ文化とキッチン空間
巨大アパート団地
韓国住宅は単なる建物ではなく、生活文化を反映した空間として形成されている。
この記事では建築家の視点から、韓国住宅の住文化10の特徴を紹介する。
① オンドル(床暖房)が生活の基準
韓国住宅の最大の特徴はオンドル(床暖房)である。
床全体を温める暖房方式のため、生活の重心が床に近い。
そのため韓国では
床に座る
床で食事をする
床で寝る
といった生活スタイルが自然に生まれる。
椅子文化を中心に発展した日本住宅とは、根本的に異なる点である。

② リビング中心の間取り
日本の住宅は「廊下+個室」という構成が多い。
一方、韓国のアパートではリビングを中心に各部屋がつながる間取りが一般的である。
そして韓国住宅では、このリビングがかなり広く設計されることが多い。
その理由の一つが韓国の家族文化である。
韓国では
旧正月(ソルラル)
秋夕(チュソク)
などの節句のときに、親族が一つの家に集まる習慣がある。
祖父母や兄弟家族など多くの人が集まるため、大人数を受け入れるリビング空間が必要になる。
さらにこのリビングに連続する形で
キッチン
多用途室(다용도실)
補助キッチン
などが配置されることが多い。
多用途室は
洗濯
食材保管
調理補助
収納
などを担う、いわば家事のバックヤード空間である。
韓国住宅ではさらに冷蔵庫が二台以上置かれることも珍しくない。
その理由はキムチ文化にある。
一般の冷蔵庫に加えて、キムチ専用冷蔵庫(キムチ냉장고)が置かれる家庭が多いためである。
また韓国にはキムジャン(김장)という文化もある。
これは冬に向けて大量のキムチを作る行事で、家族や親族が集まり数十キロ単位のキムチを仕込む伝統的な習慣である。
現在では以前ほど一般的ではなくなってきたが、韓国の食文化を象徴する行事の一つである。
このような文化の背景から韓国住宅では
リビング+キッチン+多用途室
が一体となり、家族や親族が集まる生活の中心空間を形成している。
③ 靴を脱ぐ玄関文化と中門(중문)
韓国でも日本と同様に玄関で靴を脱ぐ文化がある。
ただし日本住宅と少し違うのが、玄関とリビングの間に設けられる中門(중문)の存在である。
中門とは玄関と居住空間の間に設けられるもう一枚のドアで、韓国のアパートや戸建住宅でよく見られる。
この中門にはいくつかの役割がある。
まず一つは断熱性能である。
韓国は冬の寒さが厳しいため、玄関から冷たい空気が直接室内へ入るのを防ぐ必要がある。
そのため
玄関ドア → 中門 → リビング
という二重の空間構成が採用される。
また中門には外部から室内が見えるのを防ぐプライバシーの役割もある。
さらに玄関スペースが狭い住宅では、三枚の引き戸タイプの中門が用いられることもある。
これは三枚の引戸をスライドさせて開く方式で、開口部を大きく確保できるため、引っ越しの際の大型家具や家電を搬入しやすいという実用的なメリットがある。
韓国住宅では玄関は単なる出入口ではなく、外部環境と室内空間を調整する緩衝空間として設計されている。

④ バルコニーの室内化
韓国アパートではバルコニーが半室内空間として利用されることが多い。
現在ではバルコニー拡張(베란다 확장)が一般的になっている。
これはバルコニー部分を室内側に取り込み、居住空間を広げる工事である。
その結果、バルコニーには
洗濯機
収納
サンルーム
などが配置され、生活空間の一部として使われることが多い。
⑤ 巨大アパート団地
韓国住宅文化を語るうえで欠かせないのが巨大アパート団地である。
一つの団地で
数千戸
場合によっては1万戸以上
という規模になることもある。
団地の中には
学校
商業施設
公園
運動施設
などが整備され、生活機能が集約されている。
そのため韓国のアパート団地は、ひとつの都市のような役割を果たしている。

⑥ 棟配置と日照を考えたアパート計画
韓国のアパート団地では、建物同士の配置計画が重要になる。
多くのアパート棟が建つため、住戸の日照や眺望が互いに重ならないよう配置が工夫されている。
従来の団地では、冬の寒さが厳しい気候条件もあり、太陽光を取り入れるために南向きの住戸配置が好まれてきた。
また韓国では
日照権(일조권)
建物間距離(동간거리)
などの法的基準があり、建物同士の距離や配置にも一定のルールが設けられている。
近年では都市の高密化によりタワー型アパートも増えているが、その場合でも日照や眺望を考慮した配置計画が行われている。
⑦ 収納より広さを優先する空間感覚
日本住宅は収納を細かく計画する傾向がある。
例えば
押入れ
納戸
床下収納
天袋
など、日本の住宅には多様な収納空間が存在する。
一方、韓国住宅では空間の広さを優先する設計が多い。
そのためリビング空間が大きく取られることが多く、住宅の中心的な場所として重視される。
収納は
壁面クローゼット
ウォークインクローゼット
などが設けられるが、日本住宅ほど細かく収納を分割することは少ない。
これは、家族が同じ空間で過ごすことを重視する生活文化の違いとも関係している。
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⑧ リビングとキッチンの一体化
韓国住宅ではリビングとキッチンが一体化した大きなLDK空間が一般的である。
日本の住宅でもLDKは一般的だが、韓国住宅ではより一体感の強い空間構成になっている。
これは家族の生活がリビングに集まる傾向が強いこととも関係している。
例えば
食事
会話
テレビ
来客対応
など、多くの生活行為がリビングを中心に行われる。
そのためキッチンは、単なる調理空間ではなく、家族の生活空間と連続した空間として設計される。
また最近の韓国アパートでは
アイランドキッチン
オープンキッチン
などが採用されることも多く、リビングとの一体感がより強くなっている。
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⑨ トイレと浴室が一体のバスルーム
韓国住宅ではトイレとシャワーが同じ空間にあるバスルームが一般的である。
床には排水口があり、シャワーの水が床全体に流れる構造になっている。
また韓国のアパートでは
リビング側に一つ
主寝室に一つ
という二つのバスルームを持つ間取りが一般的である。
さらに床が少し低く設計されていることもあり、水が外へ流れにくく排水もしやすい。
浴室サンダルを履く生活では、ドアにサンダルが引っかかりにくいという実用的なメリットもある。

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⑩ 団地が都市をつくる
韓国では住宅団地が都市構造の中心となる。
大型アパート団地には
商業施設
学校
公園
地下駐車場
などが整備されている。
多くの場合、車は地下駐車場に収められ、地上空間には広場や遊歩道、子どもの遊び場などが配置される。
つまり韓国では
住宅そのものが都市を形成している
とも言える。
まとめ
韓国住宅は日本住宅と似ているようで、実は大きく異なる。
そこには
オンドル文化
親族が集まるリビング
キムチ文化とキッチン
巨大アパート団地
といった独自の住文化が存在する。
住宅とは単なる建物ではない。
その社会の生活文化を映し出す空間でもある。
韓国住宅を理解することは、韓国社会を理解することにもつながるだろう。
はじめて読んでくださった方へ。
このnoteでは、建築、暮らし、時間、そして日本と韓国の住文化について、建築家の視点から記録しています。
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