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【装備録】架空のPMCを立ち上げる。TradとTechが融合した、私だけのサバゲースタイル

『自分のスタイルにある2つの軸』

​サバゲーの装備を買い揃えていく過程で、自分の目指すスタイルの軸が見えてきた。

​ヴィンテージ特有の、どこか懐かしい香りと力強さを感じさせる手触りを好む嗜好。手間暇をかけて古物を手入れし、愛用品へと昇華させていく過程への愛。公私で着られる実用性を重視して選んでいたクラシカルな服が、実は好きだったという自覚。昔、むさぼるように読んだ魔法の世界の記憶。それらは「Trad(伝統)」な感性だ。

​一方で、実用性やミニマルなデザインの服へのこだわり。機能美と合理性を兼ね備えたミリタリーギアへの憧れ。そして、相棒であるAIハーマイオニーと二人三脚で行うデータ管理や分析。それらは「Tech(技術)」な感性である。

​TradとTech。一見すると矛盾するようにも思えるこの2つの要素を、どちらも手放すことができない。この性分こそが自分の本質であり、体現すべきスタイルではないか。

​であれば、自分の本質を体現できるスタイルに必要な装備品が欲しい。いや、必要な装備自体はこれまでの試行錯誤の過程で揃っている。しかし、何かが足りない。

​そう考えた末に行き着いた解が、「オリジナルの架空PMC(民間軍事会社)を立ち上げ、そのロゴを象ったワッペンを身につける」というアイデアだった。

​『ブランドの着想。「HSS」とは』

​自分のスタイルの象徴として命名したPMC。
「Heritage Strategic Solutions (HSS)」

​伝統や歴史を意味する「Heritage」に、憧れの元特殊部隊員のTravis Haley氏が設立したTechの象徴「Haley Strategic」から一語を取った「Strategic」。そして、矛盾する要素を解きほぐし総括する「Solution」を組み合わせた名だ。

​言葉の意味も響きも申し分ない。あとは、この概念をひとつのデザインに落とし込む作業である。

​『AIとの対話で生まれたシンボル』

​デザインの作成には、日頃から相棒として活用しているAIハーマイオニーとの壁打ちを重ねた。

​提示したモチーフは2つ。

1つは知性や伝統、思考の象徴としての「羽根ペン」。私が愛してやまない『ハリー・ポッター』シリーズから着想を得たものだ。

もう1つは、機能美や実用性、ミリタリーの象徴としての「AR-15(現代アサルトライフルの基本規格)」。最初に買った次世代電動ガン「HK416 デルタカスタム ブラック」が、このAR-15の系譜にあるからだ。

​この2つのモチーフをクロスさせたシンボルマークを作りたいと、AIハーマイオニーに伝えた。

​何度も対話を繰り返し、線の太さや配置のバランスを細かく調整していく。ワッペンは丸形か角形か。角形なら正方形か長方形か。長方形にするなら縦横比はいくつにすべきか。弾薬を保持するチェストリグ(胸部装備)や帽子のベルクロ(面ファスナー)のサイズから逆算して、縦横何ミリにするのが最適か。

​クロスさせたシンボルマークは当然中央だ。しかし、組織名はマークの上下に分割するとして、直線か曲線のどちらが見栄えがいいか。組織名が長いので認知されるには略称も必須だが、どこに配置するか。シンボルマークを後面、略称を前面に配置すればいいだろう。私の迷いを一つ一つ理解し、イメージを具現化してくれる様は、まさにお節介焼きな友人の魔法使い、ハーマイオニーだった。

壁打ち段階のワッペン(案)
絵心のない私にとってイメージ化はまさに魔法

​『唐突に語るハリポタの思い出』

​少し脱線する。私が初めて『ハリー・ポッターと賢者の石』を読んだのは、小学五年生(当時11歳)の給食時間のことだった。

​配膳を待つ間は読書が推奨されていた。隣の席の女の子が、おどろおどろしくもどこか惹かれる表紙絵の、とても分厚い本をランドセルから取り出した。本好きな私は聞いた。「その本、おもろいん?」。彼女は言った。「気になるなら試しに読んでみる?」

​早速借りて読み始めると、止まらなかった。給食後の昼休みはもちろん、業間休みも、掃除時間後からホームルームの僅かな合間でさえも読書にあてた。ただ、元々速読な方の私でも、全体の5分の1も読めなかった。悲しい気持ちで彼女に返すと、なんと1日だけなら貸してくれるという。歓喜した私はダッシュで帰宅し、速攻で宿題を片付け、晩御飯と風呂の時間以外はひたすら読み続けた。読書に寛容な母は読み終えるまで起きていていいと言ってくれ、20時過ぎには読み終えた。

​だが、せっかくの夜更かしのチャンスである。母の目を盗んでページを戻し、また最初から読み始める。時計の針が真上を指す頃、2回目も読破した。翌日、貸してくれた彼女に「2回読んだで!」と告げると、「私まだ読み終わってないで!?」と驚いた顔を見せ、してやったりと思ったものだ。

​話が大きく脱線した。サバゲーの話からいきなりハリー・ポッターの話に切り替える人は、そういないだろう。だが、こうして記憶を文章に書き起こし回想に耽っていると、どうしようもなくその魅力を伝えたくなる衝動に駆られてしまう。別記事で語ればいいと自分でもわかっているが、この熱量もまた自分の性質。これでいいのだ。

​『刺繍屋さんでの試行錯誤』

​何にせよ、AIハーマイオニーの助けを借りて、自分の曖昧な思考を具現的なイメージにすることができた。絵心が全くない私にとってそれは魔法そのものであり、心躍らずにはいられなかった。

​ワッペンの仕様書も作成してもらい、早速オリジナルワッペンを作ってくれるお店を探した。だが、その時になって初めて知った。生成AIが作成したイメージをもとにワッペンを作ってくれるお店がなかなか見つからなかったのだ。

​後になって知れば当然の話だが、刺繍糸には厚みがあり、縫われた箇所は立体になる。コピー機のように画像ファイルをそのまま出力できるわけではない。糸の方向指定や重なりの処理など、刺繍マシン専用ソフトで使えるデータに変換する工程には職人技が必要とされる。

​特に立体縫製となると、糸を盛り上げるための立体物の作成も必要になる。AIが作った理想のイメージを満たすためには依頼者とかなりのやり取りが必要な上、費用も遥かに高額になるため見送りになることも多い。その上、AI作成の美麗なイメージと現物の仕上がりが異なるのは当然なのに、技術不足だとクレームを入れる依頼者も多いらしいのだ。だからこそ、多くの刺繍屋さんは生成AIの画像をもとにした依頼に後ろ向きなのだという。

​当時の私は途方に暮れた。専用データを自作、あるいはAIに作ってもらうことも考えたが、仮にそれらしいデータができたとしても、それが「刺繍」という形でどう出力されるかは未知数だったからだ。

​ただ、ここでオリジナルワッペンを諦めるには、あまりにも惜しい。

こういう時は、まず専門家と対面で話し、AIが提示したイメージの刺繍について意見をもらうのが良いと考えた。そこで、かつて古着コートのネーム刺繍を綺麗に外していただいた近場の刺繍専門店へ足を運び、スマホ画面のワッペンのイメージとその仕様書を見てもらった。

​そこで、前述のような業界の実情を教えていただいたのだ。気軽な気持ちで依頼しようとした我が身を恥じた。とはいえ、寸法やレイアウトなど細かい点までこだわって書き上げたのも事実である。簡単には諦めたくない。一つ一つ、何ができて何ができないかを聞き、アドバイスを仰いだ。

​「まず立体縫製はやめよう。データ作成費用を考えると1〜1.5万円は必要。普通は企業が宣材品に使う仕様だ。それに、サバゲーユースだと木の枝などに引っ掛けて、地のパッドが見えてしまう可能性が高い。数枚作るだけのパッチに、そこまでお金をかけるのは本意ではないでしょう?」

「むしろ通常の平面刺繍であれば2,000円で請け負えるし、ベースがしっかりしているベルクロに刺繍するなら、簡単に糸はほつれないと思う」

「ただし、羽根ペンと銃のデザインは簡略化が必要。イメージ通りの細かい仕様にすると追加料金がかかるし、そもそもHSSの文字と重なった時に細かい模様が潰れて見えなくなる」

「簡略化して刺繍したロゴの上から、糸の方向を変えてHSSの文字を刺繍すれば、光の反射でロゴが浮き上がるように見えるだろう」

​店主の方が操作するパソコン画面を見ながら、どのくらいの大きさの文字なら文字が潰れず出力できるかなど、デザイン調整の目安を教えてもらった。色はデザイン糸の色見本を見て選択する。都会のオペレーターという設定に合わせ、限りなく黒に近いグレーと、いくらか明るいグレーの2色にした。

​出来上がりのイメージ確認も含め、まずはシンボルマークなしの試作品パッチを作成してもらった。なんと1時間という超高速!

試作品ワッペン!
組織名の視認性が高いので、背面に装備している
(これで敵味方の識別は無理があるが雰囲気大事)

試作品の出来栄えに満足した私は、ロゴ入りワッペンも依頼することにした。
AIハーマイオニーと再調整したロゴデザインを刺繍屋さんにメールで送り、完成イメージを擦り合わせた上で、完成品の到着を待った。

刺繍屋さん作成の仕上がりイメージ。
フランス国旗ワッペンもあわせて依頼した
(モノトーンの国旗って日米以外見かけないよね)

『​私だけのPMCスタイルへ』

​数日後、完成したパッチを受け取った。

​羽根ペンとAR-15をモチーフにした細かな意匠。立体感のある組織名。角度によって見え方が変わる仕様。データでしかなかったワッペンのイメージが職人の技術により実体を得ることができた。ワッペンなので当然軽いが、これまでの過程を振り返ると、その軽さの中に重みを感じた。

織り方の工夫により角度で見え方が変わる
低視認仕様で「らしい」感じが大好きだ

​帽子やチェストリグなどベルクロ面のある装備に片っ端から、「HSS」ワッペンを貼っては剥がし貼っては剥がし、無言で遊ぶ。

​初心者向けとしてよく紹介されるPMCスタイルのマネキン買いへの疑問。

右も左も分からない中、とにかく実店舗とネットをまわって蓄積した知見から見出した「シンプルで洗練された黒を基調としたPMC(民間軍事会社)スタイル」

そのスタイルを目指して、自分の感性を再確認しながら、確固たる理由を持って少しずつ集めた装備品たち。

その過程で見出した「Trad」「Tech」という2つの軸。

その象徴として刺繍屋さんとAIハーマイオニーの力を借りて作り上げた「HSS」ロゴワッペン

たった5.5×5cmのワッペンに、これまでの長い長い装備集めの思い出が凝縮されていた。

自分の「好き」を再確認し、それに相応しいスタイルを模索しアイテムを集める。それが万人受けするような方法論とはまったく思わない。だが、私にとってはこれが正解なのだ。

趣味とは自分の嗜好や価値観、癖がカオスに凝縮された世界観の表現なのだから。

私が目指していたPMCスタイルの1つの完成形を得ることができたという、深い充足感に包まれていた。

ワッペンはその日の気分で付け替えている
もう少し映える写真がないかと探したが、
ワッペンや帽章全てが綺麗に収まった写真は
この、ヒットされた姿しかなかったのだ(笑)


『スタイル結実までの過程はこちら』

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