Quantum Observation Lab通信vol.26『記憶とは?』
Quantum(量子)Observation(観測)Lab(研究所)量子という目に見えない世界を観測により具現化する研究所として、発信していこうと思います。
略するとQOLとなり「Quality of LIFF(生命の質)」にも繋がります。
今回は、「記憶とは?」です。
前回の記事では、生命とAIについて考えてみました。
生命もAIも情報を扱っています。生命にはDNAがあり、AIには学習データがあります。生命には脳があり、AIには半導体があります。生命もAIも、情報を蓄積し、活用しながら機能しています。
その探究を続ける中で、次に気になったのが「記憶」という存在でした。
最近、あるニュースが目に留まりました。
半導体メモリメーカーであるキオクシアです。
社名の由来を調べると、「記憶(Kioku)」と「価値(Axia)」を組み合わせた言葉だそうです。
以前であれば、車や工場のような目に見えるモノが価値の中心だったかもしれません。
しかし今は違います。
AIの発展によって、情報を保存し、活用することそのものが巨大な価値を生み出しています。記憶が価値になる時代。
そんな変化を感じました。
考えてみれば、生命も記憶によって成り立っています。
DNAは40億年近く受け継がれてきた生命の記憶とも言えます。
私たちの身体は、その膨大な情報をもとに作られています。
脳もまた記憶を蓄積します。
歩き方。言葉。人との関係。成功体験。失敗体験。
私たちは記憶をもとに世界を理解しています。
AIも同じです。
AIは膨大な文章やデータを学習し、その記憶をもとに応答を生成しています。AIは自ら考えているように見えますが、実際には過去の情報の中からパターンを見つけ、次に起こりそうなことを予測しています。
私たちが使う予測変換を極限まで巨大化したような仕組みとも言えるかもしれません。
実は人間も同じようなことをしています。
過去の経験から未来を予測する。
以前うまくいった方法を選ぶ。
失敗したことを避ける。
私たちもまた、記憶を使いながら生きています。
しかし、ここに記憶の面白さがあります。
記憶は私たちを助けてくれます。
しかし同時に、私たちを縛ることもあります。
以前失敗したから、今回も無理かもしれない。
前例がないから、難しいだろう。
過去にそうだったから、今回もそうに違いない。
私たちは知らないうちに、過去の記憶を通して世界を見ています。
振り返ると、私自身も何度もそんな体験をしてきました。
今まで、苦手でできなかったから、これからもできないし、やらないだろうと。しかし、どうしても仕事でやらざる得なくなり、試してみたらできて、自分の苦手が解消されることがありました。
記憶とは、単なる保存ではないのかもしれません。
私たちが見ている現実そのものに行動に影響を与えているのです。
記憶を増やすことだけではなく、むしろ、必要な時に記憶から自由になることも大切なのではないでしょうか。
過去の成功体験。
過去の失敗体験。
肩書き。
常識。
思い込み。
それらは私たちを支えてくれます。
しかし同時に、新しい可能性を見えなくしてしまうこともあります。
AIは膨大な記憶を持っています。だからこそ非常に優秀です。
しかし基本的には、過去のデータの延長線上で予測を行います。
一方、人間は曖昧です。忘れます。勘違いします。思い込みます。
時には非合理な判断もします。
それは弱みのようにも見えます。
しかし、その曖昧さこそが前例のない挑戦や、新しい発想を生み出しているのかもしれません。
記憶は力です。
しかし記憶だけでは未来は生まれません。
過去を活かしながらも、過去に縛られない。
記憶を持ちながらも、記憶から自由でいる。
そんな在り方が、これからますます大切になるような気がしています。
次回は、「ホログラムを生み出す脳」というテーマについて考えてみたいと思います。
脳は外の世界をそのまま見ているのではなく、情報を再構成して世界を認識しているとも言われています。
私たちが見ている世界は現実なのか。
それとも脳が作り出した映像なのか。
ホログラフィーという考え方も交えながら、さらに探究を深めてみたいと思います。
今までのテーマのバックナンバー
vol.1『観測する自己を上げること』
vol.2『見ている先の情報が入ってくる』
vol.3『空間を意識する』
vol.4『結果に反応しない』
vol.5『無思考の潜在意識がもたらす影響』
vol.6『仕方ないからの脱却』
vol.7『振り返り、カタチにする』
vol.8『アフォーダンスと観測』
vol.9『情報の地と図を動かす』
vol.10『流れは行き先を知っている』
vol.11『地下の見えない世界が地上の見える世界を守っている』
vol.12『今までの延長線上にない”これから” 』
vol.13『 回転と光の照射』
vol.14『エネルギーの流れを見ようとする』
vol.15『強みを抽出する』
vol.16『偶察力』
vol.17『”ない”に潜むチャンス』
vol.18『エネルギーとは何か?』
vol.19『エネルギーの差が流れを生み出す』
vol.20『物理法則と共に生きる』
vol.21『私たちは何を見ているのだろう』
vol.22『情報は世界を書き換える』
vol.23『生命とは情報とエネルギーである』
vol.24『生命はなぜ秩序を維持できるのか?』
vol.25『生命とAI ~似ているからこそ違いが見えてくる〜』
