カノンアート 第一話
ここはアートを神に捧げる伝統がある世界。幼い頃に〈星〉を割る運命を告げられたカノンとその相棒のマーテは、本を探し星を救うため、旅に出る。
どこからともなく現れる影たち。『知る』ことが原因で人間の寿命は途方もなく伸びてしまった。人口が減っていく世界の中で、魔法を通してアートとは何かを二人は理解していく。
どこまでも美しい世界の終わりを描いたカノンたちの物語。
〈ある世界のある大きな町にて。〉
当時、まだ幼い少女が、その世界では1番大きいだろう町に住んでいた。その町はレンガでできている建物が並ぶとても綺麗な街並みで、ごくたまに訪れる者たちは皆息を飲んで言った。
「なんて美しいんだ。仕方ない、お願いです。私にもこの式の創り方を教えて下さい。」
空には美しい獣が飛んでいて、直視できないほどの煌びやかな神淵、と呼ばれる光がその星を照らしていた。繊細な魔法の式と、真似の出来ないような地面の、なんとも言えない模様は、この町の自慢でもあった。
だが、そんな美しい町がある山の奥の、赤で囲まれた神社の中で、お告げが下った。
『この世界はもうすぐ終わりの状態になる。町に住む、スパイスと名づけられた娘が、その鍵となるだろう。』
町の人たちはその神託を恐れ、また感謝した。それは、彼らがある事を知っていたからだった……
