【Vol.13】AI時代の転職活動|感情から始める自己分析。エピソードが思い出せない人へ
あなたの「しあわせ×キャリア」を応援!
株式会社KEY ROLE 代表、ウェルビーイング心理教育ナビゲーターの兼吉ともこです。
このマガジンでは、転職支援15年の経験をもとに、AIを活用した転職活動の方法を様々な角度からお伝えしています。
「自己PRに書くエピソードが思い浮かばない」
「強みと言われても、何も特別なことをしてきた気がしない」
転職支援の現場で、こうした声をよく耳にします。
実は、AIに「自己PRを作って」と頼むだけでは、誰にでも書ける『ありきたりな文章』になりがちです。
AIを本当に活かすための鍵は、あなたにしか語れない「生々しいエピソード」をインプットすること。
そしてその記憶は、出来事ではなく「感情」から引き出されます。
エピソードが思い出せない原因の多くは、「記憶力の問題」ではありません。「思い出すための入り口」を変えるだけで、簡単に思い出すことができるのです。
本記事では、そのヒントを、以下の流れでお伝えします。
出来事より、「どう感じたか」から始める
多くの人が自己分析をするとき、こう考えます。
「これまでの仕事で、何か成果を出したことはあったかな?」
でも、これだと思い出せない人が多いです。
なぜなら、出来事ではなく、感情から記憶は引き出されるからです。
心理学では「感情ラベリング」という方法があります。
これは、いまの自分の感情に短い名前(ラベル)をつけて言語化する、心理学のプロセスのこと。
例えば、
・一方的に責任を押し付けられ、理不尽さに怒りを感じた
・上司の言葉にショックを受け、やる気を失った
・ようやく受注できて、安堵と喜びを感じた
さらに、感情と一緒に、身体の感覚も観察することもおすすめですよ。
【例】
・先輩の活躍を聞いて興奮し、身体が熱くなった
・上司から部門縮小に伴う異動を告げられ、胃がキューッと痛くなった
・前任者から引き継いだ仕事を後任に渡すことになり、肩の荷が下りたようにホッとした
この感情のラベリングは、「いまの感情」を扱うことが多いのですが、過去の感情に対して行っても有効です。
その感情に紐づいた記憶や経験が浮かび上がってくる、というものです。
つまり、「何をしたか」ではなく「どう感じたか」を入口にすると、眠っていたエピソードが動き出すのです。
今回は、感情のラベリングでエピソードを思い出していき、その上で、AIを活用して、自己分析に繋げる方法をお伝えします。
実際のAIとの対話例
では、ここから実際に、どのようにAIと対話していくのか、事例をお伝えしますね。
Vol.12でも紹介しましたが、自己PRに「コミュニケーション力」をアピールする人がとても多いです。
でも、採用担当者には、伝わりにくい。
なぜなら、「コミュニケーション力」のイメージや捉え方は、ひとりひとり違うからです。
では、ここから実際に、「コミュニケーション力」の解像度をあげていきましょう。
感情ラベリングを使うと、こう変わります。
Aさん: 仕事で嬉しかったことや、喜びを感じたことを話しますね。
チームメンバーが悩んでいる時に、話を聞いて一緒に解決できた時が一番嬉しかったです。月1回、会社の意向で1on1をしていたのですが、多くのメンバーが同じ悩みを持っていることに気づいて、全員で共有する対話の場を作りました。それ以来、職場の雰囲気が明るくなり、離職率も下がりました。
AI: その経験から見えてくるのは「傾聴力」、個別の対話から全体の課題を見抜く「本質把握力」と、自ら場を作る「場づくり力」ではないでしょうか。会社の指示を超えて、自分で気づいて動いたところに、あなたらしさが表れていると思います。この経験を自己PRに活かすとしたら、どんな言葉で表現したいですか?
Aさん: 「メンバーの声に耳を傾け、個の悩みをチームの力に変えることができます」かな
AI: とても良い表現ですね。さらに具体性を加えるなら、「1on1での傾聴を通じて、個の悩みをチーム全体の課題として捉え、対話の場を設けることで職場環境を改善してきました」という形はいかがでしょうか。
固有スキル: 「コミュニケーション力」→「傾聴力と場づくり力」
その他、「本質把握力」
多くの人が「コミュニケーション力があります」と自称しますが、採用側から見ると具体性に欠けます。
AIにエピソード(事実と感情)を渡すことで、このように「どのフェーズで、どう発揮されるコミュニケーション力なのか」を客観的に分解・言語化してくれるのです。
この言語化が、採用担当者の印象を大きく変えます。
また、この方法は、エピソードがベースなので、面接でも、温度感をのせながら、自分の言葉で伝えられるメリットがあります。
感情ラベリング×AIで、自己分析を深める
私たち人間には、さまざまな感情があります。
それらの感情をキーワードとして、上記の例のように、これまでの経験やエピソードを振り返ってみましょう。
※問いは、兼吉作成です。
しっくりいくものをご自身で、 あるいは AIと共に創ってみてください。
まずは、ポジティブな感情から振り返ってみましょう。
出典:「ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則」
■ バーバラ・フレドリクソンの10種類のポジティブ感情
①喜び:どんな時に、心が弾んだ?誰かに感謝された瞬間は?
②感謝:感謝を感じたのは、いつ、誰に、どんな場面で?
③安らぎ:安心・リラックスして、力を発揮できたのはどんな時?
④興味:強く惹かれたり、集中できたことは?
⑤希望:困難な状況の中で、より良い状況を望み、乗り越えたことは?
⑥誇り:これまでの仕事の中で、誇れることは?
⑦愉快:仕事をしていて、楽しさや面白さを感じたのはどんな時?
⑧鼓舞:誰かや、何かに、感情を揺さぶられ、行動したことは?
⑨畏敬:大いなる存在や自然、偉大な人に影響を受けた経験は?
⑩愛:仕事で絆を強く感じたことは?
一方で、ネガティブな感情にも大切なヒントがあります。
不安や怒り、悲しみなどは、自分が何を大切にしているのかを教えてくれるからです。
■ 心理学者 ロバート・プルチック 「感情の輪」
・恐れ・不安系:不安、心配、緊張、恐怖、パニック
・怒り・不満系:怒り、イライラ、嫉妬、軽蔑、敵意
・悲しみ・喪失系:悲しみ、絶望、落胆、孤独、後悔
・自己評価系:罪悪感、恥、劣等感、無力感
全てに紐づけなくて大丈夫です。
「この感情を感じたことはあるな」とピンときたものや、転職活動で使いそうなものを、数個ピックアップしてください。
例えば、「不安」であれば、、、
「顧客に対して横柄な態度を取る風土や、新しいものを取り入れない社風に違和感を覚えていた。変化の多い時代に、このまま働き続けてよいのだろうか。そんな不安が転職を考えるきっかけになった」
このように、感情から思い出されるエピソードがあると思います。
特に、ネガティブなケースは、気落ちしないように。
客観的に捉えられて、気持ちが整理できているものを扱うことをお勧めします。
AIはあなたの「感情の通訳」になれる
このように、感情から始まる自己分析は、心理学的にも理にかなっています。
感情は、あなたが何を大切にしているか、何に価値を感じているかを正直に教えてくれるものだからです。
上記の感情以外にも、より細かな感情を見つけたい方は、NVC(非暴力コミュニケーション)の感情リストなどを参考にするのもおすすめです。
https://nvc-japan.net/data/Feeling&Needs+intention.pdf
出典:NVCジャパン・ネットワーク
AIは感情を言葉に変える、通訳のような存在になれます。
「うまく言えないけど、この経験は大切だった気がする」
そんな曖昧な感覚でOKです。
まずは想い出すこと。
そして、あなたの生きてきた人生経験そのものが、「キャリア」であることを知ってください。
AIと対話しながら、少しずつ、言葉にする練習をしていきましょう。
あなたのしあわせとチャレンジを応援しています。
このシリーズでは、転職活動の各場面で「AIとどう対話するか」を、一緒に考えていきます。Vol.1〜12もあわせてご覧ください。
【Vol.1】AI時代の転職活動|AIに職務経歴書を貼り付けて大丈夫?入れていい情報・いけない情報
【Vol.2】AI時代の転職活動|AIと対話しながら、自分らしいレジュメをつくる方法
【Vol.3】AI時代の転職活動|AIで仕事はなくなる?データから見えてきた"本当に価値が残る力"
【Vol.4】AI時代の転職活動|世界と日本のデータから、今の転職市場のリアルを知る
【Vol.5】AI時代の転職活動|「自分の軸」と「企業の軸」を、AIと一緒に繋ぐ方法
【Vol.6】AI時代の転職活動|「なんか違う」は、あなたの価値観を教えてくれるサイン
【Vol.7】AI時代の転職活動|「見つけてもらう」転職活動。SNS発信✕AI活用法
【Vol.8】AI時代の転職活動|AIの「幻覚」を知っていますか?転職活動で気をつけたいハルシネーション
【Vol.9】AI時代の転職活動|あなたの経験は、どんな未来に転用できる?
【Vol.10】AI時代の転職活動|採用担当者のリアルな声「AIレジュメをどう見ているのか」
【Vol.11】AI時代の転職活動|AIへの温度感から考える、自分に合う会社の見つけ方
【Vol.12】AI時代の転職活動|AI活用で内定率2倍?データが示す、転職活動の新常識
