組織変革の現場で最も使えるフレームワーク「新整合モデル(CCM)」の実践活用法、その重みと美しさ
組織変革の現場でよく直面する問いがあります。
「結局、なにから始めるべきか?」
戦略なのか、
人事なのか、
文化なのか、
それとも、そもそも目指す方向なのか。
この問いに向かうとき、
僕が最も使いやすいと感じているフレームワークは、
MIMIGURIが提唱する新整合モデル(CCM)
です。

世の中には、
McKinseyやBCGなどのフレームワークも
多く存在しますが、
変革の「見取り図」として
最もオススメしたいのは、このCCMです。
理由はシンプルで、
組織変革の議論を、最も自然な形で整理できる
からです。
ここから、
僕が実践しているCCMの活用法をご紹介します。
(注)僕はMIMIGURIのメンバーではありません。本記事は、個人的な解釈と経験談になります
ちなみに、
CCMが詳細に解説されている書籍『冒険する組織のつくりかた』は、「読者が選ぶビジネス書ランキング2026」でマネジメント部門賞を受賞しています。
CCMが世の中に広がりつつあることに、
僕も嬉しくなりました。
ビジョン策定の見取り図
CCMの中心ラインにある三つの探求、
・社会的価値の探求
・事業ケイパビリティの探求
・組織アイデンティティの探求
僕はこれを、
いわゆるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を、より実践的に分解したもの
だと理解しています。

変革プロジェクトは、ビジョン策定から始めることも多いです。
しかし、よくこんな場面に出会います。
「ビジョン=目指す姿って、要するに何?」
議論は活発なのに発散して、
声が大きいひとの意見に収まってしまう。
そんなとき、
CCMの中心ラインを使って、問い直します。
「今回の変革では、
社会的な役割・ミッションを、再定義したいのか
事業のケイパビリティ拡張を、打ち出したいのか
組織のアイデンティティを、問い直したいのか
どれが一番大事ですか?」
実際、これに助けられたことが何度もあります。
解くべき課題の見取り図
ビジョンの軸足が定まると、
最初にあった問い
「結局、どこから手を付けるべきか」
のため、見取り図(CCM)に目を戻すことになります。
中心ラインの各要素からは、
左右にそれぞれ、組織の構成要素が伸びています。
左ラインには
・事業構造
・組織構造
・業務構造
という「明示的な構造」。
右ラインには
・ブランド
・組織文化
・職場風土
という「暗黙的な文化」があります。

変革の現場では、
・構造が問題なのか
・文化が問題なのか
・それとも両方なのか
がごちゃまぜになって、課題認識されていることがほとんどです。
そこで、
中心ラインで変革の重心とした要素を起点にすると、
・どの構造から手をつけるべきか(左ライン)
・文化や風土がボトルネックになっていないか(右ライン)
といった問いを通じて、
課題の関係と優先度を整理することができます。

個々の自己実現との整合
そして、僕がこのモデルを
本当に良いと思っている理由が、もう一つあります。
CCMの中心ラインの一番下には、
個々の自己実現の探求
が置かれています。
組織のMVVがどれだけ立派でも、
人が、組織の方向性を理解することと、共感することは違う。
だからこそ、
個々の自己実現と組織の方向を、どう結びつけるのか
という問いは、
組織変革の核心だと思っています。

おそらく、この問いに完全な答えはありません。
ただ、CCMはこの問いから逃げずに、考えるヒントを与えてくれます。
変革の前提と向き合い方
僕は、組織変革の現場では、次の前提に立っています。
・組織の問題はすべて「場合によりけり」。大事なのは「何によりけりか」を見極めること
(マイクの法則、書籍『道端の経営学』より)
・そして、CCM上のあらゆる箇所が、 「人の主体性に火が点かない要因」になり得る
だからこそプロジェクトでは、
どこから火を点けるべきかを探すところから始めます。
具体的には、
クライアント内外のステークホルダーと対話しながら、
・関係者の現状認識
・その認識のズレ
・課題の構造
を整理します。
そのうえで、CCMの見取り図に照らしながら、
・どこに火が点いていないのか
・なぜ火が点かないのか
を見立てていきます。
※なお先に触れた通り、中心ラインを起点すべきケースが多い印象です

そして、その仮説に向かって走りながら、
次はどこに取り組むべきか見立て、走り続ける。
おそらく、
「人の主体性に火が点く組織づくり」は、
一度の検討・施策で終わるものではありません。
良きにつけ悪しきにつけ
状況が変われば、どこかの火は小さくなる。
だから、組織変革は
終わりのない探求の営みなのだと思います。
最後に
やっぱり一番難しいのは、
個々の自己実現の探求を、事業と組織にどう結びつけるか
だと思います。
僕自身、答えを持ち合わせていません。
とはいえ、
変革リーダーに火が点いていることが
必須条件であり、
その火が組織に拡がる仕組みと関係づくり
が勝負ではないかと思ってます。
CCMの重みと美しさ
CCMはこれ以上なく実践的なフレームワークなのですが、
なにより凄いと思うのは、このフレームから見え隠れする、
MIMIGURIメンバーの血が滲むような(もしくは相当楽しんでる)工夫の過程です。
改めてCCMを眺めてみると、
・経営を構成する全ての要素が、3つのラインで整理されている
(特に中心ラインは傑作で、クリエイティブジャンプが必要だったと推測)
・そして、すべての要素は因果の線で繋がり、
(しかも、見た目も左右対象になるように要素数、配置、因果が揃ってる)
・その上で、底にある内的ドライバーが、各要素に持ち上げられながら、頂上の外的アウトカムへ登っていく
まさに新「整合」モデル、と呼ぶに相応しい整合っぷり。
要するに、美しい。

こういうフレームは、
実践から得られた知恵をもとに、
既存のフレームを批判的思考で比較しながら、
書いては使ってみて書き直し、
書いては使ってみて書き直し
を繰り返さないと出来上がらない。
そしてほぼ間違いなく、そのプロセスは複数人で回しているはず。
1人のコンサルタントの知識と経験でつくるには、
網羅性と整合性が高すぎるから。
やたら現場の手触り感があるフレームで、
野中郁次郎先生のSECIモデルに近いものを感じます。

そんなCCMは、何年も前からバージョンアップを繰り返しているようです。
もしかしたら、今後さらに進化した姿を見せてくれるかもしれません。
ちなみに、もし僕だったら、
いまのCCMは土台としてそのままに、
あとは各要素に包含される論点を、枝別れする木のように広げていきたい、と妄想します。
参考文献
・安斎勇樹著『冒険する組織のつくりかた』(テオリア)
【経営と戦略の探求】
【自己探究を通じた人間理解】
