円でつながる旅の記憶
旅先で目に映るものを綴ることで
形を通じ記憶はつながっていく。宙に描かれた円。
緩やかな軌跡。風景に散りばめられた円の記憶が、
つながりあい、やがて円環となっていく。行く先々
で現れる円の重なりが、いつかの風景と響き合う。

本島に散りばめられたアートからアートへ

本島の北側に残る笠島地区に

時を刻む古い街並み。輝く空

板塀の沈んだ色に浮かぶ鮮やかな花や

通りにかかる杉玉は、風景をつなぐものでもあり

いつかの旅の軒先にも吊るされて
旅の色は輝きながら褪せながらも

旅の風景を彩っていく。芸術祭の秋会期にめぐる本島で

古民家に設置されたアートをたどる

建物が纏う時間と

施された意匠が持つ記憶に重ねられるように

空間にゆるやかな曲線が

弧を描きながら展開される
円でつながる2025年の旅の記憶

宙を描く曲線に沿って
瀬戸内海をめぐるように旅を続け

本島までたどりついた。円を描くステンレスは

大小の石とともに連なり
空間に浮遊するように重なり合う

石は重力から解き放たれたように宙に固定され

天体の軌道のような動きを表す

大胆な構成に、繊細な調整を感じさせる作品に

小さな空間に宇宙の広がりを感じる

歴史を支えた石の記憶と

交差する日本家屋の持つ記憶

空間に浮かぶステンレスのリングが描く円は
2025年の旅を象徴する円とつながり

繰り返される回転の運動は
過去の視点を呼び覚ます

建物が持つ記憶を増幅させるように

縦格子と光が折り重なる空間で
連続する形をたどれば

空間は反転するように動きを持つ

部屋の中央に設けられた鏡に映る空間は
実像と虚像をあいまいなものとさせる

目に映るものの確かさと不確かさを

体で感じながら、また振り返りながら

鏡に映る風景を思い

展開された空間を振り返り

アートでつながる風景を旅をする
本島に展開されるアートの力、場の力。線をたどり
形に沿って、関係性を拾い集めて旅をする。連なり
交差する形をつなぐ、過去の視点と現在の視点。
風景に身を沿わせては、形と言葉と関係づける。
それらは次なる旅の素材となる。過去の自分と共
にある旅。その繰り返しは未来の風景を形作る。
