SoFiの2026年はどこまで伸びるのか?見えていない成長と下振れリスクを検証【後編】
前回は、2026年のSoFiについて、すでに「見えている成長ドライバー」を整理し、業績の上振れ余地を確認した。
具体的には、
・会員数の拡大
・クロスセルの進展
・技術プラットフォーム事業の収益化
といった要素が、比較的早い段階で数字として表れてくる可能性が高いことを見てきた。
しかし、SoFiの成長ポテンシャルはそれだけではない。
今回は、まだ業績予想に織り込めていない「新たな成長領域」と、「見方次第で下振れにもなり得るポイント」、そしてマクロ環境を含めた前提条件について整理していく。
◆SoFiUSD
SoFiUSDは他のステーブルコインを寄せ付けない強みを持つことから、将来的には大きな収益源となる可能性がある。銀行発行のステーブルコインという特性を活かし、決済や資金移動のインフラとしての役割を担っていくことが期待される。
2026年は、その初期段階として、パートナーの拡大や利用事例の蓄積が進み、事業としての輪郭が見え始める年になると見ている。
ただし、現時点では
・発行残高が少ないこと
・収益モデルが十分に確立されていないこと
などから、業績予想に織り込む段階にはない。
一方で、限定的ながらも利用拡大に伴う収益の発生が始まる可能性はあり、今後の進展次第では、SoFiの「評価軸」、ひいては株価に影響を与える重要な要素となり得る。
◆法人向けビジネスバンキング
2026年4月2日に発表されたSoFi Big Business Bankingも、将来的に売上への寄与が期待される領域である。
SoFiは従来型の法人向け銀行というよりも、
・企業間送金やクロスボーダー決済を起点とした
・「資金移動インフラ」へと進化し、
・企業や金融機関が利用する“金融基盤(Bank of Banks)”
としてのポジション確立を志向していると考えられる。
さらに、
・法定通貨と暗号資産を単一の規制下プラットフォームで扱い、
・従来分断されていた資金移動を統合し、競争優位を築く構想も浮かび上がる。
これは、単なる法人口座の拡大にとどまらず、企業資金の滞留と資金フローそのものを取り込む構造を意味する。
ただし、こちらも現時点では収益モデルや規模が不透明であり、業績予想に織り込む段階にはない。
一方で、試験的な導入や限定的な利用拡大を通じて、小規模ながら売上への寄与が始まる可能性は十分に考えられる。今後の進展次第では、SoFiの収益構造そのものを変える起点となる可能性もある。
<上振れ・下振れのいずれもあり得るもの>
◆LPB向け融資額180億ドル・Credit Expansion向け融資額20億ドル
・2025年第4四半期の融資実績(36.6億ドル、年換算約145億ドル規模)を2026年に向けた現実的な達成可能ラインとして認識
・既存パートナーは全社契約延長済みでコミット増額例も多い
・新規パートナーと契約済み
・複数社が契約の最終交渉段階
という2025年決算発表における経営陣の発言を踏まえ、LPB・Credit Expansionの融資額合計を200億ドルと予想を置いている。
しかし、この200億ドルという水準に明確な根拠があるわけではない。思った以上に融資額が伸びなければ、業績の下振れ要因になり得る。
ただし、仮に融資額が160億ドルにとどまった場合でも、収益の下振れ要素は、収益化率を5.3%としているため「▲40億ドル×5.3%=2.12億ドル」である。よって、全体の業績に与える影響は限定的とも言える。
一方、
・年間1,000億ドルもの融資を断るなど、活かしきれていない巨額の需要があること
・LPB、Credit Expansionというスキーム自体は出来上がっていること
から、資金の提供者が見つかれば、融資額のさらなる増加が見込める。事実、先日総額36億ドルを超える複数の新規契約の発表がなされている。
<マクロ経済の前提>
最後に補足として、マクロ経済の前提にも触れておく。マクロ経済環境はSoFiの前提に沿い、以下を想定している。
・金利見通し: 2026年に2回の利下げがあり、年末時点の政策金利は3.0%~3.25%
・実質GDP成長率:約2.5%成長
・失業率:4.5%~5.0%の範囲
軽い景気後退、すなわち大規模な失業や深刻な金融危機を伴わない比較的穏やかな景気後退であれば、SoFiの業績悪化にはつながらない前提である。
現在のSoFiは、金利が下がれば、
・ローン需要の回復
というメリットを享受しやすい構造になっている。
一方、金利が高止まりすれば、
・利ざや(貸出利回りと預金コストの差)を確保しやすくなることに加え、
・SoFiUSDにとっては、高金利環境が追い風となる可能性が高い
SoFiは、ステーブルコインの裏付け資産(準備金)から得られる運用収益の最大95%をパートナーに配布する構想を掲げている。これはすなわち、金利が高いほどパートナー側の収益機会が拡大し、SoFiUSDを採用するインセンティブが強まることを意味する。
つまり、高金利環境は「エコシステム全体の拡大」を通じて、SoFiUSDの普及を加速させる方向に作用する。これはSoFiにとって非常に大きなメリットとなる。
なお、最近は中東情勢に加え、雇用関連指標にも弱さが見られる場面が増えていることから、景気動向が最大の下振れ要因と捉えている。
ただし中東情勢も、トランプ政権としても、今年の中間選挙を意識すれば、情勢の長期化は避けたいインセンティブがかなり強いはずだ。
これらを踏まえれば、
・長期化は避ける方向に動くこと
・それにともない原油・物価高も落ち着きを取り戻せば
・いずれ利下げも可能になり、
深刻な景気後退に陥ることは避けられると考えている。
今シリーズでは、長期にわたり、SoFiの2026年の予想を占ってきた。
結果、現時点では、EPS 0.70ドルという予想であるが、これが最終的な着地ではない。
前回と今回で示した上振れ要素を盛り込み、2025年8月に示したEPS 0.70ドル台後半という数字も今後の動向によっては、達成可能な水準に入ってくると見ている。
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