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夏休みの宿題|ひとりじゃない⑪

「将来の夢」、息子の前にはタイトルだけ書かれた原稿用紙。傍らの麦茶だけが減っていく。

そういえば私にも同じような作文の宿題があった。小学四年生の夏、テーマはやはり「将来の夢」。当時の私は迷わず書いた。「お母さんになりたい」と。でも、今の私はあの頃想像していた「お母さん」とは少し違う。夫はいないし、毎日時間に追われている。

「ママ、この作文、何書けばいい?」
困り果てた息子が聞いてきた。
「何になりたい?」
「わからない。ママは子どもの時、何になりたかった?」
「お母さんになりたかったの」
「え、もうなってるじゃん」
息子の素直な反応に私は苦笑した。当時はもっとリッチでセレブな暮らしを夢みていたのだ。◯◯なお母さんになりたい、と書けば良かった。

「よかったね夢が叶って」
そう言われて、はっとした。そうか、私はちゃんと夢を叶えていたのだ。完璧じゃないかもしれないけれど、確実に。

「そうだね。でもね」と私は続けた。「お母さんになった今も、まだ宿題があるの」
「どんな?」
「あなたを幸せにするっていう宿題」
そう、私の宿題は終わってはいない。この子の笑顔を守れるお母さんになりたい。

私の言葉に息子は少し考えてから言った。
「僕の夢は、ママを幸せにすることにする」
「ありがとう」
私も素直に応じた。

ママを幸せにしたい、と言っているこの子もいつかきっと他の誰かをもっと幸せにしたいと思うだろう。それで良い。宿題は、世代を超えてずっと続いていく。でもそれは重荷ではなく、希望なのだ。夏の午後、親子で向き合って宿題をしている。これが私たちにとってのかけがえのない時間。






ひとりじゃない――――――――――
シングルマザーの日常
雨の日のお迎え 🪑待合室の30分 😌お帰りなさい 
🌊どこから来たの 📆特別な日 ☂ひとつの傘
🫴伸ばした手 👤憧れの後姿 🌞36.5度の優しさ ⏱6時過ぎのお迎え
🍉夏休みの宿題 🌇夕焼け


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