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小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑥

レジ袋で地球を救えると思った国の有報開示

文・武智倫太郎

前回はこちら。

第1話はこちら。

あらすじ

前回は、日本企業が厳しい基準を競争力に変えてきた話をした。

Hondaの排ガス規制。

RoHSやWEEE。

食品安全。

医薬品。

航空部品。

耐震基準。

そして、AI政策における「緩い規制がチャンス」という危ない発想。

スコープ3もAIも、会社の外側を説明できるかを問う。

今回の主役は、レジ袋である。

日本では2020年7月1日から、全国でプラスチック製買物袋の有料化が始まった。

この政策は、レジ袋を通じて、使い捨てプラスチックやライフスタイルを見直すきっかけを作るものだった。

それ自体は悪い話ではない。

問題は、その先である。

レジ袋を断った瞬間に、地球を救った気分になる。

マイバッグを持った瞬間に、脱炭素に貢献した顔になる。

店頭から無料の袋が消えた瞬間に、国全体が環境先進国になったような気分になる。

良い子のみんな。

気分は大事である。

だが、有価証券報告書は気分で書けない。

はじめに

やぁ、みんな。

今日は、レジ袋で地球を救えると思った国の有報開示について説明するよ。

まず、誤解のないように言っておく。

レジ袋を減らすこと自体は悪くない。

無駄な使い捨てを減らす。

必要のない袋を断る。

マイバッグを持つ。

プラスチックの使い方を考える。

こうした行動は、入口としては意味がある。

入口としては。

ここを間違えると、入口に表札をつけただけなのに家を建てた気になる。

レジ袋は、環境問題の入口である。

出口ではない。

まして、決算説明会の主役ではない。

スコープ3の世界では、レジ袋は、もっと大きな問題の細い取っ手にすぎない。

その取っ手をつかんで袋を開くと、中から包装材、樹脂、ナフサ、物流、食品トレー、フィルム、容器、廃棄、焼却、リサイクル、輸出入規制、調達先、販売後の処理が出てくる。

大人の買い物袋は重い。

しかも、その中には排出係数が入っている。

レジ袋は見えるから政治にしやすい

レジ袋は、見える。

コンビニでも見る。

スーパーでも見る。

ドラッグストアでも見る。

弁当を買っても見る。

おにぎりを買っても見る。

雨の日には、傘袋まで見る。

見えるものは、政策にしやすい。

見えるものは、ポスターにしやすい。

見えるものは、テレビのニュースにしやすい。

見えるものは、国民に「やっています」と伝えやすい。

だから、レジ袋は便利である。

環境政策のマスコットにしやすい。

「袋を減らしましょう」

「マイバッグを持ちましょう」

「プラスチックを見直しましょう」

言いやすい。

分かりやすい。

小学生にも伝わる。

しかし、分かりやすい政策ほど、分かった気になりやすい。

ここが危ない。

レジ袋を断った。

ストローを紙にした。

スプーンを木にした。

店のポスターを緑色にした。

これで環境対策をした気になる。

あ、あんた、バッカじゃないの。

いや、丁寧に言おう。

それは入口である。

入口で記念撮影をしている場合ではない。

奥に工場がある。

倉庫がある。

輸送網がある。

樹脂メーカーがある。

包装メーカーがある。

焼却施設がある。

リサイクル施設がある。

有価証券報告書がある。

入口でマイバッグを掲げても、奥にある数字は消えない。

スコープ3では、レジ袋はどこに出るのか

では、レジ袋や包装材は、スコープ3ではどこに出るのか。

ここが本題である。

まず、カテゴリ1である。

購入した製品・サービス。

小売業や外食業が、レジ袋、食品トレー、容器、包装フィルム、紙袋、カップ、ふた、ラベル、梱包資材を買う。

それらの資材を作るために、原料が採られ、樹脂が作られ、紙が作られ、加工され、印刷され、納品される。

その上流の排出は、カテゴリ1に入ってくる。

次に、カテゴリ4である。

上流の輸送・配送。

袋や容器や包装資材は、勝手に店舗まで歩いてこない。

工場から倉庫へ運ばれる。

倉庫から店舗へ運ばれる。

食品や日用品と一緒に運ばれることもある。

この物流がカテゴリ4に関係する。

次に、カテゴリ5である。

事業から出る廃棄物。

店舗や工場で出る包装材の端材。

破損した容器。

使われなかった資材。

バックヤードで出る梱包ごみ。

食品残渣と一緒に出るプラスチック。

事業活動の中で捨てるものは、カテゴリ5で見る。

そして、カテゴリ12である。

販売した製品の廃棄。

商品を買った消費者が、容器や包装を捨てる。

弁当容器を捨てる。

食品トレーを捨てる。

菓子袋を捨てる。

詰め替えパックを捨てる。

ペットボトルのラベルを捨てる。

レジ袋を家庭でごみ袋に使ってから捨てる。

焼却される。

埋め立てられる。

リサイクルされる。

その処理がカテゴリ12に関係する。

このように、レジ袋一枚をまじめに見るだけでも、カテゴリ1、4、5、12が顔を出す。

袋一枚でこれである。

袋の中に入っている商品のほうは、もっと面倒である。

レジ袋を有料にしても、包装材は残る

レジ袋有料化で見落とされやすいことがある。

レジ袋は減っても、包装材は残る。

肉はトレーに乗っている。

魚もトレーに乗っている。

惣菜はパックに入っている。

弁当もパックに入っている。

パンは袋に入っている。

菓子も袋に入っている。

冷凍食品も袋に入っている。

米も袋に入っている。

洗剤はボトルに入っている。

シャンプーはボトルに入っている。

詰め替え用も、また袋に入っている。

レジ袋を断っても、家に帰るとプラスチックがある。

テーブルの上にある。

冷蔵庫の中にある。

ごみ箱の中にある。

分別ごみの日に、袋いっぱいに出てくる。

ここで、良い子のみんなは気づく。

レジ袋は、目立つ。

だが、プラスチック包装の世界では一部にすぎない。

企業のスコープ3では、この「一部にすぎないもの」だけを立派に語っても足りない。

必要なのは、全体の材料フローである。

何を買ったのか。

何グラムなのか。

何個なのか。

どの素材なのか。

どの国で作ったのか。

どう運んだのか。

どの商品に使ったのか。

消費者がどう捨てるのか。

どれだけ回収できるのか。

焼却か、リサイクルか、埋立か。

この話になると、レジ袋の3円や5円だけでは済まない。

買い物袋の値段ではなく、事業の材料設計が問われる。

レジ袋3円では、有報の数字は埋まらない

レジ袋を3円にした。

マイバッグ利用率が上がった。

店頭で「環境に配慮しています」と書いた。

ここまでは広報である。

有報開示では、その先を聞かれる。

プラスチック製買物袋の使用量は、重量でどれだけ減ったのか。

包装材全体の使用量は増えたのか、減ったのか。

紙袋や厚手の袋へ置き換えた場合、素材や重量はどう変わったのか。

バイオマス素材にした場合、原料、製造、輸送、廃棄の前提は何か。

リサイクル材を使った場合、その供給元と品質はどう確認したのか。

売った商品の容器包装は、消費者の手元でどう処理される前提なのか。

これらは、気分では答えられない。

レジ袋の辞退枚数だけを大きく掲げても、カテゴリ1の包装材購入量やカテゴリ12の販売後廃棄が見えなければ、スコープ3の説明にはならない。

レジ袋は、店頭では主役になれる。

有価証券報告書では、脇役である。

しかも、脇役のくせに証憑を要求してくる。

マイバッグにも前提がある

ここで、マイバッグの話もしておこう。

マイバッグを使うことは悪くない。

ただし、マイバッグも物である。

布で作る。

不織布で作る。

ポリエステルで作る。

ナイロンで作る。

綿で作る。

染める。

縫う。

運ぶ。

売る。

使う。

洗う。

捨てる。

素材によって、作るときの負荷も、使える回数も、洗濯の必要性も、廃棄時の扱いも変わる。

だから、「マイバッグだから常に環境によい」とは言えない。

何回使うのか。

どの素材なのか。

汚れたときにどうするのか。

破れたらどうするのか。

この前提で変わる。

良い子のみんな。

マイバッグは、お守りではない。

使い倒してこそ意味がある。

買っただけで環境意識が上がるなら、英単語帳を買っただけで英語が話せるはずである。

話せない。

単語帳は開かなければならない。

マイバッグも使わなければならない。

そして、有報開示では、マイバッグを持っている人の気持ちではなく、企業の活動量データが必要になる。

リサイクルは魔法ではない

プラスチックの話をすると、すぐにリサイクルが出てくる。

「リサイクルしているので大丈夫です」

この言葉は、環境会議の定番である。

もちろん、リサイクルは重要である。

使い終わった資源を戻す。

焼却や埋立を減らす。

資源循環を進める。

この方向は必要である。

しかし、リサイクルは魔法ではない。

集める。

分ける。

洗う。

砕く。

溶かす。

再生材にする。

品質を確認する。

もう一度製品にする。

このすべてにエネルギーとコストがかかる。

さらに、素材が混ざりすぎているとリサイクルしにくい。

汚れていると処理しにくい。

色や添加剤が邪魔になることもある。

多層フィルムは便利だが、戻すときに難しい。

便利な包装は、捨てるときに面倒な包装であることが多い。

ここが製品設計の問題である。

プラスチック資源循環促進法も、使う側だけではなく、設計、使用の合理化、回収、再資源化に関わる。

袋を断るだけではなく、製品と包装を最初から戻しやすく作る。

ここまで行かないと、スコープ3の数字は本気で下がりにくい。

紙に替えればよい、という雑な話

レジ袋を紙袋に替える。

プラスチックストローを紙ストローに替える。

プラスチック容器を紙容器に替える。

これで解決したように見える。

見える。

環境ポスターとしては美しい。

だが、炭素会計はそこまで甘くない。

紙にも原料がいる。

水がいる。

エネルギーがいる。

乾燥工程がある。

輸送がある。

重くなることもある。

水分や油に弱ければ、コーティングが必要になる。

コーティングすれば、リサイクルしにくくなることもある。

紙なら善、プラスチックなら悪。

この二分法は小学生向けにも粗すぎる。

小学生はもっと賢い。

大人が雑なのである。

重要なのは、用途に対して、材料、重量、耐久性、回収、リサイクル、廃棄、輸送、衛生、安全を見て判断することである。

有報開示に必要なのは、紙っぽい正義ではない。

根拠のある設計である。

食品小売のレジ袋地獄

食品小売で考えてみよう。

レジ袋を減らした。

それはよい。

しかし、食品小売のスコープ3はレジ袋だけではない。

生鮮食品の仕入れ。

加工食品の仕入れ。

冷蔵・冷凍物流。

包装材。

店頭の食品ロス。

売れ残り。

廃棄物処理。

消費者の持ち帰り。

家庭での保管。

商品の包装廃棄。

店の電力はスコープ2である。

仕入れ品や包装材はカテゴリ1に入る。

仕入れ物流はカテゴリ4に入る。

店から出る廃棄物はカテゴリ5に入る。

消費者が捨てる容器包装はカテゴリ12に入る。

レジ袋だけを減らしても、食品ロスが増えたらどうするのか。

包装を減らして、商品が傷みやすくなったらどうするのか。

トレーを薄くして、破損が増えたらどうするのか。

冷蔵効率を考えずに売場を変えたらどうするのか。

環境対策は、店頭の善意だけでは設計できない。

食品安全、物流、包装、在庫、廃棄、顧客行動が全部つながる。

だから、食品小売のスコープ3は、レジ袋を断る話では終わらない。

レジ袋は、売場の入口である。

本丸は、仕入れと廃棄である。

外食チェーンのプラスチック地獄

外食チェーンでも同じである。

テイクアウト容器。

カップ。

ふた。

ストロー。

スプーン。

フォーク。

ナプキン。

ソース袋。

持ち帰り袋。

デリバリー包装。

これらを大量に使う。

プラスチックを減らすと、環境に優しく見える。

しかし、容器が弱くなって汁漏れしたらどうするのか。

食品衛生は大丈夫か。

配送中に崩れないか。

電子レンジ対応はどうか。

温かいものと冷たいものをどう分けるのか。

紙容器に替えた結果、重くなり、輸送回数が増えたらどうするのか。

ここでも、材料だけを見てはいけない。

食品ロス、衛生、配送、顧客満足、廃棄処理まで見る必要がある。

スコープ3は、環境部が「プラスチックを減らしましょう」と言うだけでは動かない。

商品開発。

店舗運営。

調達。

物流。

品質管理。

法務。

フランチャイズ本部。

加盟店。

全部が巻き込まれる。

外食チェーンの環境対策は、厨房と配送バッグとごみ置き場で採点される。

表紙の緑色では採点されない。

メーカーの包装材地獄

メーカーも逃げられない。

商品を作る。

箱に入れる。

緩衝材を入れる。

フィルムで包む。

ラベルを貼る。

説明書を入れる。

段ボールに入れる。

パレットに載せる。

倉庫に運ぶ。

小売へ運ぶ。

消費者が開ける。

捨てる。

包装材は、製品の一部ではないように見える。

だが、販売に必要である。

壊さずに届ける。

汚さずに届ける。

偽造を防ぐ。

情報を表示する。

法令表示を載せる。

ブランドを見せる。

小売店で扱いやすくする。

包装には役割がある。

だから、減らせばよいという話ではない。

過剰包装は減らす。

必要な包装は残す。

素材を見直す。

分解しやすくする。

リサイクルしやすくする。

軽くする。

輸送効率を上げる。

ここまで考えて、やっと包装設計になる。

包装材は、見た目の環境配慮ではなく、製品ライフサイクルの一部である。

有報開示で聞かれること

では、有価証券報告書に向かうと、何が聞かれるのか。

第一に、温室効果ガス排出量である。

スコープ1。

スコープ2。

スコープ3。

そして、スコープ3ではカテゴリに分けた説明が問題になる。

第二に、算定範囲である。

国内だけか。

海外子会社を含むのか。

直営店だけか。

フランチャイズ店を含むのか。

製造委託先はどうするのか。

販売後の廃棄はどこまで見るのか。

第三に、算定方法である。

購入金額で見るのか。

重量で見るのか。

個数で見るのか。

サプライヤーから一次データをもらうのか。

データベースの排出係数を使うのか。

処理方法別の排出係数を使うのか。

第四に、前提である。

包装材はどの素材か。

廃棄時の処理割合はどう置いたのか。

リサイクル率は誰のデータか。

焼却時のエネルギー回収はどう見たのか。

消費者の捨て方はどう仮定したのか。

第五に、改善計画である。

どの素材を減らすのか。

どの包装を変えるのか。

どの取引先からデータを取るのか。

どのカテゴリの精度を上げるのか。

いつまでに何を変えるのか。

これが有報開示の世界である。

レジ袋を有料にしました、だけでは足りない。

環境ポスターなら通るかもしれない。

有価証券報告書では、数字の席に座れない。

サスティナぶる袋

ここで、サステナブルとサスティナぶるの違いを思い出そう。

サステナブルは、持続可能であること。

サスティナぶるは、持続可能っぽいことをして、持続可能な気分になることである。

レジ袋は、サスティナぶる企業にとって便利である。

写真にしやすい。

ポスターにしやすい。

社員キャンペーンにしやすい。

お客様へのお願いにしやすい。

「マイバッグにご協力ください」と言いやすい。

その一方で、仕入れ先の包装材データを取るのは面倒である。

商品別の容器重量を集めるのは面倒である。

廃棄時の処理方法を調べるのは面倒である。

海外子会社の包装材を集計するのは面倒である。

フランチャイズ店の廃棄物データを取るのは面倒である。

だから、サスティナぶる会社は、見えるレジ袋に逃げる。

サステナブルな会社は、見えない包装材に潜る。

ここに差が出る。

緑色のポスターを作る会社。

材料表を作る会社。

マイバッグキャンペーンで止まる会社。

カテゴリ1とカテゴリ12をつなぐ会社。

同じ環境配慮でも、まったく違う。

スコープ3は、この差を表に出す。

国の政策も、企業の開示も、入口で止まるな

国の政策として、レジ袋有料化は分かりやすかった。

国民に行動変容を促す入口としては機能した。

環境省の資料でも、レジ袋を使わない人を増やすキャンペーンが行われ、結果として目標を上回る行動変化が示されている。

それはそれでよい。

問題は、そこから先である。

入口で止まると、政策は「やっている感」になる。

レジ袋を断った。

でも、包装材全体は見ていない。

プラスチックの素材設計は見ていない。

廃棄物処理のエネルギーは見ていない。

焼却時の排出は見ていない。

リサイクル工程の負荷は見ていない。

輸入原料の上流は見ていない。

これでは、有報開示に耐えない。

企業も同じである。

店頭キャンペーンで止まるな。

調達に入れ。

設計に入れ。

物流に入れ。

廃棄に入れ。

取引先データに入れ。

有価証券報告書に書くなら、そこまで行く必要がある。

小学生向けのたとえ

最後に、小学生向けにたとえよう。

遠足に行く。

先生が言う。

「ごみを減らしましょう」

そこで、みんなはお菓子の小袋を一枚減らした。

えらい。

だが、リュックの中を見る。

お弁当の容器。

割り箸の袋。

おしぼりの袋。

ペットボトル。

ゼリーの容器。

お菓子の包装。

レジャーシートの袋。

濡れたタオルを入れる袋。

帰りのごみ袋。

小袋を一枚減らしても、リュックの中にはまだごみの未来が入っている。

ここで先生が言う。

「では、班ごとに、持ってきたもの、使ったもの、捨てたもの、持ち帰ったものを記録してください」

クラスは静かになる。

これがスコープ3である。

良い子のみんなは、ごみを減らすだけでなく、何を持ってきて、どこで使って、どう捨てるのかを見る。

大人のみんなは、それを有価証券報告書でやる。

遠足より怖い。

なぜなら、先生の代わりに投資家が来るからである。

本日のまとめ

第6話をまとめる。

レジ袋有料化は、使い捨てプラスチックを見直す入口として意味があった。

しかし、レジ袋を減らしても、企業のスコープ3は消えない。

包装材、容器、トレー、フィルム、物流、廃棄、リサイクル、販売後の処理が残る。

スコープ3では、レジ袋や包装材はカテゴリ1、カテゴリ4、カテゴリ5、カテゴリ12に関係する。

カテゴリ1では、購入した包装材の製造段階を見る。

カテゴリ4では、会社に入ってくる物流を見る。

カテゴリ5では、事業から出る廃棄物を見る。

カテゴリ12では、消費者が捨てる販売後の容器包装を見る。

レジ袋3円の話では、有報の数字は埋まらない。

必要なのは、素材、重量、数量、調達先、物流、廃棄時の処理方法、算定範囲、排出係数、改善計画である。

紙に替えれば終わりではない。

リサイクルすれば魔法のように消えるわけでもない。

マイバッグも、使い倒して初めて意味がある。

サスティナぶる会社は、見えるレジ袋に逃げる。

サステナブルな会社は、見えない包装材と廃棄の数字を取りに行く。

スコープ3は、環境政策の「やっている感」を、有価証券報告書の数字へ引きずり下ろす。

ここが、レジ袋で地球を救えると思った国の、本当の有報開示である。

次回予告

次回は、もう少し食品と包装の奥に入る。

小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑦|食品トレーとおにぎりフィルムの炭素会計

肉のトレー。

魚のトレー。

おにぎりのフィルム。

弁当容器。

惣菜パック。

食品ロス。

冷蔵物流。

衛生。

賞味期限。

廃棄。

小売と食品メーカーのスコープ3は、包装だけを減らせば勝てるほど甘くない。

包装を減らすと食品ロスが増えることもある。

食品ロスを減らそうとすると包装が増えることもある。

環境会議で全員が黙る、あの地味で嫌なトレードオフを扱う。

連載リンク

第1話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ①|有価証券報告書にCO₂がやってくる

https://note.com/aiethics496/n/n5467ae1329fa

第2話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ②|Scope 1・Scope 2・Scope 3は何が違うのか

https://note.com/aiethics496/n/nc397d8f23175

第3話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ③|CO₂調査票が来た会社の末路

https://note.com/aiethics496/n/nb823fd9a43e7

第4話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ④|スコープ3の15カテゴリは、全部読むと眠くなる

https://note.com/aiethics496/n/n385045ac862c

第5話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑤|厳しい基準で勝つ国、緩い規制で沈むAI

https://note.com/aiethics496/n/n219d91fc6a14

第6話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑥|レジ袋で地球を救えると思った国の有報開示

https://note.com/aiethics496/n/n587496f58475

第7話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑦|廃食油はどこにも余っていない

https://note.com/aiethics496/n/n9b8378886dcf

第8話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑧|水素は夢のエネルギーではなく運び屋である

https://note.com/aiethics496/n/ne0e33cc6ee07

第9話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑨|化学肥料が止まると、持続可能な農業は江戸時代に戻る

https://note.com/aiethics496/n/n16ed7ab944b4

第10話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑩|植林クレジットは木を植えれば終わりではない

https://note.com/aiethics496/n/nd0b21f6d8176

第11話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑪|AIデータセンターは電気を食ってCO₂を吐く

https://note.com/aiethics496/n/n88c755206bc5

第12話:小学生でもわかるスコープ3地獄 ⑫|企業は自社の外側を知らない

https://note.com/aiethics496/n/ndde4684c9afd

参考資料

経済産業省:プラスチック製買物袋有料化

環境省:プラスチック資源循環法関連

環境省:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律

環境省:Scope3排出量とは

SSBJ:サステナビリティ開示テーマ別基準第2号 気候関連開示基準

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