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『日本茶のすべてがわかる本』読み合わせノート 第7章 お茶の生産・流通・消費

お茶好きの二人、しずくとなみ。いろんなお茶屋さんに足を運ぶうちに、もっとお茶のことを知りたくなってきた。そこで日本茶検定の参考書の『日本茶のすべてがわかる本』を一緒に読み合わせてみることに。二人が気になったところを語り合う、そんなゆるい読書記録です。


お茶の銘柄を守る制度から、静岡と鹿児島の生産事情、碾茶シフトの最前線、流通の仕組み、ペットボトルの影響、そして世界のお茶消費まで。「お茶の産業」全体を俯瞰する第7章です。


📚 今回読む本

『改訂版 日本茶のすべてがわかる本 ── 日本茶検定公式テキスト』

▼ 全10章構成


1. お茶の銘柄を守る制度

地域名と商品名を組み合わせた農産物で、一定の基準を満たした農産物を「地域ブランド」として認定する「地域団体商標制度」……など、いろいろな認証制度が作られています。

伝統的な生産方法や生産地の地理的特性が、品質等の特性に結びついている産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し保護する「地理的表示(GI)保護制度」……に申請し、認定されるものが数多く出てきています。

なみ: お茶の銘柄を守る制度って、3つもあるんだね。地域団体商標制度、GI保護制度、地域食品ブランド表示基準制度。

しずく: そう。たとえば八女茶って、実は「八女茶」「福岡の八女茶」「八女抹茶」って3つの地域団体商標が登録されてるんだね。

なみ: GI保護制度の方だと、お茶で唯一登録されてるのが福岡の八女伝統本玉露なんだって。お茶で唯一って結構すごくない?

しずく: あと面白かったのが、製造した都道府県市町村名を商品につけて「静岡茶」とか表示する場合、その産地で作られた荒茶100%使ったものじゃないとダメなんだって。50%以上の場合は「○○茶ブレンド」って表示しなきゃいけない。

なみ: それは知らなかったなー。ちゃんとルールがあるんだね。


2. 山間地のお茶が美味しいのはなぜ?

山間地は平地と比べると日照時間が短く、気温も低く、さらに昼と夜の温度差が大きいのが特徴です。

茶芽がゆっくりと生長するため、うま味成分が長く保たれる効果があるといえます。

カテキン類が少なく、アミノ酸類は多くなる傾向があります。つまり、苦味や渋味が控えめで、うま味や甘味が多く含まれた茶葉に育つのです。

しずく: 山間地のお茶って「美味しい」ってよく言われるけど、日照時間が短くて気温が低いからこそ、芽がゆっくり育って旨味が蓄積されるんだよね。

なみ: 葉が一気に出るのではなくて、溜め込みながらじっくり成長するイメージなのかな。芽の状態を保ちながら時間を経過させるみたいな。

しずく: 逆に平地のお茶は日照時間が長くて、すべての味成分が適度な濃さで調和して、山間地より味が強くなる傾向があるんだって。だから山間地と平地を混ぜるとバランスがよくなるっていうのはありそうだよね。

なみ: 「山の香り」があるっていうのも書いてあったね。何だろう、まだピンとこないけど、気になるな。


3. 静岡と鹿児島、2大産地の意外な差

静岡県と鹿児島県が2大産地で、両県で全国の栽培面積のおよそ60%を占めています。

お茶農家の戸数については大幅に減少していますが、一戸当たりの栽培面積は増加しています。これは、お茶生産者の経営規模が拡大し、専業化が進んでいるためと考えられます。

なみ: お茶の生産量のピークって1975年だったんだね。10万トンぐらい作られてて、そこから減り続けて、2020年までに茶園が35%以上なくなってる。

しずく: 2020年時点で栽培面積は静岡が1万5200haで1位、鹿児島がその半分ぐらいの8360ha。でも荒茶の生産量だと静岡2万5200トンに対して鹿児島2万3900トンで、ほぼ追いつきそうだったんだよね。

なみ: 面積半分なのに生産量がほぼ同じってすごくない? そして2024年産ではついに鹿児島が2万7000トンで静岡の2万5800トンを抜いて、荒茶生産量で初の全国1位になったんだよね。

しずく: 鹿児島は温暖だから早くから摘んで何回も回せるし、1戸あたりの栽培面積が3.3haで静岡の1.2haの約3倍。平坦な土地で機械化して大規模にやってるんだよね。

なみ: 鹿児島ではお茶が重要な基幹作物だから、他の地域と違って栽培面積の減少がわずかに留まってるっていうのも印象的だったな。


4. 煎茶から碾茶へ──逆転する生産比率

煎茶(深蒸し茶を含む)が約37,000tと全体の約53%を占めます。次いで番茶が約22,000t、碾茶が約2,700t、かぶせ茶が約2,200t、玉緑茶が約1,800tとなっています。

碾茶は抹茶としての飲用の他に食材用としての需要が高まったため、生産量は増加しています。

なみ: 2020年時点だと煎茶がまだ53%で圧倒的なんだけど、碾茶の伸びがすごいんだよね。

しずく: 2025年にはついに逆転した。2026年も逆転傾向で、煎茶7割・碾茶3割だったのが碾茶7割・煎茶3割みたいな世界観になってきてる。抹茶の世界的な需要がものすごいからね。

なみ: あと意外だったのが玉緑茶。1800トンって、かぶせ茶とそんなに変わらない量が作られてるんだね。玉緑茶、確かにお茶屋さんでは取り扱われてるけど、かぶせ茶と生産量がそんなに変わらないのは意外だったなぁ。

しずく: 長崎の製茶工場に精揉機がないという話を聞いたことがある。ピンと伸ばす最後の工程の機械がないから、丸まったままの玉緑茶になるんだって。


5. 1番茶に年間収益の6割がかかっている

各茶期で最も生産量が多いのは一番茶で、年間の生産量の約40%を占めます。

茶生産者はこの一番茶の時期に年間収益のおよそ60%を確保しているだけに、一番茶は最も重要な茶期となります。

なみ: 1番茶は4 ~ 5月に摘んで、2番茶が6月、3番茶が8月、4番茶が9月、秋冬番茶。で、1番茶だけで年間収益の6割を確保してるんだね。

しずく: 味も香りも1番良くて高値で取引されるからね。でも2025年は秋冬番茶の取引価格が一番茶の価格が同じくらいになったってニュースがあったね。

なみ: えー、1番茶と最後の秋冬番茶が同じ値段!?

しずく: 抹茶用の碾茶の茶畑への転換が進んで、番茶の供給が不足したかららしいね。その辺の詳しい事情を聞いてみたいね。


6. 斡旋商と仲買商──お茶の流通は3段階

お茶の流通……は、基本的には、「生葉の流通」「荒茶の流通」「仕上げ茶の流通」の3つの段階に分けられます。

こうした大規模な集散地には、加工業者をはじめ、斡旋商や仲買商、包装資材業者、製茶機械メーカーなど、多くの関連業者が集まっています。

茶小売商の販売シェアは6割減少したのに対し、スーパーマーケットのシェアは2倍以上に増加し、茶の購入先のトップになった他、通販やインターネット販売でお茶を購入する人も増えています。

なみ: お茶の流通って、生葉→荒茶→仕上げ茶の3段階に分かれてて、それぞれの段階に色んな業者がいるんだね。斡旋商と仲買商の違いが気になった。

しずく: 斡旋商は農家と問屋の間で取引を斡旋する人で、茶葉自体は持たないからリスクはないけど手数料を得る。仲買商は自分で荒茶を買い取って、問屋や加工業者に販売する。在庫リスクを取るかどうかの違いだよね。

なみ: 今でもこういう人たちっているのかな。茶取引センターとかJAがやってるような役割に近いのかもしれないね。

しずく: 流通の図を見ると農協がいろんなところに入ってて、結構幅広くやってるんだよね。セリで売れなかったものを農協が買い上げるって話も聞いたことがある。

なみ: お茶の購入先も変わってきてるよね。茶専門の小売商が6割減って、スーパーが2倍以上に増えたんだって。今は通販も増えてきてるし。


7. ペットボトルの濃度は急須の半分

浸出液の濃度は急須で淹れた場合の半分程度のものがほとんどです。

ペットボトルのお茶は緑茶市場に大きな影響力を持つ存在になっているのです。

なみ: ペットボトルのお茶の濃度が急須で淹れた場合の半分って、結構衝撃なんだけど。

しずく: しかも実際に普通の人が淹れるよりもさらに薄いはずだから、実質もっと差がある。1杯150円ぐらいで茶葉から淹れてるのと比べたら、入ってるものが全然違うよね。

なみ: それに慣れちゃうと、急須で淹れたお茶が「濃い」って感じるんだろうね。リーフ茶の消費量が減ってる理由の1つに、食生活の洋風化とか嗜好飲料の多様化もあるらしいけど。

しずく: 「お茶好きです」って言う人がペットボトルを指してることも多いのは、もうそういう時代なんだよね。リーフの割合はもう半分以下だから。でも1回急須で淹れたお茶を飲んでほしいなっていう気持ちはある。真逆の体験になると思うよ。


8. 明治は外貨の柱、令和は抹茶で世界へ

明治の中・後期にあたる19世紀末 ~ 20世紀初頭には、アメリカやカナダなどを中心に2万t前後のお茶が輸出され、外貨獲得に大きな貢献を果たしました。

1人当たりのお茶の消費量で見ると、顔ぶれがガラッと変わってきます。トルコ、リビア、モロッコ、アイルランド、イギリスをベスト5に、香港、中国、カタール、スリランカと続きます。

中近東の国々で軒並みお茶の消費量が多いのは、イスラム諸国では原則飲酒が禁止されていることが関係していると思われます。

なみ: お茶が生糸と並んで外貨獲得の柱だったって、明治時代の話なんだけどちょっとびっくりした。2万トンも輸出してたんだね。

しずく: アメリカで粗悪品の摘発があって、そこから輸出が減少していったんだよね。戦後は援助物資の見返りで輸出が復活して、近年はまた抹茶を中心に輸出量が増えてきてる。2020年には5274トン。台湾とアメリカ向けが多い。

なみ: 輸入の方も面白くて、2020年だと54%が紅茶、30%が烏龍茶、緑茶が14%。自分たちで作ってないものは輸入に頼るしかないよね。輸入先は台湾が主だったのが、今は80%以上が中国。

しずく: 世界の1人当たり消費量のベスト5がトルコ、リビア、モロッコ、アイルランド、イギリスっていうのも面白かった。イスラム諸国で飲酒が禁止されてるからお茶の消費が多いっていう背景があるんだよね。

なみ: ケニアが紅茶の輸出量でめちゃくちゃ大きいのも意外だった。世界最大の紅茶オークションもケニアらしいよ。イギリスの植民地時代にインドから茶の木が持ち込まれたのがきっかけなんだって。


次回は第8章「お茶の歴史と文化」を読んでいきます。


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