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「休戦記念日」, "Armistice Day" (Paul Simon) 歌詞和訳

前回の「平和の流れる街」に続き, 今日も同じく Paul Simon 作, 同じく 1972年1月リリースのセルフタイトル・アルバム "Paul Simon" に収められた曲, 「休戦記念日」。原題は Armistice Day だから, 「平和の流れる街」("Peace Like a River")と違って, こちらは直球直訳の邦題。今回はこの「休戦記念日」の歌詞の和訳を。

いや, その前に前回同様の前口上, つまり, 「平和の流れる街」「休戦記念日」歌詞和訳の連続投稿の「なぜ」。それは要するに近頃のアメリカ(近頃どころか実際には遥か以前からの話, ただトランプのやることが露骨に過ぎるというだけで, 例えばバイデン爺さんのアメリカだって酷いもんだった), 何はともあれ「近頃」に関して言えば, それは前近代どころか石器時代のヒト属ホモ・ハビリス(脳の容量は現生人類の半分以下)の「お山の大将」にも及ばないようなドナルド爺さんのアメリカのせいで, というより, アメリカだけでなくアメリカとイスラエルのせいで, 世界は最早ほとんど崩壊前夜, そんなアメリカの惨状, ひいては「我が祖国」日本を含む世界の惨状を毎日見てるうちに, 半世紀以上前のおそらくは小学校6年になる前の春休み辺りから 長らく聴いてきた曲 Peace Like a River, 邦題「平和の流れる街」を, そして Armistice Day, 邦題「休戦記念日」を, 今またあらためて聴きたくなったということ。街に平和が流れる, そんな「流れる」ような言い回しに, 全くならない。


「休戦記念日」, "Armistice Day" (Paul Simon) 〜 歌詞和訳

"Armistice Day", 「休戦記念日」は 〜 アメリカでは "Veterans Day", 「退役軍人の日」

英語の Armistice Day は第一次世界大戦が終わった(1918年)11月11日の「休戦記念日」を指す場合が多いようだが, アメリカ人 Paul Simon は, アメリカにおける Veterans Day を念頭に置きながら, Armistice Day というタイトルの歌を書いたようだ(それに関しては次節を参照)。

Veterans Day も 由来はやはり第一次世界大戦の「休戦記念日」(11月11日)で, 当初は アメリカでも「休戦記念日」を意味する Armistice Day と呼ばれていたのだが, 1954年以来, アメリカでは Veterans Day(日本語で言うなら「退役軍人の日」あるいは「復員軍人の日」)と呼ばれるようになった。

"At the urging of major U.S. veteran organizations, Armistice Day was renamed Veterans Day in 1954", 要するに 退役軍人の組織からの要請で「休戦記念日」を意味する名称が「退役軍人の日」を意味する名称に変更されたというわけだ。"以来、その日は主として死者を称える「戦没将兵追悼記念日」を一部補完し、「戦時あるいは平時に兵役に服した存命中の退役軍人」を称えるための日として発展してきた" ということなのだが, 名称から受ける印象を想えば, 平和を祈念する趣旨よりも, 戦争における軍人を(「兵役に服した存命中の退役軍人」を, 5月の Memorial Day つまり「戦没将兵追悼記念日」で顕彰する戦死したアメリカ軍人・軍事行動で死去したアメリカ軍人と共に)国家に貢献した者として称える趣旨の方に変わった, そんなふうにも言えるだろう。この辺りは「戦争国家」アメリカらしい感じがする。

* イギリスなどにおける Remembrance Day も 第一次世界大戦の「休戦記念日」11月11日が由来であり, 戦死した軍人とほぼ同じ意味になる「戦没者」を追悼する趣旨の記念日になってはいるようだが, 少なくとも Remembrance Day という名称が与えるイメージは, そのものずばりのアメリカの Veterans Day と比べれば, 軍人・兵士だけでなく広く戦渦による犠牲者を悼み, 平和を祈念する趣旨がより感じられるように思う。

Paul Simon が この歌 "Armistice Day" で意味したもの

アメリカにおける Armistice Day(1954年以降は Veterans Day と呼ばれる)については, 前節を参照。

Paul Simon 自身はこう言っている。

“Well, Armistice Day is an old song, written in 1968 – the first part of it was. That song mainly meant, let’s have a truce. I chose the title because it’s not even called Armistice Day anymore, it’s called Veteran’s Day.

Armistice Day is like an old name, and I didn’t really mean it to be specifically about the war. I just meant that I’m worn out from all this fighting, from all the abuse that people are giving each other and creating for each other.”

Paul Simon (546)*

https://unmask.us/songwriters-q-s/paul-simon/

(試訳)(意訳)

休戦記念日 は古い曲で, 最初の部分は 1968年に書いたんだ。主に意味したのは「休戦(停戦)しよう」ということだよ。何故このタイトルを選んだのかというと, この日が今ではもはや 休戦記念日 とは呼ばれず, 退役軍人の日 と呼ばれているからさ。

休戦記念日 は要するに古い呼び名で, 僕はそもそもこのタイトルで 特に戦争だけに関して歌おうとしたつもりはないんだ。ただ, 僕はもうそういう戦争などの争い事とか, 人々が互いにやり合うような虐待がこの世界にあるということに疲れ果てた, うんざりしている, そういうことを言いたかったんだ。」

Paul Simon (546)*

* ”Paul Simon (546)" ということなので, この索引によれば, これは "The Rolling Stone Interview: Paul Simon, Rolling Stone Magazine, July 20, 1972.", つまり, 1972年7月20日付の Rolling Stone による Paul Simon へのインタヴュー記事(インタヴュー実施時期は 同年5~6月, この記事は同誌を Subscribe しないと全文読めない)からの引用。

一方, 前回の「平和の流れる街」歌詞和訳の際に書いたように,

収録アルバムは 1972年1月にリリースされているが, 録音は前年 1971年1月から 3月にかけてで, 曲が書かれたのはそれ以前の時期。Paul Simon 自身によれば, 例えば "Armistice Day" を書いた(書き始めた)のは 1968年だという。

一方, あのベトナム戦争の歴史を思い出すと, アメリカが ベトナムへの全面的な軍事介入を始めた, その理由としてアメリカ自らが仕組んだでっち上げのトンキン湾事件が 1964年8月, 最終的にアメリカ軍が 北ベトナム軍や南ベトナム解放民族戦線に敗北を喫し, 和平協定を結んでベトナムの地から撤退したのが 1973年1月(いわゆる「サイゴン陥落」は1975年4月30日)である。

Armistice Day が書かれた時期は, まだまだベトナム戦争の暗い影が世界を覆っていた時代にあったわけで, 少なくとも当時(本来 今の 2026年も同様のはずではあるが), Armistice なり「休戦」「停戦」なりが, 相当に重たい響きを持つ言葉であったことは間違いないだろう。

"Armistice Day" from Paul Simon's 1972 self-titled album 〜 歌詞和訳

Armistice Day from Paul Simon's self-titled album released in January 1972 🎶

英語原詞 https://genius.com/Paul-simon-armistice-day-lyrics

休戦記念日には (*1)
フィルハーモニー管弦楽団が演奏する
だけど 僕らが歌う歌は
悲しい歌になるだろう
茶色い調べをシャッフルさせて (*2)
辺りをさまよいながら (*3)

長ったらしく延々と続くような言い訳は (*4)
全くなかったよ
僕が 友達を必要とした時には, 彼女はいてくれたんだ
まるで 安楽椅子のように (*5)

休戦記念日
休戦記念日
僕が 本当に言いたかったのはそれだけさ

ああ, 待ちくたびれたよ (*6)
ワシントンD.C. でのことさ
僕の選挙区の議員さんに会いに来たのに (*7)
彼は 僕から逃げてるんだ (*8)
ワシントンD.C.で, ほんとに待ちくたびれたよ

ああ, そこの女性議員さん
あの議員に伝えてくれないかな
僕は ずいぶん長いこと待ったんだ
もうこれ以上待てないよって (*9)
ああ, そこの女性議員さん
あの議員に伝えてほしいんだ (*10)

… ♫ … ♫ … ♫

訳注
*1 On Armistice Day .. アメリカにおける Armistice Day の変遷や, Paul Simon が この歌 Armistice Day で意味したものに関しては, 前々節および前節(本章第1節および第2節)を参照。

*2 Shufflin’ brown tunes .. ここは解釈がやや難しい気もする。Shuffling は形容詞(「足を引きずって歩く」, 「ごまかしの」「言い逃れの」)にもなり得て, Shufflin’ brown tunes(, hanging around) で 例えば「言い逃れの茶色い調べ」(が「辺りをさまよいながら」)といった解釈も可能なのだろうか。

迷いつつ, 上の歌詞和訳では, the songs that we sing (will be sad) が, brown tunesshuffle させ, hang around しているというような受け取り方をしたのだが, 日本語でも歌詞や詩の解釈は容易でない場合がしばしばあるわけで, 外国語の歌詞や詩となると, それは尚更の感。

suffle が他動詞として使われているのなら, ここでは「混ぜる」「ごちゃ混ぜにする」あるいは ダンス(をすり足で踊る)やリズムにおける「シャッフル」。

*3 Hang around .. 「(当てもなく辺りを)ぶらつく」「ブラブラする」「うろつく」「徘徊する」, 「たむろする」, 「無為に過ごす」, 「まつわりつく」「つきまとう」など。上の歌詞和訳では, 「辺りをさまよう」意とした。

*4 No long-drawn, blown out excuses .. long-drawn は「長ったらしい」。blown out は「失敗して」「くたくたで」などを意味するフレーズで, blow out なら「吹き消す」「(風で)消える」, 「吹き飛ばす」, 「吹き出る」「噴き出す」など。long-drawn, blown out excuses は, やや意訳気味に「長ったらしく延々と続くような言い訳」とした。

*5 Just like an easy chair .. easy chair は「安楽椅子」で, 特に肘掛けの椅子を指す場合が多いようだが, 画像("Images")でググると, 実に様々。

*6 Oh, I’m weary from waiting .. weary from は「(~のために)疲れている」。

*7 I’m coming to see my congressman .. congressman は「(アメリカの)連邦議会議員」で, 普通は「下院議員」を指す(「上院議員」なら "senator")。my congressman という場合は(アメリカの)下院において「私の」「僕の」住む地域(選挙区)を代表する旨 選出された特定の下院議員を意味する。

*8 But he’s avoiding me .. avoid は「(人や物事を)避ける」「(人や物事に)近づかない」。he’s avoiding me は, このヴァースの文脈から「彼は僕から逃げてる」でいいしょう。

*9 I’ve about waited all I can .. 「(既に)待てるだけ待ったんだ」, 「もうこれ以上待てないよ」。

*10 Won’t you tell that congressman .. 同じヴァースの 2番目のラインと全く同じ英語ながら, 上の歌詞和訳においては, この繰り返しでは日本語の言い回しを変えてみた(その方が 日本語ではしっくりくる気がして)。

付録 1 〜 Paul Simon's 1972 self-titled album 全曲聴き倒し, 5曲(+)歌詞和訳つき

今日の Armistice Day が入り, 歌詞を和訳した同アルバム収録曲は 5曲。(+) とあるのは, 他のアルバムの曲の歌詞和訳も若干掲載しているから。

付録 2 〜 Paul Simon ライヴ・レポ, S&G ライヴ・レポ, Paul Simon アルバム 3枚レヴューもどき, 歌詞和訳 29曲 リンク集!

今日 歌詞を和訳した Armistice Day が入り, これまでに 29曲の歌詞を和訳, そのリンク集に, 上の見出しにある諸々を加えた Paul Simon 特集ノート。

「平和の流れる街」, "Peace Like a River" (Paul Simon) 〜 歌詞和訳

原題を直訳的に訳すなら「川のような平和」, あるいは「平和は川のように」。歌詞の冒頭 "Oh, peace like a river ran through the city" は「ああ, 平和が 川のように街を流れていた」。

流れるような, まさしく「流れる」ような, 流麗な Paul Simon の アクースティック・ギターのサウンドが聴ける曲, 邦題「平和の流れる街」。Paul Simon の Simon & Garfunkel 解散後のソロ第1作, S&G 時代の "The Paul Simon Songbook"(1965年8月リリース)を含めるとソロ・アルバム 2作目, 1972年1月24日リリースのセルフタイトル・アルバム "Paul Simon" に収められた曲, Peace Like a River, 今日はこの歌の歌詞の和訳を。

いや, その前にちょっと「前口上」しておくと, 近頃のアメリカ, つまり前近代どころか石器時代のヒト属ホモ・ハビリス(脳の容量は現生人類の半分以下)の「お山の大将」にも及ばないようなドナルド爺さんのアメリカのせいで(いやバイデン爺さん以前のアメリカだって酷いもんだったけどね, ともあれ)世界は, というより, アメリカだけでなくアメリカとイスラエルのせいで, 世界は最早ほとんど崩壊前夜, そんなアメリカの惨状, ひいては「我が祖国」日本を含む世界の惨状を毎日見てるうちに, 半世紀以上前のおそらくは小学校6年になる前の春休み辺りから 長らく聴いてきた曲 Peace Like a River, 邦題「平和の流れる街」を, 今また あらためて聴きたくなったというわけだ(全く「流れる」ような言い回しではない口上だ)。

下掲 note 前口上

「アメリカ」(Simon & Garfunkel), 「アメリカの歌」(Paul Simon) 〜 歌詞和訳

前説

いや, その前に前回同様の前口上, つまり, 「平和の流れる街」「休戦記念日」歌詞和訳の連続投稿の「なぜ」。それは要するに近頃のアメリカ(近頃どころか実際には遥か以前からの話, ただトランプのやることが露骨に過ぎるというだけで, 例えばバイデン爺さんのアメリカだって酷いもんだった), 何はともあれ「近頃」に関して言えば, それは前近代どころか石器時代のヒト属ホモ・ハビリス(脳の容量は現生人類の半分以下)の「お山の大将」にも及ばないようなドナルド爺さんのアメリカのせいで, というより, アメリカだけでなくアメリカとイスラエルのせいで, 世界は最早ほとんど崩壊前夜, そんなアメリカの惨状, ひいては「我が祖国」日本を含む世界の惨状を毎日見てるうちに, 半世紀以上前のおそらくは小学校6年になる前の春休み辺りから 長らく聴いてきた曲 Peace Like a River, 邦題「平和の流れる街」を, そして Armistice Day, 邦題「休戦記念日」を, 今またあらためて聴きたくなったということ。街に平和が流れる, そんな「流れる」ような言い回しに, 全くならない。

今日の前口上より

"American Tune" from Paul Simon's 1973 album "There Goes Rhymin' Simon", 歌詞和訳

拙者による訳, 略して「拙訳」。

「アメリカの歌」 〜 ピルグリムの船・メイフラワー、植物のメイフラワー、そしてナサニエル・ホーソーン「緋文字」を巡る不思議(?)な展開

"America" from Simon & Garfunkel's 1968 album "Bookends", 歌詞和訳

「アメリカ」(Paul Simon作詞作曲), その歌詞を読み解く試み

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