Missing - プロローグ 【創作大賞2026 ミステリー小説部門応募作】
あらすじ
主人公の深見錦がある日大学の講義から帰宅すると、自分の部屋で面識のない女、森川美麗が自殺していた。周りの力も借りてなんとかなった錦だが、訳の分からなさだけが残っていた。そして、彼女が何者で、何故自分の部屋で自殺をしたのか、その真実を知って納得したいと思い行動に出る。そうして出会った森川の親友である宇都宮さゆりと話し合い、二人で死の真相を探るべく「旅葬」をしながら彼女が生きた街を歩き、彼女を知る人と出会い、生前の彼女に迫っていく。周りから死ぬような人ではないと言われていた森川美麗が自殺した理由とは?そして、深見錦との関わりとはなんなのか?真実は、儚く悲しいものであった。
プロローグ 「追憶」
「深見錦くんで合ってるね?」
「はい。」
俺は問われた質問に正直に答えるのみ。なにも悪いことはしていない。
「じゃあ、ここ最近のことを教えてくれないかな?なにか変わったこととかは?」
うーん。そう言われても…。
一週間前のことは、講義の内容ですら怪しいくらいだ。特筆すべきことなんて、普通はない。
まあ、昨日の夜は、なかなか寝付けなかったことを覚えている。
寝るその時までは全くもって普通の一日で、なにかを予感させることも起きなかった。平凡そのもの。強いてあげるならコンビニでの買い物がちょうど合計1000円で少し「おっ」ってなった、それくらい。
寝れない理由もまるでわからなかった。別に体調が悪いわけでもなかったと覚えている。
たまにありますよね?こういう日って。
寝れな過ぎて冴え始めた脳内には就活に対する不安が流れ、それを払拭したいがために起き上がってキッチンに立った。
そして、深夜3時半ごろ、6畳半の一人暮らしの部屋にあるキッチンで半分ほど減ったどこのスーパーでも売っているような有名ブランドのウイスキー瓶を冷凍庫から取り出し、濃い目のハイボールを作って飲んだ。
そうそう、明日の朝飯に食べようとか思っていた夕飯の残りをつまみにしたんだった。
そしてハイボールを流し込んで再びベッドに向かった。
目が覚めると朝になっていた。
時刻は午前十一時。気づかないうちに寝れていたようだ。
酒の力も借りたしなんか悪夢を見た気がしないでもないが、アルコールの分解に自信のない肝臓に感謝をしつつ、午後の講義のために身支度をして家を出た。それがだいたい十二時ごろだったと思う。
「じゃあ、事件直前に家を出たんだね?」
「まあ、そうなりますね。」
事件発生が午後の一時過ぎのようなので、本当に俺が家を出てすぐのことだ。
当然俺はみんなと大学で講義を受けていたのでアリバイはある。大学の監視カメラにばっちりと姿が写っているはずだ。
「家の鍵が開いていたのは?」
そうだ。家の鍵をかけ忘れてはいたのだ。ただ、正直俺はこれをよくやってしまうので日常の一部でしかない。
「田舎の方出身で、結構忘れちゃうんですよね」
「ちなみに、どこ出身?」
「三重県です」
「ご両親もそちらに?」
「はい。祖父母と暮らしてます」
「ありがとう」
出身地など今回の事件に関係はないだろう。それでもここでは聞かれる。
死体の第一発見者が俺で、現場が俺の部屋なのだからこれぐらい詳細に聞かれるのは当然のことだ。それに、面識の全くない見ず知らずの女性が俺の部屋で自殺していたのだから、俺もそうだが警察もなにか手がかりはないかと必死なのだと容易に想像がつく。
考えることが多すぎて今にも脳がパンクしそうだ。頭が痛い。
当時のことを思い出すと吐き気が上がってくる。
「今日は友達の家に泊まるんだっけ?」
「はい」
現場は俺の家だがまだ現場検証が完了していないために、居場所を無くしたのだ。
その後は今後の流れを一通り話された。
また事情聴取を取られる可能性が高いこと、両親への説明がされること、管理会社や相手遺族も絡んで結構面倒くさくなる可能性が高いこと、等々。
正直、俺が殺したとかでは断じてないのでただの迷惑でしかない。
なんで俺がこんなことに……。
なぜか俺の部屋で知らない女性が自殺していた。
強烈な違和感はあるが、とりあえずまだなにもわからないので友達の家へと向かった。
現実味はミリもない。
作品リンク
第一章:Missing - 第一章「child」 【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第二章:Missing - 第二章「person」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第三章:Missing - 第三章「purpose」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第四章:Missing - 第四章「my friend」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第五章:Missing - 第五章「reason」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第六章:Missing - 第六章「place」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第七章:Missing - 第七章「myself」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第八章:Missing - 第八章「memory」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第九章:Missing - 第九章「link」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
第十章:Missing - 第十章「heart」【創作大賞2026ミステリー小説部門応募作】|逆倉青海
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