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ウクライナ戦争継続論への疑問

 武力侵攻を始めたロシアが悪いのであるから、ロシアが占領したウクライナの領土を返すまでは、ウクライナへの支援を続け、ウクライナ戦争は続けるべきという議論があるが、正しいだろうか。
 まず、ロシアが始めたというのはゼレンスキーの主張だが、それは正しいだろうか。先にミンスク合意を破り、戦争を始めたのはゼレンスキーではないのか?
 加えて戦争の継続については、ウクライナ国内から伝わる情報を見ると、厭戦気分は高まっており、そろそろ国民の忍耐は限界ではないかと思える。兵員不足から、強制的な徴兵が行われ、徴兵を逃れようとする人々も増えてという話がでて久しい。なのに、まだ延々と闘うべきだろうか。不満はあるだろうが、現在の状況で、一旦、武器を置いてはどうかと個人的には思う。
 そもそもロシアが悪いというのは、ゼレンスキーの主張である。経緯を時系列で並べると、2021年10月26日に親ロシア派に対し戦端を開いたのは、ゼレンスキーである。かつそこでゼレンスキーはミンスク合意の破棄を自ら宣言した。そのとき、欧米諸国はゼレンスキーを非難して、ミンスク合意を守り自制することを求めた。他方、このゼレンスキ―の行為に対して、ロシアはウクライナとの国境に大軍を終結させ、ウクライナを威嚇した。これは明確な警告で分岐点だった。ここでゼレンスキーは政治的決断を行い、ロシアと外交的な交渉を進めることで、ロシア軍の侵攻を回避することもできたように思う。ロシアが実際に侵攻するまで、4ケ月もの時間があったからだ。
 そして世界がロシア軍の動きを注視するなかで、ロシア系住民の保護を理由にして、ロシア軍の侵攻が始まった(2022年2月24日)。ゼレンスキーは自らミンスク合意を破りながら、ロシアがミンスク合意を守らなかったと非難する。しかしこれは矛盾している。ゼレンスキーはミンスク合意への国民の不満が高いことを利用して、ミンスク合意破棄を述べて親ロシア派と戦端を開き、国民の支持率を回復させたが、その結果、ミンスク合意の権威を自分で貶め、ロシアに侵攻の口実を与えていたからである。
 現在、開戦からすでに3年余りが経過。ウクライナにすれば、期待した戦果は得られず、ロシアの支配地域は拡大した。そして国内では厭戦気分が高まっている。とはいえ、妥協したくないので戦争を継続。これがウクライナの立場であることはわかる。ただ、戦争のそもそもの原因はゼレンスキーにある。ウクライナ戦争がなぜ始まったかについて言えば、ロシアが嫌うNATO加盟を唱え続けた末にミンスク合意を破り戦端を開いたのは、ゼレンスキーである。戦争を始めたものの、結果が悪かったので、いつまでも止めないのは、まるで子供のようだ。
 ウクライナでは、戦争開始時に総動員令を発令し、18歳から60歳までの男性は出国を原則として禁止した。しかし動員数は不足し、2024年4月には徴兵年齢を27歳から25歳に引き下げ、さらに5月に施行された改正総動員令では、18歳から60歳までの男性は個人情報の軍への登録を義務化している。徴兵を逃れようとする人が後を絶たないのが、実態のようだ。本音では、国民は戦争の継続をもはや望んでいない。もう停戦してはどうか。
 ところで日本では、戦争を始めたロシアが悪い、そのロシアが得をするような形でウクライナ戦争は終わるべきではない、だからウクライナを支援を継続しよう、という人がいる。しかし、この発言は、ウクライナがまずミンスク合意を破り親ロシア派を攻撃したことを隠しており、かつウクライナ国内で高まる厭戦の気分を無視している、さらに自身は安全な場所にいて、戦争を続けろという意味にもなるもので私には無責任に思える。ウクライナが善でロシアが悪といった戦争観を捨てて、戦争そのものに反対するという原則論に戻るべきではないだろうか。

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福光 寛  中国経済思想摘記 main page: https://note.mu/hiroshifukumitsu  マガジン数は20。「マガジン」に入り「もっと見る」をクリック。mail : fukumitu アットマークseijo.ac.jp