親の財産への詐欺対策|財産管理委任契約が使えるかも
🟩はじめに
親の頭がはっきりしていても、金融・セキュリティリテラシーがないと、詐欺に遭ってしまうかもしれません。
その対策の1つとなりうる財産管理委任契約のざっくり概要を説明します。
🟩うちにもオレオレ詐欺が来た

うちにも来たんです。息子である私のフリをした電話が。
「おれさ、病気になっちゃって。〇〇〇っていう病気なんだけど、今度入院しなくちゃいけなくて」
という内容。
電話を取ったのが元看護師の母だったので、
「〇〇〇っていう病気なら、入院じゃなくて、XXXと△△△という検査してからじゃないの?」
と専門的な質問したら、電話が切れたそうです。
この事件があってから、何か対策しないとなと強く感じました。
本記事ではその対応策の一つとなる、財産管理委任契約について、ざっくり説明します。
実際にやる場合には、必ず専門家に相談してください。
🟩終活関連の制度
∟ 終活関連制度の基礎知識を学んでおこう
∟ 銀行の代理人カードを知ろう
∟ 銀行の予約型代理人制度を知ろう
∟ 財産管理委任契約を知ろう ← いまここ
∟ 成年後見制度(任意後見)を知ろう
∟ 高い費用、自由がきかない法定後見リスク|家族信託で解決
∟ 遺言を知ろう
∟ 家族信託って何?利用者目線でざっくり解説
∟ 結局、どの制度を使えばよいの?
🟩財産管理委任契約って、何?
ざっくり言うと
「親が元気なうちに、信頼できる人にお金の管理を任せられる契約」
です。

財産管理委任契約ではこんなことを頼めます
銀行の入出金や振込
証券会社の有価証券の管理・処分
公共料金や税金の支払い
保険・年金の手続き
郵便物の受取
など
契約内容は自由に決められて、裁判所の手続きも不要です。
ただ、第三者に正式に契約したことを認めてもらうために、
公証役場で、公正証書を作ったほうが良いです。
ただ、本人について後見開始の審判が出ると、この委任契約は終了(失効)します。

🟩メリット
・両親が身体的な理由で動けないときに、代わりに対応できる。
頭ははっきりしていて、意思表示能力があるのですが、けが・病気で銀行に行けないなどの場合に、この契約を使用することで対応が可能になります。
・任せる範囲を自由に決められる
先ほど挙げた委任する項目は、全部委任する必要はありません。
本人がやってほしい項目だけお願いすることができます。
・裁判所に行かなくていい
成年後見制度は、裁判所が手続きなどにかかわってきますが、財産管理委任契約は、裁判所は関わりません。
面倒な裁判所との手続きはありません。
・家族でも専門家でも頼める
財産を管理してもらう人は、家族でも専門家にお願いすることも可能です。
🟩デメリット
・認知症が進むと使えなくなる
この契約は「本人に意思表示能力がある」ことが前提になります。
認知症が進んで、後見人が付くと契約が終了します。
・元気なうちしか契約を締結できない。
この契約は、本人の意思表示能力があるうちしか契約を結べません。
認知症になってから、この契約をしたいといっても後の祭りになってしまいます。
・銀行・証券会社が対応してくれないこともある
実は、財産管理委任契約書だけでは、手続きに対応してくれない銀行もあります。もしくは、代わりにできる手続きが制限されていたりなどです。
また、証券会社の実務では、委任契約“だけ”で売買・出金・移管に応じないことがあります。
各社の所定手続(後見届出、家族信託、投資一任など)を使う必要があります。
契約前に、必ず利用する銀行・証券会社に確認してください。
🟩 実際どうなの?(体験談)
▶️締結した理由
私の場合、家族信託を締結した時にお願いした司法書士の先生に提案してくれました。
親が身体的理由で動けなくなってしまったとき、念のためという位置づけで財産管理委任契約を締結しました。
なので、
・家族信託に預けた財産は、意思能力有無にかかわらず、家族信託で管理する。
・預けなかった財産について、意思表示能力があるうちは、必要に応じて、財産管理委任契約で管理する。
・預けなかった財産について、意思表示能力がなくなったら、任意後見契約で管理する。
という方針としました。

▶️いったん使ってみた
財産管理委任契約があれば、手続きできるのか、気になっていました。
なので、私自身が父の銀行にTELして、財産管理委任契約で、手続きができるか確認してみました。
結果としては、
「財産管理委任契約を使わなくても、普通に委任状を書いてくれれば手続きに応じます」
とのことでした。
たしかに、手続き次第では、元から委任状があれば、対応してもらえるものもあるので、財産管理委任契約がMustではないかもしれませんね。
委任状で済む手続きもありますが、銀行や手続の種類によっては“代理人カード/予約型代理人/所定の委任状+本人確認”が必要な場合があります。
▶️我が家のケースでの工夫
財産の管理を開始する条件を以下のように契約書に盛り込みました。
・本契約は、契約締結後、親が私に対して、財産管理を依頼しときに開始する。
・銀行のカードや通帳などを私に渡してから開始する。
・預かったときに、預かり証を発行すること
そうすることで以下のメリットがでるようにしました。
・管理開始の客観的起点を作る
私が預かった責任が、いつから開始されるのかを明確化できます。ただしこれだけで窓口・オンライン手続が自由になるわけではありません。
・物品の占有関係を証拠化
後日の「紛失・毀損・横領」等のトラブルがあったときに、何を預かったのか事実や範囲を明確にしやすい。
・詐欺・不正使用の予防
私が預かることで、両親がオレオレ詐欺にかかってしまうリスクを軽減できる。
🟩まとめ
財産管理委任契約は、「親が元気なうちに、信頼できる人にお金の管理を任せられる契約」になります。
自由な設計ができ、親の銀行キャッシュカードや通帳などを預かっておけば、一定の詐欺対策にはなります。
一方で、認知症になってしまうと契約が終了してしまいます。そのため、財産管理委任契約のみでの親の終活をサポートすることは難しいかもしれません。
🟩 結局、どうすればいい?
ここまで、以下のような対策をご紹介してきました。
・銀行の代理人カード
・銀行の予約型代理人
・成年後見制度(任意後見)
・成年後見制度(法定後見)
・家族信託
・遺言
・財産管理委任契約
では、こんないろいろあるけど、うちはどれを使えばいいの?
と疑問に感じられる方も多いでしょう。
次の記事では、何を使えばいいのか、実際にやってみた利用者目線からの個人的見解をお伝えします。
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