【5大ジュエラー編|第3話:カルティエ(Cartier)➖“王の宝石商”の革新と未来(後編)】
「ラブブレスの衝撃とカルティエの現代戦略を覗く」
1970年代に若者やセレブの心を捉えた“ラブブレス”が、世界のカップルを魅了する理由とは。さらにパンテールやタンクウォッチの新解釈、ハイジュエリー部門のアールデコ継承など、カルティエが現代でも最先端を行く根底には何があるのか。レッドカーペットやサステナビリティにも巧みに対応する“王の宝石商”が、21世紀でも王座を守り続ける秘密を解き明かします。
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●ハイブランド・ジュエリー編
①5大ジュエラー
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②ティファニー
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③カルティエ
前編 / 後編
④ヴァンクリーフ&アーペル
前編 / 後編
⑤ハリーウィンストン
前編 / 後編
⑥ブルガリ
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アールデコを超えて迎える新時代
「ユキくん、前編ではカルティエ(Cartier)の誕生やアールデコへの貢献、パンテールモチーフやサントスウォッチなどを深掘りしたね。今回は後編として、カルティエが1970年代以降にさらに世界を席巻したラブブレス(Love Bracelet)をはじめとする名作や、現代のハイジュエリー戦略、サステナビリティやデジタル対応などについて詳しく語っていこうか」
夜ふかしをする部屋でノートパソコンを開きながら、“うさぎ先生”の声に耳を傾ける。先生は闇の組織によってウサギの姿へ変えられてしまった元大学教授で、私(ユキ)の「ビジネスモデル調査ノート」を手伝ってくれる頼れる相棒だ。
カルティエは「王の宝石商、宝石商の王」と呼ばれ、ヨーロッパ王侯貴族との濃密な関係や、アールデコ様式の革新的ジュエリー、さらにはパンテール(豹)モチーフやサントスウォッチなど、前編でも話題が尽きなかった。今回はその続きを踏まえ、1970年代以降のラブブレス登場や、ハイジュエリー市場におけるカルティエの象徴的役割を深堀りしてみよう。現代ならではの取り組みであるサステナブルな宝石調達やデジタル時代のマーケティングにも注目しながら、5大ジュエラーの一角をなすカルティエの“今”と“これから”を見ていきたい。

【1】ラブブレス(Love Bracelet)の衝撃――若者市場とセレブを虜にした秘密
1.1 1970年代に登場した愛の象徴
「カルティエが持つクラシカルなイメージとは裏腹に、1970年代に発表された“ラブブレス”は若者やカップルに大きなムーブメントを起こしたんだよ」と先生はウサギの耳をやわらかく揺らしながら話す。
ラブブレス(Love Bracelet)は、ドライバーでネジを締めて着用するという斬新な仕組みが特徴。相手に着けてもらわないと外せない(あるいは着けられない)という設定が、“離れられない愛”を象徴するロマンチックなメッセージを放ち、一躍注目を集めた。
私(ユキ)は「なるほど。パンテールのような動物モチーフとはまた違った、シンプルでスタイリッシュなルックスですよね。ネジを締めるっていう行為が“永遠の愛”みたいで特別感を出してる…」と感心する。先生は「まさにそう。アイコニックなネジ頭のデザインがバングルの周囲に刻まれていて、ユニセックスに使える造形が受け入れられた。二人だけの秘密、というか“縛られた愛”を楽しむ感じが当時の若い層やセレブリティに刺さったんだ」と微笑む。
1.2 セレブリティとの相性と若年層のブーム
1970年代、ハリウッド俳優やロックシンガーなどがラブブレスを着けてメディアに登場し、その度に“あのカップルはラブブレスで愛を示している”とゴシップが沸き立った。先生は「カルティエがセレブを巧みに活用する戦略はパンテール時代からあったが、ラブブレスの場合は“二人の愛”をアピールするインパクトが大きかったから、雑誌や新聞に載るたびに爆発的な話題を呼んだ」と分析する。
アメリカやヨーロッパだけでなく、日本を含むアジアでも“ペア・ブレス”のように身につけるカップルが急増。今でも結婚指輪の代わりにラブブレスを選ぶ人や、記念日のプレゼントとして贈るケースが多い。私が「価格もカルティエのハイジュエリーほど高くないけど、十分ラグジュアリーな象徴ですし、若い人が憧れてローンを組んで買うなんて話も聞きますね」と驚きを述べると、先生は「そうさ。‘青い箱’のティファニーがブライダルで強いなら、カルティエは‘ラブブレス’で若者の心を掴んだという構図だ」と笑う。
1.3 ラブリング、ラブネックレスなど派生ラインとリニューアル
「ラブブレスが大ヒットすると、カルティエはラブコレクションとしてリング、ネックレス、イヤリングなども展開し始めたんだ。つまり、一つのアイコンを中心にシリーズを整備していく戦略だね」と先生。
ラブリングはブレスと同じ“ネジ頭”をモチーフにしており、指輪版の“愛の証”として売り出された。ネックレスやピアスもシンプルかつクールなデザインで、男性女性ともに使いやすい。1980~90年代には、こうした派生ラインを定期的にアップデートし、素材のバリエーション(ピンクゴールドやホワイトゴールド)やダイヤ入りのモデルを追加していった。
「まさにアイコニックモデルの拡張だね。パンテールやサントスウォッチとも同様の展開をしてきたけど、ラブコレクションは“恋愛・愛情”に直結するネーミングのおかげでブライダルやカジュアルギフトにも使いやすい。結果的に現在でもカルティエの売上を支える重要ラインになっている」と先生は説明する。

【2】ハイジュエリーの威光――芸術作品としてのカルティエ
2.1 “カルティエ・アーシェイプ”が魅せるダイヤモンドの魔力
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