シン・京都市長 信長 第八話
司会「財政再建についてはいかがでしょう」
京都市は、バブル期に建設した地下鉄と平成初期の大規模投資にともなう公債費負担で厳しい財政状況になっている。
坂本「歳出の見直し、大学発ベンチャー・伝統産業の応援、ふるさと納税に力をいれます。歳出の見直しは、現市長の方針を継承したいと考えています。予算を確保し、商工会議所の知恵と力を借りベンチャーの支援してまいります。京都の素晴らしい伝統産業品を、ふるさと納税の返礼品に積極的に採用します」
福田「市庁舎建て替えなどハコモノを見直し、宿泊税の値上げします。公共事業やハコモノ建設を中止または縮小する事で、数十億のお金が浮きます。宿泊税は現状2万円未満で200円、5万円以上で1000円程度、これを5倍~10倍に引き上げたいと考えています」
小田「令和の平安京を創設する」
司会「なんですかそれ?」
小田「東寺より南は、道路を大幅に広げ高さ規制を完全撤廃、超高層ビル・超高層マンション建設を可能にする。経済特区を作り、優良な企業を国内外から誘致する」
東寺は、かつての平安京の南の端になる。東寺の南、東西にはしる九条通をさかいに南北で高さ規制を変えるのだ。京都市は、景観保全の高さ規制のため、高層ビルや高層マンションが建てられず固定資産税が少ないのが問題になっている。
令和の平安京プロジェクトは、南エリアを大規模に創り変える。経済特区で可能な限り規制緩和し、国際競争力のある企業誘致、知的人材育成と交流、イノベーションの創出を促す。超高層ビルと超高層マンション建設で固定資産税を増やし、京都市内に住む家が無い問題も解決する。
「言うのは簡単だが、それこそ予算はどうするのだ」福田が聞いた。
「伏見の近くに首都を建設する」
首都?話が飛躍しすぎて福田も坂本も司会者も固まった。
「東京が大地震に襲われたり外国から武力攻撃をうけたら、日本は国家滅亡にも等しい大ダメージを負う。軽減するためには、首都のスペアを用意しておく必要がある。首都といっても大規模なものでなく、コンパクトで機能的で最新の通信設備を備えたものだ」
「何を言っているんだ、予算の事を聞いているんだ」福田ややイラついた。
「首都建設は国家プロジェクトだから国からの予算がメインになる」
「戦後、過密になった東京からどこかに遷都する議論はあるが、そんなのは現実味の無いおとぎ話だ」元国会議員の坂本は言った。
「遷都ではないスペアだ。国家存亡の危機がおきても、政治の停滞は許されない、100年先を見据えて0から街を創り直す覚悟が必要だ」
「首都のスペアが必要だとしても京都が選ばれるとは限らないだろう」福田は納得しない。
「日本で京都ほどふさわしい場所はない、理由は3つ、1.自然災害に強い2.日本第二の都市大阪に近い3.京都は1000年の都だった実績がある」
京都市内は、大地震がおきても内陸のため津波の心配は無い、近畿地方には活火山は存在しないため富士山噴火のようなリスクは無い、琵琶湖と豊富な地下水(琵琶湖に匹敵する量)で水不足になる心配も無い、大雪で都市機能が混乱する事もほぼ無い。
信長は続けた「京都市の都市計画と国家プロジェクトを融合させ南エリアを大規模に再開発する。これが令和の平安京だ」
京都市は、15年ぶりに大幅な都市計画の見直しをしている。京都駅南側で高さと容積率を大幅に緩和する「オフィス・ラボ誘導エリア」だ。
この若造の勢いにのみ込まれるのはまずいと坂本が割って入った。
「あのねぇ、大言壮語はいかんよ、道路一つ広げるのにどれだけ時間がかかると思っているんだ。政治経験が無いからそんな適当なことが言えるんだよ」
「田辺朔郎を知らないのか」
「田辺朔郎?」
1864年(元治元年)の禁門の変で京都の市街地の約半分が焼失した。さらに5年後、1869年(明治2年)太政官を江戸に移す事実上の遷都が行われた。天皇が京都を去ると同時に公家や商人も東京へ行き、京都の人口は2/3にまで減少した。
衰退する京都に活力を戻すべく、当時の京都府知事北垣国道は、新たな産業を創るため、琵琶湖の水を京都に引き込む琵琶湖疏水建設を推し進めた。建設費は、当時の京都府の年間予算の2倍いう、国家を巻き込んだ巨大プロジェクトだった。
琵琶湖疏水建設工事の主任技師に任命されたのは、大学を卒業したばかりの21歳の田辺朔郎だった。田辺朔郎は、若いながら職人をまとめ上げ、4年8ヶ月かけ難工事をやりきった。

「若いから出来ない、経験が無いから出来ない、とは先入観にすぎない。だから京都を知らないと言っているのだ」
坂本はムッとして何も答えなかった。
常識や理屈を持ち出し、難しいやら出来ないやら、変わってないな光秀、信長は心のなかで思った。
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京都生まれ・京都育ちの京都人。
2005年から「京都観光研究所」を運営しています。
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