第94回 北海道音楽大行進 大宴会
宴会が始まるまでの待ち時間のお飲み物が揃うまでの間に、ちょっとした読み物があればと思い、作成・配布した資料を再編しました。
「その10」は、2026年6月6日(土)開催の、第94回 北海道音楽大行進に参加の「旭川吹奏族」大宴会に合わせて執筆したものです。
(北海道北海道旭川市6条通9丁目右1「OMO7旭川」)
北海道音楽大行進
1929年(昭和4)に始まった北海道音楽大行進は、今年で94回を数えます。あと数年で100年を迎える、全国でも屈指の伝統と規模を誇るイベントです。その誕生のきっかけは、一人の青年が東京・渋谷で目にした「赤いズボンの軍楽隊」だったといいます。
その創生の端緒
吹奏楽団が音楽を奏でながら街を行進する姿には、人の心を高揚させる力があります。沿道の子どもたちが夢中で後を追いかける光景は、今も昔も変わりません。1924年(大正13)、東京・渋谷でその感動を体験した一人の青年がいました。後に旭川の音楽文化に大きな足跡を残す吉本孝義です。
当時、日本の吹奏楽文化の発展に大きな役割を果たしていたのが、陸軍戸山学校軍楽隊でした。同隊は軍の式典だけでなく、日比谷公園などで一般向け演奏会を開き、西洋音楽を広く市民に紹介していました。その源流は1869年(明治2)の薩摩軍楽伝習生に遡り、1871年(明治4)には陸海軍に正式な軍楽隊が設置され、後の戸山学校軍楽隊へと発展していきます。
渋谷で「赤いズボンの軍楽隊」を見た吉本は、その華やかな行進に強い衝撃を受け、「いつか旭川でも同じような音楽行進を実現したい」と考えるようになります。1926年(大正15)、旭川商業学校教諭となった吉本は、町井楽器店主・町井八郎にその夢を語りました。
北海タイムス旭川支局
転機となったのは1929年(昭和4)です。陸軍戸山学校軍楽隊による銀座行進の記事を見た北海タイムス旭川支局次長・竹内武夫は、「旭川でも同様の行進を行えないか」と町井に提案しました。さらに、地域文化活動の中心人物であった荒滝実(荒滝病院長)も賛同し、北海道招魂社例大祭に合わせた音楽行進の開催が決定します。こうして、北海タイムス旭川支局主催による「音楽行進」が誕生しました。
第1回音楽行進
1929年6月5日午後1時30分、第1回音楽行進は旭川駅から北海道招魂社(現・北海道護国神社)まで約4キロを行進しました。参加者は総勢200名余り、沿道には約5万人もの観衆が詰めかけたとされています。当時の旭川市人口は約8万3千人であり、この数字は街全体を巻き込む熱狂を象徴していました。当日は鉄道の増結輸送も行われ、旭川駅の利用者数も大幅に増加したと伝えられています。
この音楽行進の特徴は、軍・学校・企業・市民団体が一体となった大合同編成にありました。鐵道ダイヤ音楽団、旭川師範学校音楽部、朝日小学校音楽部、合同酒精音楽隊、旭川市民管弦楽協会、北斗写真館音楽部、旭川商業学校などの市内団体に加え、東川音楽会員、東神楽軍楽隊、明治屋北海ハーモニー協会吹奏楽団など、近隣地域からも参加がありました。さらに、第7師団喇叭隊として第26・27・28聯隊や特科隊から74名が参加し、27聯隊からは中ラッパ・大ラッパによるラッパ隊も加わっています。
聯隊行進曲(Marche du Régiment)
このとき演奏されたのは、陸軍戸山学校軍楽隊から楽譜を借用した、ベルギーの作曲家P.モルネーによる『聯隊行進曲(Marche du Régiment)』であったといいます。そこには、中央の軍楽文化と地方都市との結びつきもうかがえます。この曲は後に1964年東京オリンピック開会式でも演奏され、日本を代表する行進曲の一つとして知られています。
参加記念バッジ
第1回から参加記念バッジが配布されていたことも特徴で、この伝統は現在まで続いています。1929年に始まった音楽行進は、後に「北海道音楽大行進」として北海道を代表する行事へと成長し、現在まで受け継がれています。

憧れから今に続くイベント
東京で吉本孝義が目にした「赤いズボンの軍楽隊」への憧れは、やがて旭川の街を埋め尽くす「音楽大行進」へと結実しました。そしてその伝統は、およそ一世紀を経た今もなお、北海道の初夏を彩り続けています。

北海道音楽大行進関連記事
・北海道音楽大行進 その1
「吹奏楽年鑑 紀元2601年版」より
・北海道音楽大行進 その2
北海道音楽行進の誕生と展開 ― 軍楽から都市祝祭へ(1929–1953)
「北海道護国神社慰霊音楽大行進史 : 昭和4年~昭和23年」より
・北海道音楽大行進 その3
『旭川吹奏楽連盟五十年史』に基づき、音楽大行進が復活した昭和28年(1953年)の第21回から、第40回音楽行進 (復活第20回)昭和47年(1972年)の第40回までの歩みを整理して紹介します。
・北海道音楽大行進 その4
『旭川吹奏楽連盟五十年史』に基づき、昭和47年(1972年)の第40回音楽行進 (復活第20回)から 昭和54年(1979年)の第47回音楽行進 (復活第27回)までを紹介します。
・北海道音楽大行進 その5
旭川地区吹奏楽連盟ウェブ・アーカイブに基づき、昭和55年(1980年)の第48回音楽行進 (復活第27回)から、平成26年(2014年)の第82回北海道音楽大行進までを紹介します。
・第94回 北海道音楽大行進 大宴会
旭川吹奏族宴会配布物

HIRAIDE HISASHI
宴会関連記事
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その1 ブラスバンド宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その2 ファンファーレ宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その3 ブラスバンド宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その4 リサイタル後の宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その5 北海道家庭学校の宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その6 ブラスナイト宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その7 元職の総会後宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その8 ブラスバンド演奏会後の宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その9 ファンファーレSeason8宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その10 音楽大行進旭川吹奏族宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その11 管楽器講習会講師との宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その12 大学同窓会OB会宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その13 吹奏楽連盟の小宴会
