【Advent企画】12/14:スノーボール【410字小説】
スノーボール、というお菓子がある。
口に入れた途端に崩れる、ナッツの入ったクッキー。
クリスマスや新年を祝うためのもので、粉砂糖をまぶした丸みを帯びた形から、アメリカではスノーボール、フランスではブールドネージュという名前で呼ばれる。
どちらも「雪の玉」という意味だ。
そしてもうひとつ、スペイン語の名前もある。
それが『ポルボロン』。
美吉はこのお菓子を、スペイン語の名前で呼ぶ。
留学先のパリの言葉でも、活動拠点のニューヨークの言葉でもなく、“ポルボロン”と。
ひどく懐かしそうに。
そんなことを思い出した。
通りの向こう側、熱烈なハグを交わしている二人を見て。
時間を見計らって、美吉を迎えに来ていた。
約束はしていない。頼まれたわけでもなく勝手にやったことだ。
「ミヨシ!!」
暗くなった街に、聞きなれない発音の耳慣れた名前が響く。
振り向いた先、街灯に照らされて、知らない男が美吉を抱きしめていた。
顔面に雪玉をぶつけられたような気分がした。
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本文410字。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
別れていた間でも、美吉の活動拠点がニューヨークのバレエ団だったことを把握している男、妹尾。
この期に及んでニューフェイスを登場させる作者、四四田。
この二人の話です。
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