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埼玉大学教養学部 ― 元アドミッションコーディネータの視点で「大学が本当に求めている学生像」を読み解く ―

1. 学部概要

30秒でまとめると…

広く学んでから専門へ。「自分の問い」を育てる人文・社会科学の学部


学べる分野

国際関係、国際開発、社会学、地理学、文化人類学、哲学、芸術、歴史、ヨーロッパ・アメリカ文化、日本・東アジア文化、心理学、ジェンダー研究など、人間・文化・社会に関わる幅広い分野を学べます。

複数の分野に触れながら、自分の関心を専門的な研究へ発展させられることが魅力です。


注目の特徴

最大の特徴は、入学時に専門を固定しないことです。

1年次は幅広い入門科目などを学び、2年次から6専修・13専攻の中から専門を選択します。

講義だけでなく研究法、演習、実習、卒業研究へと段階的に進み、「広く学んでから深く掘る」カリキュラムになっています。


身につく力

  • 課題発見力:自ら問いを設定し、探究する力

  • 論理的思考・表現力:情報を整理し、自分の考えを伝える力

  • 多文化理解力:異なる文化や価値観を理解する力

  • コミュニケーション力:国内外の人と意思疎通する力

特定の職業だけに直結する学部ではありませんが、こうした汎用性の高い力を生かし、民間企業、公務員、国際協力、情報・メディアなど幅広い進路を目指せます。


元「中の人」のチェックポイント

「幅広い分野」「専門を後から選ぶ」「自ら問いを立てる力」の3点に注目したい。
単にいろいろな科目を学ぶのではなく、1年次に視野を広げ、2年次から専門を深めるのがポイント。
興味を一つに絞り切れていなくても、「人間や社会について考えたい」という好奇心があれば、その関心を大学で専門へ育てていける学部。


2. この学部に向いている人

この学部に向いている人の概要

埼玉大学教養学部に向いているのは、人間・文化・社会について幅広い好奇心を持ち、そこから自分なりの「問い」を見つけたい人です。

入学後に幅広く学んでから専門を選べるため、関心が複数の分野にまたがっている人にも適しています。


①「興味が一つに絞れない」を強みにできる人

「歴史も好きだけれど国際問題にも興味がある」
「社会学と心理学のどちらも気になる」

そんな人には、埼玉大学教養学部の仕組みがよく合います。
1年次には特定の専修に所属せず幅広い入門的授業を履修し、2年次から6専修・13専攻の中で専門的な学修を進めます。

たとえば…

  • 世界史を学ぶうちに、現代の国際問題にも関心を持った

  • 文学だけでなく、社会や文化についても学んでみたい

  • 大学で実際に学んでから専門分野を決めたい

大切なのは「やりたいことがない」のではなく、「興味がいくつもある」ことです。

幅広い関心を比較しながら専門を見つけられるため、将来の仕事も含め、自分の可能性を大学でじっくり探したい人に向いています。


② 当たり前を疑って「なぜ?」と考えるのが好きな人

教養学部が重視しているのは、知識を覚えることだけではありません。
アドミッション・ポリシーやディプロマ・ポリシーでは、自ら問題を設定し、論理的に考察・探究する能力が重視されています。

身近な出来事から疑問を見つけ、その背景まで考えてみたくなる人には魅力的な環境です。

たとえば…

  • ニュースを見て「なぜこの問題が起きたのだろう」と考える

  • 歴史上の出来事を現代社会と結び付けて考えるのが好き

  • 一つの問題について違う立場から考えることができる

こうした姿勢は、研究だけでなく、企業や行政などで課題を発見し解決策を考える場面にもつながります。

「正解を覚える」より「自分で問いを見つける」ことを面白いと思える人に向いた学部です。


③ 違う文化や価値観に出会うことを楽しめる人

教養学部では、多様な地域・時代の文化や価値観への理解を重視しています。
国際関係や外国文化だけでなく、日本・アジア文化、歴史、社会、文化人類学、ジェンダー研究などを通じて、「自分とは異なる立場から世界を見る」経験ができることも特徴です。

たとえば…

  • 海外の文化や生活習慣について調べるのが好き

  • 「普通」や「常識」が国や時代によって違うことに興味がある

  • 自分とは異なる考え方の人の意見にも耳を傾けられる

多様な人と働く機会が増える社会では、自分の価値観だけで判断しない姿勢は大きな力になります。

国際的な仕事に限らず、企業、行政、教育、メディアなど、人や社会に関わる幅広い仕事につながる素養を育てられます。


④ 外国語を「世界を知る道具」にしたい人

教養学部のアドミッション・ポリシーでは、「英語をはじめとする外国語を修得する意欲のある人」が求める学生像として明記されています。

外国語そのものを学ぶだけではなく、異なる地域の文化・歴史・社会を理解し、国内外の人々と意思疎通するための力として外国語を位置付けている点がポイントです。

たとえば…

  • 英語や外国語をもっと使えるようになりたい

  • 海外の社会や文化について原語でも学んでみたい

  • 留学や国際交流に挑戦してみたい

外国語を使って情報を集め、多様な人とコミュニケーションできる力は、国際関係だけでなく民間企業や行政などでも生かせます。

「英語を学ぶ」から「外国語を使って何を知るか」へ進みたい人に向いています。


⑤ 一つの答えがない問題をじっくり考えられる人

人文学・社会科学では、数学の計算問題のように一つの答えが決まっているとは限りません。
同じ社会現象でも、歴史、哲学、社会学、国際関係、文化など、視点を変えれば見え方も変わります。

埼玉大学教養学部も、幅広い知識と専門性の両方を身につけ、自ら問題を設定して解決する力の育成を掲げています。

たとえば…

  • 一つのテーマを時間をかけて調べることが苦にならない

  • 「別の考え方もあるのでは?」と考えることが好き

  • 本や資料を読み、自分の考えを文章にするのが好き

卒業研究まで進めるには、情報を集め、比較し、自分なりの根拠を示して考えることが必要です。

こうした力は、企画、調査、行政、報道など、答えの決まっていない課題に向き合う仕事でも生かせます。


逆に向いていないかもしれない人

次のような考え方の人は、別の学部を検討した方がいいかもしれません。

①「入学時から一つの専門だけを一直線に学びたい」人

教養学部は、1年次に幅広い分野を学び、2年次から専門分野を選択するカリキュラムです。
また、専門を決めた後も幅広い知識を身につけることが教育目標とされています。

最初から学びたい分野が明確で、それ以外にはほとんど関心がない場合は、より専門特化型の学部も比較してみましょう。

たとえば…

  • 大学1年次から特定分野だけを集中的に学びたい

  • 専門外の科目にはできるだけ取り組みたくない

  • 学びたい職業・資格と大学教育を直接結び付けたい

もちろん専門を持つこと自体は強みです。
ただし教養学部では、専門と幅広い教養を行き来することにも意味があります

自分が大学に「専門特化」と「学問横断」のどちらを求めるのか考えてみましょう。


②「大学を資格取得への最短ルート」と考えている人

教養学部の中心にあるのは、特定の職業資格の取得ではなく、人間・文化・社会を研究し、専門知識と課題発見・思考・表現などの力を身につけることです。
そのため、「この資格を取ればこの仕事に就ける」という明確なルートを第一に求める人は、資格直結型の学部とも比較する必要があります。

たとえば…

  • 大学で学ぶ内容より取得できる資格を最優先したい

  • 卒業後の職業が一つに決まっている学部を選びたい

  • 自分で進路を考えるより決められたルートを進みたい

反対に、進路が一つに限定されないことを「自由度の高さ」と捉えられる人には魅力があります。

大学で専門性と汎用的な力を育てながら、「自分の学びを将来どう生かすか」を考えていける人に適しています。


元「中の人」のチェックポイント

教養学部が求めているのは、入学時から専門が完璧に決まっている人とは限らない。
大切なのは、人や社会への好奇心を持ち、自分で考え、異なる価値観から学ぼうとする姿勢
「興味がありすぎて一つに決められない」という高校生も、その好奇心を強みに変えられる。

3. 学びの特徴

アドミッションポリシー

埼玉大学教養学部が求めているのは、幅広い知識を土台に、自分で問いを見つけ、多様な人と関わりながら学べる人です。

  • 高校までの学習を幅広く身につけている

  • 自分を成長させ、社会に貢献したいという意欲がある

  • 異なる地域・時代の人々や文化に興味と敬意を持てる

  • 英語をはじめ、外国語を学ぶ意欲がある

高校生活に置き換えれば、

「ニュースを見て背景まで調べる」
「歴史と現代社会を結び付けて考える」
「自分とは違う意見にも耳を傾ける」

といった姿勢が第一歩です。

大切なのは知識量だけではなく、幅広い関心から自分の問いをつくり、深く考えていこうとする姿勢です。


カリキュラムポリシー

教養学部では、いきなり専門分野だけを深く学ぶのではありません。

1年次に幅広い学問に触れ、2年次から6つの専修課程に分かれて専門性を高めます。
授業も、基礎講義から研究法、演習、実習、語学、卒業研究へと段階的に発展します。

また、履修計画は教員の指導を受けながら作成します。
「大学で何を研究したいか、まだ完全には決まっていない」という人でも、学びながら興味を絞り、専門へ進める仕組みになっています。


ディプロマポリシー

卒業までに目指すのは、「広い教養」と「深い専門性」を組み合わせ、それを実際の問題に生かせるようになることです。

  • 専門分野を深く理解し、自分で研究できる力

  • 人文・社会・自然科学にまたがる幅広い知識

  • 必要な情報を調査・収集し、論理的に考える力

  • 自分の考えを説明し、他者と議論する力

  • 異なる文化や価値観を理解する国際的な視野

これらは特定の職種だけでなく、企業の企画・調査、行政、国際協力、情報・メディアなどでも生かせる力です。

「答えのない問題を考え、根拠を持って人に伝える力」を育てる学部と考えると分かりやすいでしょう。


カリキュラムの特徴

  • 1年次
    教養学科で幅広い学問領域に触れ、自分が深めたいテーマを探します。

  • 2年次
    「グローバル・ガバナンス」「現代社会」「哲学歴史」「ヨーロッパ・アメリカ文化」「日本・アジア文化」「共生構想」の6専修課程のいずれかに所属して、専門講義や研究法などを通して学びを深めます。

  • 3年次以降
    演習・実習など、より主体的な学修が中心となります。
    最終的には4年間の学びを卒業研究へ結び付けていく構成です。


PBL・実習

教養学部では、工学系のように「PBL」を学部全体の中心に掲げるというより、研究法・演習・実習を通じた主体的な学びに注目したいところです。

資料を調査したり、テーマについて発表・議論したりしながら、自分で考える力を鍛えます。

高校の「調べ学習」を、大学レベルの専門知識と研究方法を使って本格化させるイメージです。


特色ある授業

① アカデミック・スキルズ ―「大学での学び方」から身につける

1年次には、新入生のための「アカデミック・スキルズ」が用意されています。
資料や情報をどのように探すのか、集めた情報をどう読み解くのか、レポートをどのように組み立てるのかなど、大学での学習・研究に必要な基礎的な知識と技術を身につけます。

高校では「先生から与えられた課題に答える」ことが中心だった人も、大学では自分でテーマを設定し、資料を集め、根拠を示しながら考えることが求められます。
いわば、高校の探究学習やレポートを、大学の研究へレベルアップさせるための入門授業です。

「大学のレポートを書けるだろうか」「研究って何をすればいいの?」という新入生も、最初からすべてできる必要はありません。
専門を学ぶ前に「学び方」を身につけられることは、教養学部の重要なサポートの一つです。

② 多文化理解科目 ―「自分の常識」を一度外から見てみる

多文化理解科目では、異なる文化や価値観について理解するとともに、多様な人々と共生・協働するための姿勢や力を養います。
教養学部では英語による日本理解科目も開設され、外国籍の専任教員による授業などを通して、さまざまな視点から文化や社会を考えられる環境が用意されています。

たとえば、「日本では当たり前だと思っていたことが、別の国ではそうではない」と気づくことも多文化理解の第一歩です。
単に外国について知識を増やすのではなく、異なる価値観と出会うことで、自分自身の文化や考え方も捉え直すことにつながります。

こうした経験は、海外で働く場合だけに必要なのではありません。
企業、行政、教育、メディアなど、多様な背景を持つ人と協働する仕事でも重要です。
「違い」を避けるのではなく、違いを理解して一緒に考えられる人になるための学びと捉えるとよいでしょう。

③ 外国語科目 ― 語学を「世界を知るための道具」にする

埼玉大学教養学部は外国語教育を重視していることも特徴です。
英語の学修に加えて、英語以外のさまざまな外国語を学ぶ機会があり、授業科目にはドイツ語、フランス語、中国語、韓国語などをはじめ、多様な言語に関する科目が確認できます。
また、高度な英語スキル教育も提供されています。

重要なのは、外国語を「単語や文法を覚える科目」だけで終わらせないことです。
外国語を使って海外の資料を読み、異なる文化を理解し、人とコミュニケーションを取ることができれば、国際関係、歴史、文化、社会などの専門研究にも学びが広がります。

高校までの「英語のテストで点を取る」から、大学では「外国語を使って何を知り、誰とつながり、何を伝えるのか」へ、外国語を専門研究や国際的なコミュニケーションにつなげられる点が、教養学部らしい特色です。

3つの授業をつなげて考えると…

この3つは、それぞれ独立した学びというより、教養学部で専門研究へ進むための土台と考えると分かりやすいでしょう。

  • アカデミック・スキルズ
    「調べる・考える・書く力」を身につける。

  • 多文化理解科目
    「違う視点から考える力」を養う。

  • 外国語科目
    「世界から情報を得て、人に伝える力」を広げる。

そして、これらを研究法・演習・実習・卒業研究へつなげていきます。
専門知識だけを身につけるのではなく、「自分で問いを立て、さまざまな情報や価値観に触れ、自分の考えを根拠とともに伝える」ための力を段階的に育てることが、埼玉大学教養学部の特色ある学びといえます。


元「中の人」のチェックポイント

埼玉大学教養学部を見るときは、「専門を決めてから入る学部ではなく、大学で学びながら専門を育てる学部」という点を押さえておきたい。
1年次の幅広い学びから、2年次の専修選択、研究法・演習・実習、そして卒業研究へと、徐々に「自分の問い」を深める構成になっている。
アドミッションポリシーでも、幅広い基礎学力だけでなく、文化への関心や外国語を学ぶ意欲が重視されている。
「まだ研究テーマまでは決まっていないけれど、人間や社会について知りたいことがたくさんある」という人も心配せず、その好奇心を大学4年間で専門性へ変えていけることこそ、教養学部の魅力といえる。

4. 研究

主な研究分野① 世界の問題を社会科学から読み解く「国際関係・国際開発」

グローバル・ガバナンス専修では、国際関係論と国際開発論を中心に、国境を越えて生じる問題を社会科学の視点から研究します。

特徴は、国際問題をニュースとして知るだけでなく、理論やデータを使って「なぜ起きているのか」「どのような解決策が考えられるのか」まで探究することです。
定性的・定量的なデータ分析や英語文献も研究に活用します。

研究対象の例

  • 国際政治やグローバル・ガバナンス

  • 貧困、格差、国際開発

  • 国際協力や持続可能な社会

  • グローバル社会に関するデータ分析

世界の出来事を「遠い国のニュース」で終わらせず、その仕組みと解決策まで考える研究です。


主な研究分野② 身近な社会や地域を調査する「社会・コミュニケーション・地理・文化人類学」

現代社会専修では、社会科学の幅広い視点を使って、複雑な現代社会や地域を研究します。

特に特徴的なのが社会調査を重視していることです。
理論を学ぶだけでなく、研究対象に応じて調査を企画・実施し、そこで得た情報を分析して卒業論文へつなげます。
身近な地域や社会現象も、本格的な研究対象になるのが面白いところです。

研究対象の例

  • メディアやコミュニケーション

  • 地域社会や都市の変化

  • 人々の生活・文化・社会活動

  • 地理的な環境と人間社会との関係

「なぜこの地域ではこうなの?」という日常の疑問も、調査を通して学問へ変えられます。


主な研究分野③ 人間とは何かを考える「哲学・芸術・歴史」

哲学歴史専修では、哲学、芸術論、歴史学という人文学の代表的な分野から、人間や社会を研究します。

「正義とは何か」といった根本的な問いから、絵画・建築などの芸術、過去の社会や文化まで研究対象は多彩です。
文献を読むだけでなく、史料講読や実習などを通して、実際の資料を根拠に考察する研究方法も身につけます。

研究対象の例

  • 哲学者の思想と現代社会

  • 絵画・彫刻・建築などの芸術

  • 日本や世界各地域の歴史

  • 過去の生活・社会・価値観

過去の思想・芸術・歴史を研究することは、現在の私たちや社会を見つめ直すことにもつながります。


主な研究分野④ 言葉や文化から世界を見る「日本・アジア・欧米文化」

ヨーロッパ・アメリカ文化、日本・アジア文化の各専修では、文学、言語、思想、芸術、歴史、社会などを通して、それぞれの地域を多角的に研究します。

外国語で資料を読んだり、異なる地域を比較したりできることも特徴です。
日本・アジア文化では、学外の研究施設や劇場、ミュージアムなどを訪れ、実際の資料や上演に触れる取り組みも行われています。

研究対象の例

  • 日本・東アジアの文学、思想、芸術

  • ヨーロッパの文学・文化・社会

  • アメリカの歴史や社会、文化

  • 国や地域を越えた文化交流

「外国が好き」「文学が好き」という興味から、言葉・歴史・社会まで研究を広げられる分野です。


主な研究分野⑤ 「人と人が共に生きる」を考える「心理学・ジェンダー研究」

2026年度から始まった共生構想専修では、心理学とジェンダー研究という二つの視点から、多様な人々が共に生きる社会について研究します。

心理学では心や行動のメカニズムを科学的に捉え、ジェンダー研究では性別をめぐる社会・文化的な規範や役割を問い直します。
実験・調査やフィールドワークなどを取り入れ、理論だけで終わらない研究を行うことも特徴です。

研究対象の例

  • 人間の心理や行動

  • 人と人との関係や社会的行動

  • ジェンダーと社会・文化

  • 多様性や共生をめぐる社会問題

「人はなぜそう考え、行動するのか」から、よりよい社会のあり方まで考えられる新しい研究領域です。


卒業研究テーマ

教養学部では、演習で文献の講読、発表、討論などを重ねながら自分自身の「問い」を磨き、最終的に学術的な卒業論文へまとめます。

大学公式サイトでは卒業論文のテーマを学部全体として一覧化した資料は確認できなかったため、以下は各専修が示している研究領域をもとにしたテーマ例です。実際の卒業論文題目ではありません。

  • 国際関係・国際開発:「国際協力と地域社会」「世界の格差と開発」「国際問題とグローバル・ガバナンス」

  • 現代社会・地域:「SNSと若者のコミュニケーション」「地域社会の変化」「都市と人々の暮らし」

  • 哲学・歴史・芸術:「現代社会における『正義』」「美術作品と時代背景」「歴史資料から見る人々の生活」

  • 日本・アジア・欧米文化:「文学作品に描かれる社会」「日本と東アジアの文化交流」「アメリカ社会と文化」

  • 心理・ジェンダー:「人間関係と心理」「社会におけるジェンダー規範」「多様な人々が共生できる社会」

高校生にとって身近なSNS、地域、映画、文学、人間関係なども、「なぜ?」を掘り下げ、適切な研究方法を用いることで卒業研究につながる可能性があります。


埼玉大学教養学部だからできる研究

魅力は、専門の壁を越えて「自分の問い」を追究しやすいことです。

1年次に幅広い分野へ触れ、2年次から6専修・13専攻で専門を深めます。
アカデミック・スキルズで研究の基礎を学び、研究法・演習・実習を経て卒業論文へ学びを深められます。

歴史×社会、国際関係×文化など、複数の視点を組み合わせて考えられるのが教養学部らしい研究です。


元「中の人」のチェックポイント

「研究」と聞いて難しく考えなくても大丈夫、スタート地点は、普段感じている小さな「なぜ?」が大切。
「なぜ国によって価値観が違う?」
「SNSは人間関係をどう変えた?」
「昔の人は社会をどう考えていた?」
――こうした疑問も立派な研究の入口となる。
埼玉大学教養学部では、1年次から専門を一つに決める必要はない。
幅広い学問に触れ、研究法を学び、演習で議論しながら自分の問いを磨いていける。
「何を研究するか」まで決まっていなくても、「もっと知りたい」と思えるものがある。
その好奇心こそ、教養学部での研究につながる大切な出発点。

5. 学生生活

男女比

2025年度の教養学部の学生数は790人で、男性308人(39.0%)、女性482人(61.0%)。

女性が約6割を占めます。大学ポートレートで他大学の人文・人間科学系を見ると、女性が6割前後の学部もみられ、埼玉大学教養学部もそうした傾向に近い構成です。

専攻分野が幅広いため、性別にかかわらず多様な関心を持つ学生が集まる学部と考えてよいでしょう。


出身地

2025年度入学者182人の出身高校所在地トップ5は、

①埼玉県25人(13.7%)
②茨城県19人(10.4%)
③東京都18人(9.9%)
④宮城県11人(6.0%)
⑤福島県11人(6.0%)

です。

地元埼玉県が最多ですが、割合は2割にも届きません。
首都圏だけでなく東北などからも学生が集まっており、「埼玉県中心の地元型」というより県外型の色合いが強い学部
です。


留学制度

埼玉大学には、海外協定校で半年または1年間学ぶ交換留学制度があります。

在学したまま留学でき、原則として留学先大学の授業料は不要です。
現地で修得した単位も、学部の承認を受ければ卒業単位として認定されます。

教養学部では外国語や多文化理解、海外の文化・社会を扱う専門分野も多く、大学での専門と海外経験を結び付けやすい環境です。

さらに、教養学部には海外からの交換留学生や正規留学生、サマープログラム参加者なども学んでいます。
つまり「自分が海外へ行く」だけでなく、普段のキャンパスでも異なる文化的背景を持つ学生と出会えることが国際的な学びにつながります。


提携大学 ― 留学先で「専門」を深める

埼玉大学は世界各地の大学・研究機関と交流協定を結んでおり、2026年5月1日時点で大学間交流協定は119件、うち107件に学生交流協定があります。
大学間協定による交換留学は全学部の学生が対象となるため、教養学部生も自分の専門や研究テーマに合わせて留学先を検討できます。

ポイントは、留学を「外国語を勉強する機会」だけにしなくてもよいことです。
交換留学では現地大学の専門科目を履修できるため、国際関係、社会、歴史、文化、言語などを、その地域で生活しながら学ぶことができます。

アメリカ ― 多文化社会を現地から研究する

大学間協定校には、西オレゴン大学、ボーリング・グリーン州立大学、ネブラスカ大学リンカーン校など、アメリカの大学があります。

教養学部でアメリカ文化・社会、国際関係、コミュニケーションなどを学ぶ学生なら、日本で文献を読むだけでなく、多文化社会そのものに身を置いて専門を考えられることが魅力です。

こんな学び・研究につながる

  • アメリカの社会・文化・歴史

  • 多文化社会とアイデンティティ

  • メディアやコミュニケーション

  • 国際関係や政治・社会問題

さらに教養学部では、ネブラスカ大学リンカーン校付属ミュージアムで、現地学生と展示制作や地域交流に取り組む海外インターンシップも実施しています。
「アメリカについて学ぶ」から「アメリカ社会の中で人と協働する」へ発展させられるのが面白いところです。

オーストラリア ― 多文化共生を考えるフィールドに

大学間協定校には、モナシュ大学などオーストラリアの大学もあります。

オーストラリアはさまざまな文化的背景を持つ人々が暮らす社会です。
そのため、外国語を身につけるだけでなく、教養学部で扱う文化、社会、多文化共生、国際関係などのテーマを現地社会と結び付けて考える機会になります。

こんな学び・研究につながる

  • 多文化社会と共生

  • 移民と社会

  • アジア太平洋地域の国際関係

  • 英語圏の文化・社会

たとえば「多文化共生」を日本だけで考えるのではなく、異なる社会で実際に生活し、人々の考え方や制度に触れて比較することができます。
帰国後の卒業研究につながる「比較する視点」を得られる留学として考えることもできます。

タイなど東南アジア ― 国際開発・地域研究を「現場」で考える

タイでは、タマサート大学、チュラーロンコーン大学などと大学間交流協定があります。

特にグローバル・ガバナンス専修で国際開発や国際関係を学ぶ学生、あるいはアジアの社会・文化を研究する学生にとって、東南アジアは魅力的なフィールドです。

こんな学び・研究につながる

  • 国際開発と経済成長

  • 都市化や地域社会の変化

  • 東南アジアの文化・社会

  • 日本と東南アジアの関係

さらに教養学部では、タイ・カンボジア・ラオスなどでフィールドワーク実習を行うプログラムも紹介されています。
大学の教室で「開発途上地域」について学ぶだけでなく、現地の社会や人々と接しながら、それまで持っていたイメージを問い直すことができるのが大きな特徴です。

中国・韓国など東アジア ― 言語・文化・歴史を立体的に学ぶ

中国では大連理工大学など、韓国を含め東アジアにも多数の大学間協定校があります。

日本・アジア文化専修などで東アジアを研究する学生にとっては、語学力を高めるだけでなく、日本との歴史的・文化的な関係を現地側の視点から考える機会になります。

こんな学び・研究につながる

  • 中国・韓国などの言語と文化

  • 東アジアの歴史

  • 日本と東アジアの文化交流

  • 現代東アジアの社会

同じ歴史的出来事でも、日本で学ぶ場合と現地で学ぶ場合では、資料や捉え方が異なることがあります。
「日本からアジアを見る」だけでなく「アジアから日本を見る」視点を持てることは、地域研究において大きな経験になります。

ヨーロッパ ― 歴史・思想・文化を「現地の文脈」で学ぶ

ヨーロッパにもドイツをはじめ、多くの大学間協定校があります。

哲学歴史専修やヨーロッパ・アメリカ文化専修の学生であれば、哲学、歴史、文学、芸術、社会など、日本で専門的に学んできたテーマを、実際にその文化が形成されてきた地域で学び直すことができます。

こんな学び・研究につながる

  • ヨーロッパの歴史・思想

  • 文学や言語

  • 芸術・文化

  • 現代ヨーロッパの社会

歴史的建造物、美術館、博物館、街並みなども研究を考える材料になります。
教科書や写真で見ていたものを実際の社会・文化の中で捉え直すことで、文献研究と現地経験を結び付けた研究へ発展させられる可能性があります。

「留学=語学」ではなく、「留学=研究フィールド」

埼玉大学教養学部の留学で注目したいのは、外国語を上達させること自体が最終目的ではないことです。

たとえば、

埼玉大学で国際開発を学ぶ
→ タイへ留学して現地の社会・大学で学ぶ
→ 帰国後、経験や資料を卒業研究につなげる

あるいは、

日本でアメリカ文化を学ぶ
→ アメリカの協定校で専門科目を履修する
→ 日本とアメリカを比較して卒業研究を考える

という学び方も考えられます。

交換留学は半年または1年間で、留学先で修得した単位は教養学部の承認を経て卒業単位として認定可能です。
そのため、留学を大学4年間から切り離すのではなく、「専門を深めるための4年間の一部」として組み込めることが大きなメリットです。

高校生に注目してほしいポイント

協定校を選ぶときは、「アメリカに行きたい」「ヨーロッパに行ってみたい」だけでなく、

「自分は大学で何を研究したいのか。そのテーマを深めるなら、世界のどこへ行くと面白いのか」

という逆算もできます。

国際関係なら東南アジア、アメリカ社会なら米国、東アジア文化なら中国・韓国、ヨーロッパの思想や文化なら欧州――というように、6専修・13専攻の専門と世界各地の協定校を組み合わせられることが、埼玉大学教養学部の国際教育の面白さです。

なお、協定校であっても学生交流を実施していない大学や、その年度に派遣募集を行わない大学があります。
また、履修可能な学部・科目や必要な語学スコアも大学ごとに異なります。
志願時には「協定校一覧」だけでなく、実際の派遣留学先一覧と各大学のファクトシートまで確認することが重要です。


留学支援

留学費用が心配な学生に対しては、JASSO海外留学支援制度、トビタテ!留学JAPAN、外国政府・民間団体・自治体などの奨学金が案内されています。

2026年度には、短期留学プログラム参加者を対象とした学生後援会海外留学奨学金も募集されました。

さらに、留学・国際交流課による情報提供や海外渡航時の安全管理制度もあり、費用・手続き・安全面を含めて留学を検討できる環境が整えられています。


地域連携

教養学部では、地域連携だけを目的としたPBLを学部全体の柱にするというより、社会調査・フィールドワーク・実習などを通じて、実際の社会を研究対象にできることに注目です。

現代社会専修では、社会学、地理学、文化人類学などの視点から地域や人々の暮らしを調べることができます。

たとえば「地域によって若者の暮らし方はどう違う?」「まちはどのように変化している?」といった身近な疑問も研究テーマになります。

教室で知識を覚えるだけでなく、現場から情報を集め、分析し、自分の考えとしてまとめる力を身につけられることが、人文・社会科学系ならではの実践的な学びです。


元「中の人」のチェックポイント

2025年度入学者では埼玉県出身者は13.7%で、むしろ県外から多様な学生が集まっていることに注目したいところ。
さらに、海外協定校への留学に加え、キャンパスでは海外からの留学生とも学べる。
教養学部の魅力は、教室の中だけで学びが完結しないこと。
地域を調査する、異文化に触れる、海外へ飛び出す――自分の興味次第で学ぶフィールドを広げられる。
「大学では今まで知らなかった世界に出会いたい」という高校生には、面白い4年間になるはず。

6. 入試方法

選抜方式

2027年度入試では、学校推薦型選抜Ⅰ型・Ⅱ型、一般選抜前期・後期を実施します。
なお、総合型選抜はありません。

  • 学校推薦型選抜Ⅰ型
    共通テストを課さず、推薦書・志望理由・調査書に加え、小論文と面接で思考力や表現力、学修意欲などを評価します。

  • 学校推薦型選抜Ⅱ型
    共通テスト+推薦書・志望理由・調査書+面接で選抜します。

  • 一般前期
    共通テストに加えて個別試験の外国語、後期は共通テストに加えて小論文を課します。


難易度

河合塾Kei-Netの2027年度ボーダーは、前期:共通テスト70%・偏差値55.0、後期:共通テスト76%です。

国公立大の人文社会系としては比較的高めで、千葉大学文学部の前期74%~、横浜国立大学都市科学部都市社会共生学科の前期77%と比べればやや低い水準ですが、地方国公立大の中では決して易しい部類ではありません。

共通テスト7割を一つの目安としつつ、前期では個別英語まで含めた力が必要です。


各教科の重要度と得点源

数学

重要度:★★★★☆(4/5)
得点源:★★★☆☆(3/5)
共通テスト:あり|個別学力検査:なし

数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B・Cの2科目が必須で、前期・後期とも共通テストで200点を占めます。
人文系の教養学部ですが、「数学を避けて受験する」ことはできません。

苦手な場合でも大崩れを防ぎ、安定して得点できる状態にしておくことが重要です。


英語

重要度:★★★★★(5/5)
得点源:★★★★★(5/5)
共通テスト:あり|個別学力検査:前期あり・後期なし

最重要教科です。

前期では共通テスト外国語200点に加えて個別外国語300点があり、合計500点分に関係します。
共通テスト英語もリーディングを160点、リスニングを40点に換算するため、特に読解力が重要です。

前期志望者は、英語を最大の得点源にできるかが合否を左右しやすい配点です。


国語

重要度:★★★★☆(4/5)
得点源:★★★★☆(4/5)
共通テスト:あり|個別学力検査:なし

前期・後期とも共通テストで200点、個別の国語はありませんが、共通テスト全体では大きな配点を持ちます。
また、後期では小論文が課されるため、文章を正確に読み、論理的に考えて文章化する力という意味でも重要です。

人文・社会科学系を志望するなら、安定した得点源にしたい教科です。


理科

重要度:★★☆☆☆(2/5)
得点源:★★★☆☆(3/5)
共通テスト:あり|個別学力検査:なし

共通テストで100点、基礎科目の組み合わせまたは物理・化学・生物・地学から指定に従って選択します。

英語・国語・数学・社会ほど配点は大きくありませんが、共通テスト型入試では取りこぼしを減らしたい教科です。

得意分野を選び、安定して点を確保する戦略が有効でしょう。


社会

重要度:★★★★★(5/5)
得点源:★★★★★(5/5)
共通テスト:あり|個別学力検査:なし

地理歴史・公民から2科目、計200点を利用し、最低1科目は地理探究・日本史探究・世界史探究のいずれかを含める必要があります。
教養学部では歴史、国際関係、社会、文化などを大学でも学ぶため、入試だけでなく入学後につながる重要教科です。

得意な地歴科目は積極的に得点源にしたいところです。


情報

重要度:★☆☆☆☆(1/5)
得点源:★★☆☆☆(2/5)
共通テスト:あり|個別学力検査:なし

「情報Ⅰ」は必須ですが、前期・後期とも換算配点は25点です。
全体1225点に占める割合は小さいため、英語や国語などを差し置いて最優先する必要はありません。

ただし、必須科目である以上ゼロにはできません。基本問題を確実に取り、失点を最小限にする意識で準備しましょう。


元「中の人」のチェックポイント

埼玉大学教養学部は、前期と後期で戦い方が大きく変わることに注目したい。
前期は共通テスト925点に対して個別英語300点なので、共通テストで大きく崩さず、英語を武器にできる受験生に向いている。
一方、後期は共通テスト1025点+小論文200点。Kei-Netのボーダーも76%まで上がるため、共通テストで高得点を確保する力がより重要となる。
共通テスト対策では、英語・国語・社会を得点源にしつつ、数学を苦手だからと捨てないこと
特に前期の英語は個別試験まで含めて最重要、「教養学部=文系科目だけ」と考えず、6教科をバランスよく仕上げながら、最後は英語で勝負できる形を目指そう。

7. 進路

進級と留年の状況

教養学部は、国家資格系学部のように実習科目の不合格がそのまま進級に大きく影響するタイプではなく、比較的、自分で履修を管理することが重要な学部です。
1年次の幅広い学修から、2年次の専修所属、専門科目、演習、卒業研究へと段階的に進みます。

注意したいのは、自由度が高いからこそ履修計画が重要なことです。
必修・選択必修、外国語、専門科目などの必要単位を確認し、計画的に修得する必要があります。

特に演習や卒業研究は短期間で取り戻しにくいため、「後でまとめて単位を取ればよい」と考えず、1年次から着実に積み上げることが4年間での卒業につながります。


大学院進学

大学ポートレートによると、2024年度の教養学部卒業者195人のうち大学院等進学者は16人で、進学率は約8.2%です。
大多数は学部卒業後に就職するため、大学院進学が主流の学部ではありません。

一方、研究をさらに深めたい学生には、埼玉大学大学院人文社会科学研究科などへの道があります。
国際関係、社会、哲学、歴史、文学、文化など、学部で見つけた研究テーマをより専門的に追究できます。

卒業論文を通して「もっと研究したい」と思った学生が、自分の問いを修士・博士レベルへ発展させる進路と考えるとよいでしょう。


主な就職先

大学ポートレートでは、2024年度卒業者195人のうち就職者は165人で、卒業者に占める割合は約84.6%です。

産業別では、情報通信業30人、公務26人、卸売・小売業20人、製造業18人、金融・保険業15人などが中心です。
このほか、運輸・郵便、学術研究・専門技術サービス、教育・学習支援など幅広い分野へ進んでいます。

教養学部が公表する2025年度の主な進路にも、NHK、ANA、日本航空、日本通運、ゆうちょ銀行、埼玉りそな銀行、野村證券、JICA、さいたま市、埼玉県、厚生労働省、国土交通省、法務省、気象庁などが並びます。

注目したいのは「教養学部だからこの業界」という偏りが小さいことです。
大学で培う調査・分析、論理的思考、文章表現、外国語、多文化理解などを、幅広い業界で生かせることが就職面での強みです。


進路先の都道府県

大学ポートレートの就職地域を見ると、教養学部は東京都への就職が最も多く、次いで埼玉県など首都圏が中心となっています。
大学の所在地は埼玉県ですが、就職先が県内だけに限定されているわけではなく、東京を含めた首都圏全体を就職エリアとして考えられることが特徴です。

実際に公表されている就職先にも、国家公務員や全国規模の企業・団体が多く見られます。
そのため、「埼玉の大学だから卒業後も埼玉中心」というより、首都圏を軸に全国へ進路を広げられる学部と考えた方が実態に近いでしょう。


元「中の人」のチェックポイント

数字を見ると、埼玉大学教養学部は明確に「大学院進学型」より「学部卒就職型」といえる。
ただし、資格と職業が直接結び付く学部ではないため、「教養学部を出れば○○になる」という進路モデルはない。
これは弱点というより、進路の自由度の高さだ。
情報通信、金融、メーカー、航空・運輸、公務員、国際協力など選択肢は多彩。
大学4年間で大切なのは、「何を学んだか」に加えて、「その学びを使って何ができるようになったか」を説明できるようになること
専門研究、外国語、留学、社会調査など、自分なりの強みをつくることが就職にもつながる。

8. 学費・生活費

学費

2027年度入学者の場合、入学料は28万2,000円、授業料は年額64万2,960円です。

4年間授業料は257万1,840円となり、入学料を合わせると卒業まで約285万3,840円です。

埼玉大学では2026年度入学者から授業料が従来額より20%引き上げられているため、古い情報を見る際には注意が必要です。


追加費用

学費以外にも、教科書・専門書、パソコンや周辺機器、通学費、学生生活に必要な諸費用などを考えておきましょう。

教養学部では、実験設備や長期の学外実習を必要とする理工・医療系ほど大きな追加費用は想定しにくい一方、外国語学習や専門書、フィールドワークなどで費用が生じる場合があります。

留学を希望する場合は、渡航費・滞在費などを別に準備する必要があります。


日本学生支援機構(JASSO)の奨学金

埼玉大学ではJASSOの給付奨学金・貸与奨学金を取り扱っています。
入学前の予約採用だけでなく、入学後も春・秋の在学採用に申し込めます。

学部生が高等教育の修学支援新制度による授業料等減免を希望する場合も、JASSO給付奨学金への申請が入口になります。


大学独自の奨学金・支援制度

埼玉大学では、大学基金による「修学サポート基金」を設けています。

経済的理由で修学が難しい学生を支援するもので、授業料・入学料等の負担軽減、奨学金、海外留学支援などに活用されています。

また、地方公共団体や民間育英団体の奨学金についても大学を通じて案内されています。


授業料免除制度

日本人等の学部生は、原則として国の「高等教育の修学支援新制度」による入学料・授業料減免を利用します。

一定の家計要件を満たす世帯に加え、多子世帯への授業料等減免制度もあり、JASSO給付奨学金への申請を通じて手続きを行います。

大学独自の授業料免除は、主に大学院生や私費外国人留学生などが対象です。


アパート相場

教養学部がある大久保キャンパスはさいたま市桜区にあります。
2026年7月のSUUMOの家賃相場では、桜区の1Kは月7.4万円程度、LIFULL HOME'Sでも1Kは月7.6万円程度となっています。

物件の築年数、駅からの距離、大学までのアクセスなどによって差があるため、月6~8万円程度を一つの目安として考えておくとよいでしょう。


卒業までの費用シミュレーション

2027年度入学者について、学費約285万円を基準にした概算です。
実際の生活スタイルによって大きく変わるため、以下は家計を考えるためのモデルケースです。

【実家暮らし】約450~500万円

  • 入学料+4年間の授業料:約285万円

  • 教材・PC等:約20~40万円

  • 通学・昼食・学生生活費など:約140~170万円

4年間合計:約450~500万円

【一人暮らし】約950~1,050万円

  • 入学料+4年間の授業料:約285万円

  • 教材・PC等:約20~40万円

  • 家賃:月7.4万円×48か月=約355万円

  • 食費・光熱費・通信費等:月5~6万円×48か月=約240~290万円

  • 引っ越し・家具・初期費用:約30~50万円

4年間合計:約950~1,050万円

※ 留学、サークル活動、帰省、資格取得などの費用は含めていません。また、家賃相場は変動します。


元「中の人」から保護者の方へ

埼玉大学を検討する際に注意したいのは、2026年度から授業料が年64万2,960円へ改定されたことです。
4年間では従来の国立大学標準額より約43万円負担が増えるため、入学前から資金計画を立てておきたいところです。
一方で、JASSOの給付・貸与奨学金、高等教育の修学支援新制度、多子世帯への授業料等減免、地方公共団体・民間団体の奨学金など、利用を検討できる制度があります。
また、埼玉大学は首都圏にあるため、通学可能なら一人暮らしをしないことで4年間の負担を大きく抑えられる可能性があります
学費だけを見るのではなく、「自宅通学か一人暮らしか」「留学を希望するか」まで含め、4年間総額で考えることをおすすめします。

9. 入学後のサポート

リメディアル教育

教養学部では、高校科目を学び直す大規模な「リメディアル教育」を前面には出していません。

その代わり、1年次の「アカデミック・スキルズ」などを通して、資料の探し方、レポート作成、調査・研究の方法といった「大学での学び方」を基礎から身につけます。

高校から大学への学び方の変化に不安がある人も、段階的に専門研究へ進めるカリキュラムです。


学修支援

教養学部では、1年次の幅広い学修から2年次の専修、研究法・演習、卒業研究へ段階的に専門性を高めます。

履修について分からないことは学部窓口でも相談できます。

また、図書館のラーニングコモンズには大学院生のライブラリー・アシスタントによるサポートデスクも設置しています。
自分で調べ、考え、他者と議論する大学らしい学修を支える環境があります。


取得できる資格

教養学部は、資格取得そのものを目的とした学部ではありません。
一方、所定の科目を履修することで中学校・高等学校の教員免許状など、教育課程に応じた資格取得を目指せる場合があります

資格を希望する学生は、自分の専攻と取得可能な免許教科、必要単位を入学後早めに確認することが重要です。

教養学部の中心はあくまで人文・社会科学の専門研究です。
「資格が取れるか」だけでなく、専門知識や外国語、調査・分析力を将来どう生かしたいかまで考えて履修するとよいでしょう。


資格取得サポート

教員免許状を目指す学生については、大学に教員養成支援センターが設置され、教職支援を受けられる体制があります。

資格取得には通常の卒業要件とは別に必要な科目が増えるため、早めの履修計画がポイントです。

資格取得を通じて、専門知識だけでなく、人に分かりやすく説明する力や教育について考える力も養えます。


キャリア・就職支援

全学のキャリアセンターでは、個別相談のほか、エントリーシート対策、面接・グループディスカッション練習、OB・OGとの交流などを実施しています。

就職関連図書やSPIなどの対策本、オンライン面接等に使える個室ブースも利用できます。

資格と職業が直結しない教養学部だからこそ、自分の専門や強みを仕事へ結び付けるために活用したい支援です。


ICT・図書館サポート

図書館では人文・社会科学系の豊富な図書に加え、電子ジャーナル、データベース、eBookなどを利用できます。

ラーニングコモンズにはグループ学習室、セミナー室、電子黒板などがあり、話し合いや発表の準備にも活用可能です。

大学院生による学修相談や国際交流コモンズもあり、文献調査・演習・卒業研究を進める教養学部生にとって重要な学修拠点です。


学生相談・生活支援

学生生活で困ったときは、総合相談窓口、学生相談室、保健センター、障がい学生支援室、キャリアセンター、留学・国際交流課など、相談内容に応じた窓口があります。

学生相談室では臨床心理士への相談も可能です。
また、学生同士で相談・交流できるピアサポートルームも設置されており、「どこに相談すればよいか分からない」という場合にも相談先を見つけられる体制があります。


学生寮

大久保キャンパスに隣接して学生宿舎があり、男子144人、女子128人の計272人が入居できます。
全室個室で、2026年度予定の寄宿料・共益費は月額計2万2,900円です。
学部1・2年次が対象で、キャンパス内の施設へ徒歩約10分です。

民間アパートと比べて住居費を抑えやすいため、県外から進学する学生には魅力的な選択肢です。


その他学生サポート体制

「英語をもっと伸ばしたい」という学生には、英語なんでも相談室もあります。

また、留学相談、ジェンダー・セクシュアリティに関する相談、障がいのある学生への修学上の配慮など、学生の状況に応じた窓口が用意されています。

さらに、全学生を対象とした「ダイバーシティ課題解決プログラム」など、通常の所属学部を越えて参加できる教育プログラムもあります。


元「中の人」のチェックポイント

1年次のアカデミック・スキルズから、図書館の学修支援、履修相談、留学相談、学生相談、キャリア支援まで、悩みに応じて利用できる窓口がある。
特に教養学部は、自分で専門や将来の方向を考えていく自由度の高い学部だからこそ、すべてを一人で決める必要はない。
「困ってから相談する」だけでなく、「やってみたいことを実現するために大学の支援を使う」ことも大切。
留学、研究、資格、就職など、興味が生まれたら積極的に相談して大学4年間の可能性を広げてみよう。

10. この学部を一言で表すと?

広く学び、自分だけの問いを専門に変える学部

埼玉大学教養学部は、国際関係、社会、哲学、歴史、文化、心理学、ジェンダー研究など、人間と社会に関わる幅広い分野を学べる学部です。

特徴は、入学時に専門を一つに固定しないことです。
1年次にさまざまな学問に触れ、2年次から6専修・13専攻へ進みます。

幅広い教養から自分の「なぜ?」を見つけ、研究法や演習、外国語、卒業研究を通して、その問いを自分だけの専門へ育てていく4年間です。


この学部に向いている人

特に次のような高校生におすすめしたい学部です。

  • 歴史も国際問題も文化も気になるなど、興味が複数ある人

  • ニュースや身近な出来事を見て「なぜ?」と考える人

  • 異なる文化や価値観に触れることを楽しめる人

  • 外国語を、世界を知るための道具として使いたい人

  • 一つの正解がない問題をじっくり考えることが好きな人

「まだ専門を決められていないから教養学部」ではありません。
むしろ、「知りたいことがたくさんあるから、大学で確かめながら専門を決めたい」人に向いています。

高校時代に興味を一つに絞り切れなくても、その好奇心を大学で強みに変えられます。


元「中の人」から伝えたいこと

アドミッション・ポリシーを見ると、教養学部が求めているのは、単に暗記が得意な人ではありません。
高校までの幅広い基礎学力に加えて、異なる時代・地域の文化への関心、外国語を学ぶ意欲、社会に貢献しようとする姿勢が重視されています。

高校時代から難しい研究をする必要はありません。
ニュースを見たら背景を調べる、本を読んで自分の考えを書く、探究活動で疑問を掘り下げる、英語や地歴を「受験科目」で終わらせず世界を知る道具として使ってみるといった経験を積んでみてください。

大学では、その好奇心を専門研究へ発展させ、調査・分析、論理的思考、外国語、文章表現などの力を磨きます。
その先には、情報通信、メーカー、金融、航空・運輸、公務員、国際協力など幅広い進路があります。

「何になるか」だけでなく、「大学で何を考え、何ができる人になるか」を大切にしたい人に選んでほしい学部です。


この学部を一言で表すと?

広く学び、自分だけの問いを専門に変える学部

「やりたいことが一つに決まっていない」と、不安になる必要はありません。
歴史も好き、外国にも興味がある、人間の心理も気になる――その「興味が広すぎること」自体が、教養学部では学びの出発点になります。

大学でさまざまな学問や人、文化と出会い、「もっと知りたい」と思える問いを見つけます。
そして4年後には、それを自分の専門として語れるようになります。

進路を決めてから大学へ行くのではなく、大学で学びながら自分の進む道をつくりたい、そんなあなたに埼玉大学教養学部は魅力的な選択肢です。

11. 参考リンク集

【国立】埼玉大学

  • 教養学部

  • 経済学部

    • 紹介

    • 対策

  • 教育学部

    • 紹介

    • 対策

  • 理学部

    • 紹介

    • 対策

  • 工学部

    • 紹介

    • 対策

【人文科学】

【国際】

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