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裁量労働制の対象拡大(規制改革実施計画案)抜粋を厚労省審議会分科会で報告

労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)労働条件分科会が本日(2026年7月14日)に開催。公開された資料には閣議決定予定の規制改革推進計画(案)に書かれた「裁量労働制の対象拡大」一部内容のみ抜粋。正確な報告をしていない懸念(?)


労働政策審議会(労政審)労働条件分科会

今日(2026年7月7日)午後2時から労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)労働条件分科会が開催。

議題は「資金移動業者の口座への賃金支払制度について」と「労働市場改革分科会等について(報告事項)」。資料は厚生労働省ウェブサイト公開。

資料No.1 資金移動業者の口座への賃金支払制度について(PDFファイル)

資料No.2-1 日本成長戦略会議 労働市場改革分科会 とりまとめ(PDFファイル)

資料No.2-2 「経済財政運営と改革の基本方針2026(案)」等について(PDFファイル)

資料No.2-3 労働基準法等に基づく届出等に係る電子申請の状況について(PDFファイル)

参考資料No.1 労働条件分科会委員名簿(PDFファイル)

骨太の方針3文書・閣議決定前の案が資料に

本日の労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)労働条件分科会の資料の一つが『「経済財政運営と改革の基本方針2026(案) 」等について』。その目次には

経済財政運営と改革の基本方針2026(案)……….2
日本成長戦略(案)……….6
規制改革実施計画(案)……….10

資料『「経済財政運営と改革の基本方針2026(案) 」について』

とあります。

つまり厚生労働省が準備した資料『「経済財政運営と改革の基本方針2026(案) 」等について」には経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026(原案)や日本成長戦略(案)や規制改革実施計画(案)といった3文書から労働条件分科会に関係する部分のみ一部抜粋が記載されています。

何故、厚生労働省は政府3文書の閣議決定された正式文書でなく閣議決定前の3文書(案)をわざわざ労働条件分科会を7月14日に報告したのか?

日本経済新聞(電子版)は昨日(2026年7月13日)午前5時に配信したウェブ記事『金利上昇懸念で骨太決定ずれ込み 消費減税は未決着、市場反応見えず』には「政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の閣議決定を先送りする。当初(7月)14日ごろに想定していた日程を延ばす。長期金利の上昇などを踏まえ、財政規律の緩みや低金利への誘導を懸念する市場の反応を注視して文言を調整する」と記載されています。

ということで政府3文書の閣議決定前の案が労働条件分科会で報告せざるを得なくなってしまった、ということです。

規制改革実施計画案と裁量労働制の対象拡大

最大の問題は規制改革実施計画(案)に書かれた「裁量労働制の対象拡大」の箇所になります。資料『「経済財政運営と改革の基本方針2026(案) 」等について』12ページには次のように書かれています。

事項名
裁量労働制の適 用対象業務の在り方

規制改革の内容
(略)
心身の健康維持と労働者の選択を前提に柔軟で多様な働き方を実現する観点か ら、厚生労働省は、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、裁量労働制の対象の在り方について労働政策審議会において見直しの検討を開始し、結論を得次第、必要な措置を講ずる。

実施時期
令和8年検討開始、早期に結論、結論を得次第速やかに措置

所管府省
厚生労働省

資料『「経済財政運営と改革の基本方針2026(案) 」等について』

厚労省が準備した資料の「規制改革の内容」の箇所に(略)とありますが、規制改革実施計画(案)には次のように詳細に書かれています。

労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条の3に定める専門業務型裁量労働制及び同法第38条の4に定める企画業務型裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分等を大幅に労働者に委ねる業務に従事する労働者を対象とする制度であり、適正な運用が行われれば、労使双方にとってメリ ットのある働き方の実現が見込まれるものの、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」によると、専門業務型裁量労働制の適用労働者割合は期間を定めずに雇われている労働者全体の約1.1%、企画業務型裁量労働制の適用労働者割合は期間を定めずに雇われている労働者全体の約0.3%となっている。

これに対して、一部の企業や民間経済団体からは、以下に掲げる課題等への対応が必要であるとの声がある。

・裁量労働制は、令和7年に実施された日本経済団体連合会の「ホワイトカラー労働者 の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」によると、メリハリを付けて自分の ペースで働ける、就労時間が短くても一定額の裁量労働手当等を受け取ることがで きる、成果に応じた処遇が受けられる可能性があるといった理由により、裁量労働制 を適用されていないホワイトカラー労働者のうち約3割が同制度の適用を希望しているとされている一方、「現行の裁量労働制の対象業務に関する解釈について」 (令和5年8月2日厚生労働省労働基準局労働条件政策課長及び監督課長連名通達)においては、対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であり、企画、立案、調査及び分析の業務とは別に、たとえ非対象業務が短時間であっても、それが予定されている場合は、企画業務型裁量労働制を適用することはできないこととされており、我が国の企業においては、企画業務型裁量労働制の対象業務に従事する労働者に全社横断的なプロジ ェクト型業務への参加や安全衛生委員会への出席といった非対象業務も担当させる場合があることから、対象業務と非対象業務の混在が認められていない企画業務型裁量労働制を適用することが困難であること。

・規制改革推進に関する答申(令和7年5月)にも示されたとおり、スタートアップにおいては一人の労働者が複数の業務を担当することが一般的であることから、対象業務と非対象業務の混在が認められていない裁量労働制を適用することが困難 であるほか、企画業務型裁量労働制を導入 する際に必要な労使委員会の設置等が手 続負担等の面からスタートアップにおけ る制度導入の障壁になっていること。

・特定の顧客向けの商品・サービスの企画、 立案、調査及び分析を行った上で、それに基づき開発・提案まで行う業務に対しても 裁量労働制を適用するニーズがあるが、現行制度では適用が困難であること。

・グループ会社等で重複する人事・財務・経営企画などの間接業務を別会社に集約・標準化し、効率化を目指す、いわゆる「シェ アードサービス業務」がグループ化を進める企業を中心に活用される中、「シェアードサービス業務」の中でも企画、立案、調査及び分析を行う業務に対しても裁量労 働制を適用するニーズがあるが、現行制度では適用が困難であること。 一方、令和元年に実施された厚生労働省の「裁量労働制実態調査」においては、①労働基準法第38条の3第1項第2号に規定する 労働時間として算定される時間及び同法第 38条の4第1項第3号に規定する労働時間として算定される時間(以下「みなし労働時間」という。)と実際の労働時間の間に、専門業務型裁量労働制の適用労働者では平均して46分、企画業務型裁量労働制の適用労働者では平均して1時間8分の差がそれぞれ見られること、②専門業務型裁量労働制及び 企画業務型裁量労働制の適用労働者のそれぞれ約2割が裁量労働制の適用に対する満足度について「不満である」又は「やや不満である」と回答していること、③適用労働者の苦情の内容として「業務量が過大である」「労働時間が長い」「賃金などの処遇が悪い」「人事評価が不適切である」などの点が挙げられていることなどを踏まえ、制度の趣旨に沿っていない運用への懸念については、労働者の健康確保や長時間労働防止、適切な処遇確保等の観点から、制度の濫用防止措置について検討する必要がある。

特に、みなし労働時間については、企画業務型裁量労働制指針等において、対象業務の内容並びに対象労働者に適用される賃金・評価制度を考慮して 適切な水準のものとなるようにし、対象労働者の相応の処遇を確保することが必要とされていることを踏まえ、適切に設定されているかなど、実態を明らかにし、制度の趣旨に沿っていない運用の懸念がある場合には、適切な措置を講じて、未然に防止するべきであ る。

これに対して、公衆衛生学の観点からは、 裁量労働制の運用について、以下の指摘がある。

・長時間労働や概日リズムの乱れ、心理的に仕事から距離を置けないこと、裁量のない 労働者への制度の適用、努力に見合わない 報酬や評価等が生じた場合には、健康上の リスクとなりやすい。

・使用者には、正確な労働時間の管理や裁量に見合うタスクの設定、適切な成果の評価 が求められるほか、健康・福祉確保措置と して、勤務間インターバル(企画業務型裁 量労働制指針等に基づき、終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を 確保することをいう。)、深夜労働(労働基 準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させることをいう。)の回数を1か月について一定回数以内とすること、使用者が把握した労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除、年次有給休暇の連続取得の促進等の予防的措置を講ずることが重要であり、さらに、時間外の連絡方法に関するルールの作成や仕事を与える管理監督者に対する心理的安全性に関する教育の実施、労働者に対する労働時間等の自己管理能力を醸成する教育の実施等も考えられる。

以上の声や指摘などを踏まえ、心身の健康維持と労働者の選択を前提に柔軟で多様な働き方を実現する観点から、厚生労働省は、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、裁量労働制の対象の在り方について労働政策審議会にお いて見直しの検討を開始し、結論を得次第、 必要な措置を講ずる。

規制改革実施計画(案)

規制改革実施計画(案)(PDFファイル)

詳しくは次のnote記事をご覧ください。

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