テニス上達メモ576.ボールは光って見える――それは錯覚ではない
ボールが光って見える?
それ、錯覚ではありません。
私たちは「ボール」ではなく「光」を見ているのですから。
ほとんどの人は、まだそれに気づいていません。
集中すると、見える→当たる。
▶見えている大きさは、実際の大きさではない
1月9日放送NHK『チコちゃんに叱られる』で伝えられたエピソード。
ナインティナインの矢部浩之さんは案外 、一人だけでは大きくない。
小柄な岡村隆史さんが隣にいるから、大きく映るのだとか。
相対性の世界です(関連記事「この世に『速いボール』などない」)。
2時間の練習は、退屈だと長いとしても、楽しいと20分に感じられるのでしたね。
それと同じように、ボール全体を見ていたら案外そうでもないけど、毛羽にピントを絞り込むと、ボール全体は大きく映ります。
プレーするうえで大事なのは、ボールのサイズそのものよりも、目に映るサイズ感、その感受性です。
それにより、ボールの捉えやすさが変わり、プレーが具体的に変化してきます(関連記事「ぶわーっと大きく見えるボール、『千と千尋』の世界のように」)。
▶私たちは「色」を見ているのではなく、「光」を見ている
ナイナイの矢部さんがそれほど大きくない話はさておき、チコちゃんに学んだ内容もシェアしておきます。
テニスがいかにプレーしやすいかを、「実感」できる話です。
私たちが色を識別できるのは、その物体そのものに「色」がついているからではありません。
物体が光をどのように反射するかを、私たちの目と脳が認識しているのだそうです。
人の目に見える可視光線――一般に「紫・藍・青・緑・黄・橙・赤」の7色に分類されます。
物体は、その中の特定の波長の光を多く反射し(映し)、それ以外を吸収(見えなく)する。
私たちは、その反射された光の波長を、物体の「色」として認識。
つまり、物体の色を見ているのではなく、光の色(可視光線)を見ているのだそうです。
ですから、たとえどんなに光り輝く「黄金」も、光がない真っ暗闇では、「見えない」というわけです(関連記事「金は有限、欲望は無限」)。
▶緑色が目に優しい理由
緑が「目に優しい」と言われるのにも、理由があるのだとか。
目のピントは、水晶体(レンズ)の厚みを、毛様体筋が厚くしたり薄くしたり調節することで合わせられます。
像を写し出すスクリーンの網膜上で、自然に焦点が合いやすい位置は、光の波長によって異なるのだそうです。
短い波長の青は、網膜の手前側に焦点が合いやすく、つねに、毛様体筋による微調整が必要になります。
オートフォーカスのカメラで、シャッターを半押ししたままジージーとピントを合わせ続ける健気なイメージでしょうか。
一方、長い波長の赤は、網膜の奥に焦点がずれやすく、像がぼやけやすい性質があるそうです。
それに対して緑は、焦点位置が網膜に最も近く、毛様体筋による調節がいちばん楽。
そのため、緑は「目に優しい」。
視覚的な負担が少ない色とされているのだそうです。
▶テニスボールが黄緑である必然性
そして緑のなかでも、人の視覚感度が最も高いのは、波長約555ナノメートルの「黄緑色」なのだそうです。
そう、テニスボールが黄緑色なのは、偶然ではありません。
私たちは「見えている」と思っていますが、実際に見ているのは、「ボールそのもの」ではありません(関連記事「フェデラーは光、イチローは影──その『表裏』が人を強くする理論編」)。
光の一部を、自分の感覚器と脳が都合よく解釈した結果を見ているだけです。
ですから、プレー中のボールにも、光と影。
太陽や照明に当たっている側には光、裏側には影が、飛び交うボールにも、集中できていると見て取れるはずです。
▶イエローボールは、テニスを「見やすく」進化させた
相対性の世界です。
テニスボールが赤や青や黒だったりしたら、もっとプレーしにくいのでしょうね。
テニスは元来、野球等と同じ白色のボールでプレーされていました。
なぜ黄色に置き換わったか?
諸説あるそうですが、白色のボールは、クレーコートだと汚れが目立った。
さらにカラーテレビが普及し、白色だとブラウン管を通じてボールが見にくいなどの理由により、今の黄色が定着したそうです。
1972年に、公式ルールブックに「黄色」と記載。
ただしウインブルドンは伝統を重んじ、黄色を採用したのは1986年大会で、それまでホワイトボールを使い続けたそうです。
いずれにしても、先述の視覚的なメカニズムを踏まえれば、今よりプレーしにくかったと想像できます。
ちなみに2010年、ダンロップフォートは発売50周年を記念して、白色の復刻版をリリースしたのでした。
▶「見やすいはず」という実感が、ボールを光らせる
最も目に優しい黄緑色。
その事実を受け入れるだけで、見やすい「実感」が強まり、プレーしやすくなる可能性があります。
プレーするうえで大事なのは、サイズそのものではなく、サイズ感と述べました。
色も、色そのものよりも色感。
「見やすいはずなんだ」という実感が、あなたのなかでありありと高まるだけで、ボールが光って映るようになるかもしれません(関連記事「『気分・機嫌・気持ち』が大事」)。
なぜなら先述したように、自分の感覚器と脳が都合よく解釈した結果を見ているにすぎないからです。
それが証拠に、「キングオブコント2025」を制したロングコートダディ・堂前透さんは、「街並みがきれいに見えるようになった」とコメント。
大事なのは、色そのものよりも、その見方です(関連記事「すぐにできる、ボールを大きく光らせる見方の実験」)。
▶ボールが「光って見える」のは当然
実際、ボールに集中すると、「ボールが光って見える」という人は、少なくありません。
それは大げさでも嘘でも何でもなく、「事実」なのです。
なぜなら私たちは、ボールそのものを見ているのではなく、反射された「光」を見ているのですから、光って当然です。
HEAD社のボール、視認性を高めた「スマート・オプティック・フェルト」採用の『TOUR XT』や『ヘッドプロ』は、優れた機能です。
▶今すぐできる、視覚感度のスイッチオン
「目に優しい緑」。
その事実を受け入れるだけで、ボールを見る目、追う目が変わります。
気持ちしだいで、感度が上がるからです(関連記事「『鈍感力』より『敏感力』──タフさは感受性から生まれる(連載その1) 」)。
具体的に試してみましょうか?
周りにある「緑」を探してみてください。
今まで目に入っていなかった「緑」が、ここかしこに見つけられるはずです(関連記事「スマホの画面に『気づかないアプリ』がある理由」)。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero