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【語学】学習の毎日継続や習慣化はどうでもいい

※この記事の内容を解説する音声コンテンツも用意しています。音声派やながら聞き派の方はこちらをどうぞ:

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noteには、英語学習のモチベーション維持や習慣化などの話題をあつかう記事がたくさんあります。それくらい、習慣化したい人や意地でも語学学習を継続したいと熱く燃える人がいるのだと思います。

そして僕は、そのような習慣化やモチベーションアップの記事がnoteで渦巻く中、やりたくないならしなければいいというまったく異なるアプローチを提案したいと思います。わけのわからない話に聞こえるかもしれませんが、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

なぜ習慣にするのか

習慣化に取り組まなければならないということは、あたりまえですが、現状その習慣が身についていないということになります。そして、これは以下のふたつのパターンに大別できます:

  • やらなきゃいけないのに、できていない

  • やらなくてもいいことが、できていない

ひとつめの、「やらなければならないこと」はふつう、なんだかんだやりますから、あまり問題にはなりません。宿題、歯磨き、洗濯、通勤通学の移動など、やらなくてもいいならやりたくないけど、マストだからするタスクというのは、結果的に誰でもやります。仮にやらなかったら、他の誰かが、「ちょっと、やりなさいよ!」と刺激を入れてくれるので、自律的に軌道修正されます。

対してふたつめの、「やらなくてもいいことができない」というのが、今回話題に上げようとしている活動であり、英語学習や楽器の練習がその例です。英語学習や楽器演奏は緊急でも何でもなく、やらなくても致命傷がないことが共通しています。掃除や洗濯のように、「やりなさいよ!」と言われることはありません。

ここで、大きな疑問を感じませんか。なぜ、やらなくてもいいのに、それができていないと焦るのでしょうか。言い換えると、「別にやらなくてもいい、ただ、やらないのは困るから、それをできるように習慣化したい」という、矛盾した感情にいたることになります。

なにかを継続したり、習慣的にこなしたりする努力には、「結局なにがしたいのか」という問いが常にからみます。「やらなければならない」という心理には、「では、なぜやらなければいけないのですか」という根本の問いに関する話が抜けているのですが、これが、大きな疑問のひとつです。

矛盾する感情の正体

この、「やらなくてもいいけど、やらないといけない」というわけのわからない感情についてですが、そのような感情が存在することを認めずに、何か別の感情が裏に潜んでいると考える方がよさそうな気がします。

僕は、「ほんとうはやりたくないけど、それをしたくないと認めたくない」という感情が根本にあると考えます。語学学習を「別にやらなくてもいいこと」と割り切ってしまうのが怖いという感情があるから、習慣化がどうのこうのという言葉が表に出始めてくるわけです。

ビジネスの世界にはサンクコストという考えがあります。プロジェクトの中断や撤退など、投じてきたリソースすべてをドブに捨てることと等価である決断をすることがあり、そのときにドブにすてたコストのことをサンクコストといいます。サンクコストは純粋な損失であるため、いわゆる損失回避の心理の原因になります。

そして、英語学習の場合でも損失回避の心理は働きます。自分がやってきた語学学習をきっぱりやめるのは損失だから怖い、そして、その損失を回避するには、毎日継続するべきである、となり、習慣化の思想にいたる、というわけです。

自分にうそをつかない

ここで、冒頭で触れた、「英語学習をしたくないのなら、しなければいい」という話が来ます。

「英語学習をしたくないなら、しなければいい」という思想は過激な思想でも何でもなく、その人が不幸にならないための現実的な手段です。ホントはやりたくないのに「やらなきゃ」とうそをつき、自分をだましながら、損失を恐れながら習慣化だの毎日継続だのに取り組むのはどう考えても不幸ですから、その不幸を即座に除去できる、「やめる」という停止ボタンは特効薬になるはずです。

自分に出したうそに自分で振り回されるのは不幸なことです。自分が口に出している論点や課題が、ほんとうに的を得たものなのかは、考える必要があります。もし、語学学習をできない理由を自分がさえずりだすようになったら、その背後にある自分の心理を、振り返ってみることをオススメします。

たとえば僕は過去に、「英語学習の時間がないは嘘」というnote記事を出しましたが、これもそのような、自分につくうその一例です。時間がないということにすれば自分自身の中の葛藤をとりあえず抑え込めるし、認知的不協和を解決できる、だから、人々は、「(ホントは時間があるのに)時間がない」と言いたがるわけです。

まだしていないという感覚

ここまでで、やりたくなければしないという至極シンプルな結論を確認してきましたが、もうひとつ、「してないけど、それをやろうと思えばできる」という感覚についても触れておきます。

「英語学習をやめる」というのは、「もう二度と英語学習をしない」というような永遠の決別を宣言することではありません。「まだしてないけど、それをしようと思ったら、できる」という状態を維持している、と解釈することも可能です。

これは、この状況になったらこのレバーをひけばいい、という状況確認をあらかじめしておいてから、まだレバーはひかない、という感覚に似ています。オプションを確認してこれを手元に置き、その状態を維持しておくということです。

たとえば、世の中には多種多様な母語なまりを備えた英語スピーカーがいますが、彼らすべての英語を聞き取るためには、それぞれの話者集団の特徴をとらえてそれに特化した訓練を行う必要があります。

世の中、ネイティブを礼賛しまくる風潮があるため、あたかも、「ネイティブの英語を完璧に聞き取れることがリスニングの唯一の目標」であるかのように考えている人もいるかもしれません。ただ、地球上の英語話者の75%はノンネイティブですから、ノンネイティブと対面する確率の方が高くなるはずですし、その際にそのような話、つまり、特定のノンネイティブの英語を聞き取るための技能についての話が出てくるはずです。

ここで、とある現実的な問題が発生するのですが、それは、人の一生の時間は限られているという問題です。

英語スピーカーの母語なまりの程度や種類は無限といってもいいくらいですから、それらすべてに対応しようとなるといくら時間があっても足りません。あらゆる母語なまりを研究し、それを理解するための時間は人間ひとりにはありませんから、どうしても、やらないという決断をする必要があります。

そこで役に立つというか、便利なのが、「オプションをあらかじめ点検しておく」というムーブです。これはレバーの話と同じで、「特定のノンネイティブ・スピーカーに出会ったときの対応」を、あらかじめその人のなかで決めておけばいいのです。

習慣化の心理には、「やるべきとされていることを『早めに、すぐに』しないといけない」という考えが根底にありますが、たいしてレバーやオプションの考えには、その状況になったら何をするかあらかじめ固めておいて、すぐにはそれを実行しない、という考えがあります。

さいごに

心は正しい目標を欠くと、偽りの目標にはけ口を向けるという言葉があります。

語学学習の毎日継続や習慣化を声高に叫んでしまうのは、典型的な偽りの目標です。それは手段の目的化であり、多くの人にとっては本来やりたかったことではないはずです。

僕はよく、「3人のレンガ職人」のたとえ話を好んで使い説明しているのですが、後世に残る大聖堂を建てている、光栄だよと誇らしげに説明する3人目のレンガ職人の視座を持ちながら、語学学習をしたほうがいいよね、という話も、僕のメッセージになります。

継続することに病的なまでにこだわる様子は、健全なすがたであると僕は思えません。習慣化がその人の中で意識されるようになったということは、「やりたくない」という素直な感情がその人の中で芽生えてきたことを示すインディケーションですから、そこに嘘をつくことなく向き合うべきだと僕は思います。

あれもこれもしなければならないという心理もそれに似てて、「忙しくせわしなくバタバタしただけで、結局何も手元にのこらなかった」という事態になります。

なにかを止めても、それを実行するためのオプションは残り続けます。やめることと永遠の決別は違いますから、オプションやレバーの点検さえきちんとできていれば、なにか行動していないこと自体に焦ることはなくなるはずです。

語学に限らない話ですが、「やらなければならないもの」として義務化するのではなく、「必要なときに再開できるもの」として扱うのは、心をラクにするための手段になります。「続けられていない自分」に対する罪悪感などを抱く必要はないですし、自由である方がラクです。モチベーション管理・維持そのものに疲れている人も一定数いるはずですから、そのような人にとってこの考え方が救いになるはずです。

義務感を勝手に背負うのではなく、自由に、勝手に、わがままに進める語学学習については、「外国語を学ぶ態度」というタイトルで書いた僕のKindle本でも触れています。焦っている自分を冷静になって見つめ直したい方におすすめです。Kindle Unlimited加入者は0円で読めますので、ぜひチェックしてみてください:

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▼この記事を書いた人▼

そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。詳しいプロフィールはこちらから。

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主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから

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さいごに

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