「Act・2 (アクト・ツー)!!」 【第9話】 (創作大賞2025 エンタメ原作部門)
第8話↓の続きです。
※Mはモノローグ
倫生館大学演劇研究部・稽古場
オーディションから1週間後。外は快晴。5月とは思えない暑さのようだ。
ざわざわしている稽古場にはずらっと並んだ俳優部の面々。ホワイトボードには『俳優部全学年顔合わせ!』『ようこそ〜』などと書いてある。
とりあえず端っこに立っている冴島。そこに、藤内梓(とうない・あずさ)が話しかけてくる。
梓「きみ、」
冴島「….は、はい!」
梓「冴島さんだよね?」
冴島「はい」
梓「すごかったね。オーディション」
冴島「あ、え、いや….ありがとうございます!」
俳優部長・4年の利根川楓(とねがわ・かえで)が全体の前に出て喋り始める。ロングヘアにクールな佇まい。どこか余裕のある雰囲気。
楓「はい、お疲れ様です。今日から今年度俳優部始動します。俳優部長の4年利根川です。よろしくー」
冴島M「めちゃくちゃ美人だな…..」
楓「江波はまた胃を壊したということで遅刻ですね。じゃ、1年生自己紹介お願いします」
1年生で俳優部に合格したのは5名。倍率は10倍の狭き門だった。それぞれが自己紹介をする。
泉「あ、泉マーク(いずみ・まーく)です。最近はモデルとかやってます。特技は英語とスペイン語が喋れるくらいっすかね。先輩とか関係ないんで。勝つ気でいます」
口をあんぐりさせる冴島。
冴島M「口は悪いが…….めちゃめちゃモテるだろコイツ….ハーフの顔立ちに身長は…俺より10cmはあるな…くそ!!」
雪「あ、えっと、あっと、篠原雪(しのはら・ゆき)です…!え、え〜っと、ひぇ、高校演劇をやっていて、えっと、い、いました!よろしくお願いしまっす!!!!…..え、あ、きゃーっっ!!」
冴島M「……え?お辞儀の風圧でペットボトル倒れてしかもたまたまキャップ空いてて水こぼれまくってるんですけど…?そんなことある….??」
凛子「ども!鳥飼凛子(とりかい・りんこ)です。大阪生まれ大阪育ち!なにわガールです!!上京して一人暮らし大苦戦中です!おすすめの飲み屋連れてってください!よろしくお願いします〜!!(ピース)」
冴島M「ギャル紛れ込んでない?」
梓「藤内梓(とうない・あずさ)です。ただただ頑張ります。よろしくお願いします」
冴島M「この人同期だったのか」
冴島「えーと、冴島光です!演技初心者なんですけど頑張ります!よろしくお願いします!!」
こちらを見ている2〜4年の俳優部の面々からの圧を感じ、少しビビる冴島。
冴島M「…..大丈夫だ。俺は、ここにいる資格があるってことなんだから」
ーーフラッシュバック
オーディション終了後
結果発表を聞き、涙を流す多くの1年生たち。視線を少し感じ、目をそらす冴島。その視線は嫉妬と羨望にまみれている…ような気がした。
ーー
楓「はい、今年度はこのメンバーでやっていきます。よろしくお願いします」
全体「はい!」
楓「で、うちの大きな公演としては年に2回。今稽古中で6月にやる春公演と11月の秋公演ね。秋は地方も回ります。それぞれの出演者は部内オーディションで決まりますが、学年や経歴は一才関係ありません。1年生も遠慮せず、積極的に役を取りに来てください」
1年生「はい!」
楓「それで、春公演では1公演だけ、キャストや演出もすべて1・2年生で上演する新人公演というものをやっています。経験を積んでもらう機会です」
冴島M「そんなのがあるのか」
楓「ま、とにかくここからは競争の世界ですので。切磋琢磨して頑張っていきましょう」
全体「はい!!」
顔合わせ終了後。江波がそろーっと稽古場に入ってくる。
江波「あ、もう終わっちゃった?」
冴島「江波さん!!」
江波「いやー今日は3回吐いたらスッキリだった。いや….そんなクズの話はどうでも良くて…….えーと、改めて……ようこそ、俳優部へ」
冴島「ありがとうございます!!!」
知っている江波が来たからか、どこかほっとした表情の冴島。
江波「まずは一安心だね。それに梶くんも」
冴島「はい!」
江波「1年以内に自分の脚本が公演に採用されなければ退学って…….さすがエリート家族…..」
冴島「でも圭一郎さんがそんな猶予をくれるとは思いませんでした」
江波「….だよね」
2人の前に、俳優部2年・水本虎之助(みずもと・とらのすけ)が。
水本「江波さん」
江波「……ん…?」
大きく振りかぶり、江波を指差す水本。
水本「負けません!!!」
ポカーンとする江波と冴島。そこに、同じく俳優部2年の池原鏡花(いけはら・きょうか)が。
鏡花「水本!!!またチェックメイトして!!!」
水本を撤収する鏡花。
鏡花「すみません…..」
ズリズリと引きずられる水本。ぴたりととまる鏡花。
鏡花「….でも、今年は絶対私たちの年にするんで。失礼します」
ズリズリと稽古場を出ていく水本と鏡花。その様子を目で追う冴島と江波。
冴島「ーーなんすか、今の?」
江波「…..まぁ…….自分で言うことでもないんだけど…..僕らの代って毎年いい役やってる人が多くて…..まぁ…….それで一個下にライバル視されてる…..っていうか……..(ボソボソ)嫌だ自意識過剰じゃん自分キモ…….」
冴島「そうなんすね」
江波「虎之助は春公演で僕とダブルキャストで、余計にライバル視されてるっていうか…….」
冴島「同じ役を2人の役者が演じるってことっすね」
江波「最近は毎日チェックメイトされてる……もう先端恐怖症になりそう…….」
楓「あ、そうだ江波」
楓が話しかけてくる。
江波「はい?」
楓「新人公演の江波の役、冴島にやらせるから。よろしく」
冴島「へ!?」
楓「演出のあかりちゃん直々のオファーだから。頑張って」
冴島「えああああ!?…だって江波さんの役って……」
江波「……まぁ、主役だね……」
【第10話に続く】
一旦長めのインターミッション(休憩)をいただきます!
今作品は創作大賞のために整えたという事もあるので、続きはマイペースにぼちぼち更新させてください!
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