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旅は円を描き、線に沿う

波に線は書き換えられていくように


導かれては続く旅。自在な曲線を描く定規を景色
に当てるように、ゆらゆらと重なっては続く線を、
波打ち際にたどっていく。生まれては、消えゆく
跡を振り返り、過去の旅を現在のゆらぎに置いて。



ゆっくりと運動を繰り返す波は



確かめる術もないけれど



一つとして同じ線を描くことも


同じ音を立てることもない



歩くほどに線は丸みを帯びて


風景はゆるやかに連なっていく



線が弧を描く



雲はやわらかな背景となる



いったりきたりする波と


旅の調べを繰り返す



建物には色あせた文字



ひと夏のざわめきの余韻を 


景色にひかれた色や線に重ねていく



連続したガラス窓に浮かぶ色に

導かれるように、波打ち際をたどり



空間に散りばめられた色の中へ



月の動きを示す形が



やわらかなアルルカンの柄に浮かぶ



記憶はあせては鮮やかに


旅は視点を色づかせていく



光を帯びた円盤がゆっくりと



宙に重なり動いては



時間の流れを表すように


旅の線上をくるくると回る



時間がゆっくりと過ぎていく。足元には



目をキョロキョロとさせるサイクロプス



作品は神話の流れも取り込んで



壮大な時間を空間の中に落とし込む



ゆらゆらと揺れ動く線の重なりは



スティックチャートと呼ばれる海図



自らの意思で描き出すように


引かれた線に導かれるように



静かに繋がれる音の形は



柔らかに周囲に留まっては


オルゴールが紡ぐ


素朴な音色に歩みを重ねる



くるくると円盤が回る。窓の向こうには海。線が
音に沿う。オルゴールが静かに音を立てる。音に
形が揺れる。ゆらめく海図に、自らの地図を重ねる。
広がる風景を紡いでは、旅は円を描き、線に沿う。



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