見出し画像

「人間関係構築力ゼロ」と診断された人事がアジアの人事責任者になれた理由

「私は、人間関係をうまく構築できない欠陥人間」

これが、世界的有名な性格診断で出た私の診断結果。実際、私は友だち0。でもこんな人間が世界的大手外資系で、アジアの人事責任者をしています。

以下の実物の結果を見てください。4つの「力」の構成比率が示されています。

①実行力 20%
②影響力 30%
③戦略的思考力 50%
④人間関係構築力 0%

ね? 人間関係の構築は、明らかに私の苦手分野です。でもこれは克服すべき弱みなのでしょうか?

この問いについて考えながら、このnoteでは、 「弱みの克服」に偏りがちな日本の人材育成の傾向と、それよりも「強みを伸ばす」ことに目を向ける重要性について、書いていきます。

部下や自分自身の育成方針に悩む経営者・人事・マネジメントの方に読んでいただきたい内容です。


1. 衝撃を受けた自己診断ツールの結果

2024年のゴールデンウィーク。私は自己理解を深めようと、性格診断を受けました。受けたのは、ギャラップ社のクリフトンストレングス®というものです。

色々な質問に答えることで、自身の思考、感情、行動のパターンを解析してくれます。ギャラップ社では34種類の「資質」を定義しています。34の資質には、「責任感」、「活発性」、「未来志向」など、色々あります。そして、その中から、自分を特徴づける上位の資質を特定してくれます。ランキング的に、どの資質が1位で、どの資質が34位か、順番で出てくる感じです。

ちなみに、34の資質は、さきほど出てきた4領域のどれかに分類されます。

  • 「責任感」、「信念」、「達成欲」など → 実行力

  • 「活発性」、「競争性」、「自我」 など → 影響力

  • 「未来志向」、「学習欲」、「内省」 など → 戦略的思考力

  • 「親密性」、「共感性」 など → 人間関係構築力

2. 人間関係構築力に属する資質は、ゼロ

私が、トップ10の資質を見て感じたこと、それは・・・

人間関係構築力が・・・ない・・・だと?

こう思いました。しかも、この人間関係構築力の領域に属する資質(青色)が軒並み、下のランクです。グサッ! ・・・ これは結構ショックでした。

私はおひとりさま・・・ 私は一匹オオカミ・・・ 私は社会不適合・・・

そんな言葉がよぎります。確かに、友達は少ないですし、つるむことも好きではありません。この診断結果は当たってはいるのです。しかも、私の周りで受けた人達の結果を見ると、「人間関係構築力」の領域が結構上位に来ている。グサッと来ました。

「俺は、人間関係を構築できない人なのか・・・」 と。

3. 弱み克服というよりも、「強み」を見つける診断なのだ

しかし、この診断の趣旨を聞いてみると、少し考えが変わったのです。

この診断の趣旨は、「ストレングス・ファインダー」だそう。ファインダーは、Finder。才能を「見つける」ということ。要は、あなたの強みを見つけて磨き上げましょう、というもの。

また、この診断結果を使って、解説をしてくれるコーチのお話も聞きました。そして、私は次のように理解しました。

  • 弱みばかりに目を向けるな。

  • 資質的に弱いのだから、仮に改善に注力しても強みにならないかもしれない。

  • 要は、リターンが少ないかもしれない。

  • 逆に、得意なことや強みをさらに磨き、最強にする方が戦略的には賢いかもしれない。

と・・・我々は、キャリアや能力開発において、つい弱みばかりに目を向けてしまいませんか。

上司と部下(Aさん)の間で、こんな会話が聞こえてきそうです。

上司:「Aさんは、資料をまとめるスキルはすごくあるんだけど、簡潔に発表できるスキルがまだまだだね。」
Aさん:「はい・・・ すみません。頑張ります。」

これは日本に住んでいるからこそ、そうなってしまう傾向があると思います。例えば、改善の文化。少しずつ、課題を見つけては潰していくカイゼン。トヨタをはじめとした多くの企業で取り入れられています。このように、弱みと思われる所が出れば、素早く分析して、それを克服していく。もちろん、このカイゼン文化は日本の高品質や強い経済力の礎になっています。絶対に必要です。

また、学校の教育も影響していると思います。例えば、公立高校に行くには、五教科をしっかり学ぶ。国立大学に行くために、五教科七科目を満遍なく学ぶ。

しかし、自身の強みの部分はどうでしょうか。「この分野は、もうできてるからいいじゃない!」と言われて、放置しがちな気がします。しかし・・・

その「できている」は、他をも圧倒する最強の武器になっているのか。

こう問うと、少し怪しくなると思います。「餅は餅屋」という言葉があります。「何事もその道の専門家に任せるのが一番良い」という意味のことわざです。

現実の社会生活、職業生活においては、基本はチームワークです。分析が得意な人、戦略を描くのが得意な人、人前で講演するのが得意な人。こうした得意が合わさって、素晴らしいチームワークができています。

そのように考えると、

  • 自分的には出来ていると思っている所、得意と思っている所を見つめ直す。

  • それを、他の追随を許さない強みに変える。

こうしたことも必要だと思うのです。そして、

  • その分野で頼りにされる圧倒的な存在になっていく。

  • 逆に、自分の得意でない所は、強がらずに、素直に開示して得意な人に頼る、任せる。

その分野での圧倒的なプロになろう

実際、強みを活かすアプローチの効果は、データでも裏付けられています。

ギャラップ社の調査では、強みを毎日活かして働く人は、そうでない人に比べてエンゲージメントが6倍高いという結果が出ています。一方で、日本の従業員エンゲージメント指数は世界最低クラスの5%(2023年版、世界平均23%)にとどまっており、この差は決して小さくありません。

4. 「弱み」は放置していいわけではない。投資すべきエリアならば、せめて赤点脱出レベルへ

もちろん、弱みはすべて放置していい、ということが言いたいわけではありません。クリティカルなところだけは、それこそ、カイゼンして、赤点状態は脱しておくようにしておく。

例えば、昇進してマネージャーになった。経営陣に報告しないといけないが、プレゼンがめちゃくちゃ苦手だ。こういう状況ならば、プレゼン力は速やかに赤点脱出レベルまで引き上げておく必要があると思います。

そういえば、高校生の頃、私は、数学が苦手でした。国立大学志望のため、数学は必須でした。ですので、めちゃくちゃ数学の克服のために、時間とエネルギーを費やしました。一応、赤点を取らないレベルには持っていき、無事に志望校には合格できました。それでも、最後の最後の試験でも、何とか足を引っ張らない程度。結局、得意な所 = 強み で稼いで合格したのです。

私は、人事という仕事柄、色々な人と1on1をすることが多いです。そして、よくこのように問います。

「あなたは、何のプロだと、周囲から認知されていると思いますか。」 「その分野で圧倒的なプロだと言われるほど、磨き上げているあなたの強みは何ですか。」

弱みや課題のカイゼンに目が行きがちな人材育成の現場。「餅は餅屋」という金言が真実であるならば、私達は、自分の得意分野で、No.1の餅屋になることを目指していく。そんなポジティブ志向の思考や対話が、人材育成の現場で、もっともっと活発に行われていいと思っています。

5. まとめ:弱みより、強みに投資する

今回のポイントを整理すると、

  • ストレングス・ファインダーの趣旨は「弱み克服」ではなく「強みを見つけて磨き上げる」こと

  • ギャラップの調査では、強みを毎日活かす人はエンゲージメントが6倍高い。一方、日本のエンゲージメントは世界最低クラスの5%

  • 弱みをすべて放置していいわけではなく、クリティカルな部分だけは「赤点脱出レベル」まで引き上げる

  • 「あなたは何のプロか」と問い続けることが、強みを引き出す人材育成の第一歩になる

ちなみに、この診断結果で出ていた最大の弱み、「ポジティブさ」の欠如とどう向き合ったかを、「「自己暗示」で弱みも強みに変える人材育成術|現役人事の実践例」という記事で書いています。こちらは「弱み」を自己暗示という具体的な手法で書き換えた実践編です。

あわせて読みたい

企業の人事担当者様・経営層の方向けの、強みを活かす人材育成・組織開発に関する研修・講演のご依頼も随時受けております。ご興味があればお気軽にお問い合わせください。


いいなと思ったら応援しよう!