SoFi決算の“ズレ”の正体──長期収益を優先した経営判断
全体の数字だけを見れば申し分ない内容だった。しかし、各事業を個別に見ると、想定とは異なる動きが多く見られた。

結果は「全社売上10.9億ドル(前年比+41.1%)」となり、その内訳は以下となった。
・ローン事業6.3億ドル(前年比+52.6%)
・金融サービス事業4.3億ドル(前年比+41.4%)
・技術プラットフォーム事業0.8億ドル(前年比-27.4%)

すなわち、サプライズの要因は、
・ローン事業の想定以上の上振れ
・金融サービス事業の下振れ
・技術プラットフォーム事業の想定以上の下振れ
と、各事業で想定とは異なる動きが見られた点にある。
本稿では、まず各事業の概況を確認する。詳細は改めて記載する。
<ローン事業>
ローン事業はとにかく“強い”の一言である。
売上は前年比+52.6%を記録し、貢献利益率も+60.8%と前年同期から約3%上昇した。

これは、「増資による資本強化」と「預金の積み上がり」により、
・資金調達コストの低下と金利負担の高い債務の返済が進み、
・預貸率が約90%まで低下し、貸出余力が拡大していたためである。
これは、事前想定を上回る効果をもたらしているようだ。
<金融サービス事業>
金融サービス事業は想定ほど伸びなかった。

しかし、この要因は明快で、金融サービス事業の売上4.3億ドルを金利収入と非金利収入に分解すると分かりやすい。

金利収入は預金の増加・利回りともに想定に沿った推移を示している一方で、非金利収入が減少に転じた。
その理由は、非金利収入の多くを占めるローンプラットフォームビジネス(LPB)向け融資の減少による売上減である。

この理由も明快で、決算説明会後、Bloombergのインタビューに答えたAnthony Notoは次のように答えている。
“LPBは非常に好調でした。前四半期ほど強くなかったのは、自社のバランスシートに組成したローンのより多くを乗せるという意識的な判断をしたためです。資本力があったからこそできた選択で、それらのローンは今後3年間にわたってキャッシュフローを生み出します。一方、LPBは当四半期に収益を生むだけです。”
そこで融資実行額(総額)を確認すると、「前年比+68.1%」と極めて強い伸びを示すなか、内訳は、融資額(LPBを除く)の伸びがより大きくなった反面、融資額(LPB向け)の伸びが鈍化していることがわかる。

Anthony Notoのコメントにもある通り、LPBは即時の収益化が当該四半期に可能な反面、その収益は一過性にとどまる。
※LPBはローンを組成後すぐに売却するビジネスモデルであるため、当該四半期に収益を一括計上できる。
そのため、増資によって得た余力を活用し、より持続的な収益を生むためにバランスシート上にローンを積み増した形である。短期収益よりも長期収益を優先した点は、高く評価できる。
なお冒頭に、ローンと金融サービス事業の売上を、それぞれ前年比+52.6%、前年比+41.4%と記載をしたが、2事業合計の売上は前年比+47.9%となる。
私の2事業の売上想定は前年比+46.0%である。(2事業合計の売上予想49.2億ドル÷前年実績33.7億ドル)
そのため、これもほぼ想定通りの推移となる。実態として、売上計上の比重がLPBからローン事業へ移ったに過ぎない。
貢献利益ベースで見ても、このことが明確に分かる。

よって、2事業を通じて言えることは、「心配無用」ということである。むしろ、Anthony Notoが「驚くほど好調」と語ったSoFi Plusによるサブスクの収益貢献など、第2四半期以降に売上計上が期待できる要素もあるため、実態は想定を上回る内容と言える。
<技術プラットフォーム事業>
売上は0.8億ドル(前年比-27.4%)となった。Chimeの離脱の影響を除くと、売上は前年比+12%とのことである。(当初の会社ガイダンスはChime離脱の影響を除き、前年比+20%)
Chimeの解約による影響を織り込み、前年比+20%で売上予想をしていたものの、想定以上に同社向けの売上が大きかったことになる。
決算説明会を中心にコメントを拾っていくと、第1四半期を底とし、今後は伸びていく様子がうかがえる。ただし、通期売上は約3億2,500万ドルとなる見込みとのことで、大きな伸びを期待することは難しいようだ。
なお、今後数年間で20~25%の複利成長率を取り戻すことを目標とし、今後数か月以内に、新しいブランド「SoFi Technology Solutions」を展開していくとのことである。この詳細はまた後日解説をしたい。
<まとめ>
・金融サービス事業は想定を下回ったものの、これはローンをバランスシート上に保有し、収益最大化を図った結果であり、ローン事業との合計では売上は想定を上回っている。
・技術プラットフォーム事業は想定を下回る見込みだが、構成比が小さいため(下図参照)、全体への影響は限定的である。
よって現時点では、先日示したEPS 0.70予想を変更する必要はないと判断している。

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