銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (49)
・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20) ③~(30) ④~(40)
・ (41) (42) (43) (44) (45) (46) (47) (48)
そのまま神殿の最上階にある教皇の部屋で御前会議が開かれた。
いつも俺が警護していた王族全員が集まった。
細長いテーブルの議長席に教皇が座っている。俺は近衛兵の帽子を取って末席に座った。
俺の後ろにレイターが、ガーディ王弟の後ろにはアドゥールが無表情で立っていた。
恐れ多い場だ。俺に対する視線が冷たい。
だが、ここにいる全員が同じ思いを持っている。ラールシータを救いたい。その一点において同志だ。
俺は、俺の考えを、民の声を、伝えた。
「私オルダイ・バルボアは、ラール王室を愛しております。国民議会の設置は革命ではございません。この国難をラールの民と王室が手を取り合うことで乗り越えたいと考えております」
*
御前会議が終わった。
最後にレイターが最敬礼をした。

「ラールの御心のままに」と。
* *
「タラ星系へ向かい、間もなく当機は離陸いたします。シートベルトの着用をお願いいたします」
ティリーの目の前で女性の客室乗務員がアナウンスをしていた。
エアポートの西ゲートからちょうど臨時便が出発するところだった。
「いやあ、助かったね」
隣の席のフレッド先輩は嬉しそうだ。
マイヤーさんが用意してくれた席はファーストクラスだった。
客室の先頭にある、座り心地のいい広い椅子が私たちの席。
けれど、わたしは居心地の悪さを感じていた。

『非常時にどういう行動をとるかで人間としての幅や器の大きさが分かるというものです』
マイヤさんの言葉が頭の中で繰り返し思い出される。
わたしは混乱する非常時に何もできなかった。
あそこから逃げることだけしか考えていなかった。負傷した人たちを救うどころか見捨てようとした。
レイターは違った。
ガロン技師長の救出に向かったレイターの姿が浮かんだ。いい加減でおちゃらけた人だと思っていたのに・・・。
そのレイターも置いて私は逃げようとしている。
自己嫌悪におちいる。
そんな考え事を吹き飛ばすような大きな声が目の前で聞こえた。
「全員動くな!!」
な、何なの?
顔を上げると客室乗務員の女性にナイフを突き付けている男の姿が目に入った。
「きゃあ」
驚いて声が出る。
助けて、レイター。
思わず助けを求めたわたしに、レイターの声が聞こえた気がした。「あんたが俺を信頼していなかったら、銃を持っていようがいまいが守れやしねぇよ」と。
* *
アリオロンの地下アジトでライロット・エルカービレは目を覚ました。
「大丈夫ですか? エルカービレ中佐」
補佐官が私を見ていた。

胸に激痛が走る。
神殿の集中電算室を最後に記憶がない。
レイターフェニックスを追い詰めたところで衝撃を受けた。
おそらくは高重力十Gの衝撃。
倒れたところでレイターフェニックスに左胸を撃たれた。
防弾のガードスーツを着ていて助かった。
だが、息をするのも苦しい。
「折れた肋骨が肺に刺さっています。応急処置はしましたが、安静になさってください」
レイターフェニックスはあそこで一体何をしていたのだ?
「状況はどうなっている?」
「まもなくラール八世が自ら勅令を発すると」
自らの勅令? そんなシナリオは聞いていない。
アリオロン同盟へラールシータが加盟することは円卓会議で決議された。後は教皇がサインをして通常の勅令で流す予定だ。
ラール八世がこれまで自ら勅令を出したことはない。
何かがおかしい。
「ラール全星に生中継されるそうです。まもなく始まります」
私は体を起こしてテレビのモニターを見つめた。
神殿のベランダが映っている。その下にはラールの民衆が集まっていた。デモは収まっている。
教皇が姿を現した。
ガーディ王弟には交渉で何度も会ったが教皇のラール八世を見るのは初めてだ。肖像画通りの白い髭の御仁。 (50)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」