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育児の落とし穴 〜パパ友不在〜

自己紹介
私は、働く人の健康をサポートする「産業医」をしています。普段は、産業医活動の「落とし穴」や日々の実践・考えを、noteやX(Twitter)で発信しています。

育休・育児シリーズを始めます
2025年に第一子を授かり、合計4ヵ月ほど育休を取得しています。この経験を通して得た学びを、『落とし穴シリーズ』として発信していきます。特に、これから育休を取ろうと考えている男性に参考になればと考えています。諸先輩方からすれば鼻で笑われるような内容もあろうかと思いますが、こんな人間もいるんだと温かい気持ちでご笑覧いただければ幸いです。

パパ友不在

パパだって大変なんだ

育児の大変さは、どうしても「ママのほうが大変」という文脈で語られがちです。

それは事実として間違っていない一方で、「パパだって大変」という感覚部分は、社会的にまだ十分に言語化されてきていない気もします(というか声をあげにくい?)。

なお、ここでは、どっちが大変なのかという比較や競争をしたいわけではありません。主語大きめで「ママは〜」とか「パパは〜」という話は建設的ではないでしょうし、それぞれに大変な要素があるでしょうし、家庭によっても大きく異なりますしね。

ただ、「パパだって大変」ということが口に出せないのは良くないし、効果的な対策につながらないと思うので、それを言語化することは、他の育児に関わる男性にも参考になると思うわけです。

パパもいろいろ大変

これまで私が記事として書いてきた、泣き声問題や、腰痛問題といったことだけではなく、仕事と育児の両立、周囲からの期待、慣れない家事・育児スキル、パートナーとの衝突などなどたくさんの大変なことがありますよね(読者のパパたちはわかってくれるはず!)。

その大変なことにしんどさを感じていても、それを表に出しにくい空気が、パパ側にはあるように思います。ここで重要なことは"しんどいこと"が多々あるという点です。

男性はしんどいことを吐き出す機会が少ない

なんでもそうだと思いますが、"しんどいこと"は吐き出すことがストレスケアのためには重要です。

しかし、その"しんどいこと"を吐き出す機会がパパ側には圧倒的に少ないのではないか、と思うわけです。

主語が大きめで申し訳ないのですが、やはり男性側の方が傾向として大きいように思います。職場でも地域のコミュニティでもそうですが、男性は傾向として吐き出すことが苦手だし、そういう場にも行かないし、グループを作らないですよね。

ママ友はいるけどパパ友は?

ママ友文化は確立されていますが、パパ友ってあんまりつくられないと思う
んですよね。特に、子供が小さい時はなおさらです(うちはまだ0歳)。

赤子を持つ男性同士の接点はかなり少ない気がしますし、男性ってそういうのが本当に苦手ですよね。私自身はコミュ障要素もあることや、遅めの年齢で赤ちゃんが生まれたため同世代の子供は大きくなっていたりという事情があり、さらにパパ友ができにくかったです。

育児は、女性のように妊娠・出産という同じ経験を共有できることはなく、さらに育児に主体的には関わっていないことや、仕事に逃げていることなどが背景としてあると思います。

まだ0歳だからであって、これから保育園や幼稚園、小学校とかに通い始めたら違ってくるとは思うのですが、いずれにせよ結果として多くの父親が、パパ友はなかなかできない孤独な環境に陥るんだと思います。

しんどさを共有したい

育児には辛いことはつきものですからね、愚痴を吐いたり悩み事を共有したいですよね。「しんどいよね」「わかるわかる」と言い合える相手がいるだけで、救われることは多いはずです。

パパ友不在とは、単にパパの友だちがいないという話ではなく、弱音を吐ける社会的な居場所が少ないという問題なのかもしれませんし、それがまた育児への主体的な参加を妨げているようにも思います。

パートナーには吐けない"しんどい"がある

うちは夫婦ともに議論好きなこともあって、会話は比較的多いと思いますが、それでもパートナーに吐けないようなこともあるんですよね(別に、陰口をたたきたいわけではないこともご理解ください)。


おわりに

パパ友がいないこと・できないことは、決して個人の問題だけではなく、男性の特性や、社会環境、構造的な問題も多く絡んでいる難しい問題です。

ただ、父親の孤独は、パパの育児参加の深度とも大きく関連しており、社会や母親側にもそのことを知っておいて欲しいとも思っています。父親の産後うつ(育児うつ)の問題も一時期話題になっていましたね。

あえてこの記事では、じゃあどうすればいいのか、ということには言及しません。問題だけを提起するのは好きじゃないのですが、それでも、まずは問題の共有だけで留めたいと思います。

男性育児が、今後の日本社会の当たり前になっていけば、おのずと少しずつ解決していく問題だとも思っています。

私見では、育児は孤独に行うものではなく、パートナーと二人で行うものでもなく、地域やコミュニティを巻き込んで広いつながりで行う必要があるのではないかと考えていますので、その対比として育児孤独があると考えています。

まずは、本記事がこれから育休や育児に向き合う男性の参考になれば幸いです。孤独になりがちなことも心の準備をしておいてください。

そして、同じように育児に頑張っている皆さん、今日も本当にお疲れさまです。


産業保健的コラム

〜育児の孤独感〜

仕事の孤独感尺度 Scale for Loneliness at Work(SLAW)というものがあります(参考サイト:仕事の孤独感尺度 scale for loneliness at work(slaw) – 島津明人研究室.)。
これを育児に当てはめてみます(育児孤独感尺度とでも名付けましょう)。
<教示文>
以下は,仕事において,どのように感じているのかについての質問です。もっともあてはまる選択肢を回答してください。
<設問>
1. 育児において,あなたは,自分に仲間付き合いがないと感じることがありますか
2. 育児において,あなたは,疎外されていると感じることがありますか
3. 育児において,あなたは,他の人から孤立していると感じることがありますか
<選択肢>
1. 決してない,2. ほとんどない,3. たまにある,4. 時々ある,5. しばしばある・常にある

<私の回答>
1. 育児において,あなたは,自分に仲間付き合いがないと感じることがありますか→4 時々ある
2. 育児において,あなたは,疎外されていると感じることがありますか→4 時々ある
3. 育児において,あなたは,他の人から孤立していると感じることがありますか→4 時々ある

育児とは孤独に陥りやすいということを考えさせる尺度なのではないでしょうか。そして、仕事の孤独感尺度は離職との関連が報告されています( Sasaki N,JOH 2025)。言い過ぎなのかもしれませんが、育児の孤独は育児離れを引き起こしているようにも思います(そういう論文がすでにあるかもしれません。もし知っている方がいればご教示ください)。だからこそ、男性の育児孤独を解消していくことが必要なのでは、と思ったりするのです。

追記(チャッピーまとめ)
「育児の孤独(parenthood loneliness)」に関する学術的なレビュー・研究は存在する。育児者の孤独感と育児ストレスの関連や支援欠如が心理負担として作用することが複数の研究で報告されている。

父親(男性)に特化した孤立研究・報告もあるが、「育児離れ」の因果関係を明確に示す論文はまだ限定的。日本国内でも父親の孤立が支援不足の問題として指摘されているが、定量的な「孤独が父親の育児離れを直接引き起こす」という明確な因果分析論文は少ない。

ただし、社会的孤立・孤独が育児関与やストレスに悪影響を与えるという一連のエビデンスは確立されつつある。特に国際的な親研究では、孤独感が育児ストレス、支援欠如と関連し、育児参加や継続に影響を及ぼし得る示唆を持つものが増えています。

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過去の記事

  1. 育児の落とし穴〜そばにいる〜

  2. 育児の落とし穴〜まずは共感〜

  3. 育児の落とし穴〜パートナーのケア〜

  4. 育児の落とし穴〜記録に残そう〜

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  11. 育児の落とし穴〜SNSの効能〜←Coming soon

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ちょっと癖のある投稿多めですが笑

また、夫婦でラジオも始めました。
育児トークは少な目ですが、よかったら聴いてください!




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