外為特会の基礎⑦:国債整理基金特会との関係
前回に続き、外為特会の話を記載します。以下では下記を前提とします(必要に応じて加筆修正します)。
外為特会の基礎①:外為特会のBSと為替介入|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎②:運用の概要|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎③:外国為替資金証券(為券)について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎④:日本には非不胎化介入は存在しない?|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑤:為替介入規模の推定|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑥:外貨準備と外為特会の違い|服部孝洋(東京大学) (note.com)
今回は特別会計一般の話に近くなりますが、外為特会におけるファンディング(FBの発行)の面白い点は、仮に外為特会が発行するとしても、まず国債整理基金特別会計を通るという点です。
まず、具体例をみます。外国為替資金証券(為券)の発行根拠法は、下記に記載したとおり、特別会計に関する法律第83条第1項であることがわかります。
外為特会の基礎③:外国為替資金証券(為券)について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
下図は、実際のTビルの入札の具体例ですが、「発行根拠法律及びその条項」をみると、為券に相当する「特別会計に関する法律第83条第1項」もその他の法律と併記されており、このTビル(第1173回債)の中には、為券(FB)も含まれていることがわかります。しかし、この発行の担当は、理財局国債業務課であり、外為特会を担当している国際局為替市場課資金管理室ではないということがわかります。

国庫短期証券(第1173回)の入札発行 : 財務省 (mof.go.jp)
これまで何度も説明してきましたが、歴史的には2001年に、為券などがFBとして統合発行されることになり、2009年にFBとTBがTビルとして発行されることになりました。Tビルとして発行されてファンディングされた資金は、その後、FBやTBを必要とするところへ流れますが、FBのほとんどが為券であることを思い出すと、FB部分は国債整理基金特会から外為特会に基本的に流れる、ということになります。このようにしてみると、国債整理基金特会と呼ばれる特会が財務省のグループファイナンスみたいな機能を果たしており、国債整理基金特会が調達したものを、他の特会などに繰り入れる、ということをしています。
このように国債整理基金特会がマーケットにフェイスしてまとめて調達して償還することは、特別会計に関する法律第17条に規定されています。
(国債整理基金特別会計等への繰入れ)
第十七条 各特別会計の負担に属する借入金の償還金及び利子、一時借入金及び融通証券の利子並びに融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額(事務取扱費の額に相当する金額を除く。)は、毎会計年度、当該特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
2 前項に規定する事務取扱費の額に相当する金額は、毎会計年度、各特別会計から一般会計に繰り入れなければならない。
下記が外為特会の歳入と歳出ですが、歳出の中に、「国債整理基金特別会計へ繰入」とあり、その説明として「政府短期証券の利払等(外国為替資金証券利子支払い見込み額の減)」とあります。すなわち、為券の利払い費を払うため、国債整理特別会計に繰り入れることが記載されています。これは、FBの金利の支払い先は、投資家であり、投資家は(FBとTBを統合された)Tビルとして保有しています。したがって、TBやFBの利払い費を一般会計や特会から国債整理特別会計に繰り入れて、国債整理基金特会がTビルの利払いとして、まとめてマーケットに支払っているという形になっています。

これを別の形でみるには、東日本大震災復興特別会計と復興債の関係ですが、これについては別の機会にとりあげようとおもいます。なお、国債整理基金特会そのものを知りたい人は、稲田さんとかいた「国債整理基金特別会計および借換債(前倒債)入門」を参照してください。
https://www.mof.go.jp/pri/publication/research_paper_staff_report/staff18.pdf
これまでのメモ
外為特会の基礎①:外為特会のBSと為替介入|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎②:運用の概要|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎③:外国為替資金証券(為券)について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎④:日本には非不胎化介入は存在しない?|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑤:為替介入規模の推定|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑥:外貨準備と外為特会の違い|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑦:国債整理基金特会との関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑧:IMFとの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑨:外為特会が有する外貨資産の活用とチェンマイ・イニシアティブ|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑩:為替介入と民間銀行のBSの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑪:為替介入や特会の運用に関する財務省の体制|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑫:外為特会改革と外為特会の積立金制度について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑬:積立金制度廃止とFBの償還(外為特会改革について)|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑭:外為特会における適切な剰余金(30%ルール)とリスク管理(VaR)の考え方|服部孝洋(東京大学)
外為特会の基礎⑮:2022年の円買い為替介入と不胎化介入について|服部孝洋(東京大学)
