外為特会の基礎③:外国為替資金証券(為券)について
前回に続き、外為特会について記載します。以下では下記を前提とします(必要に応じて加筆修正します)。
外為特会の基礎①:外為特会のBSと為替介入|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎②:運用の概要|服部孝洋(東京大学) (note.com)
以前も説明しましたが、FBは国庫の資金不足の際、一時的なつなぎ資金を調達するために発行される証券であり、2009年からTBと統合され、Tビル(市場参加者はTDBと呼ぶことが多いです)が発行されています(FBは「国庫短期証券」と呼ばれており、国債という名称が使われていない一方、TBは「割引短期国債」であり「国債」という名称が使われているのですが、この点はまた別の機会に記載します)。
これまで外為特会は、FBで円をファンディングして外貨で運用するファンドみたいなもの、という説明をしましたが、外為特会が発行するFBは、「外国為替資金証券」と呼ばれており、これを略して「為券」ということもあります。
下記が過去10年間に発行実績があるFBになりますが、外国為替資金証券が確認できます。以前、「FBの統合化と公募入札」という文章を書き、大蔵省証券(蔵券)、外国為替資金証券(為券)、食糧証券(糧券)が統合されてFBとして発行される点を説明しましたが、あくまで一つのFBとして統合発行しているだけで、それぞれの証券は今も存続していることがわかります(また、FBの場合、償還期限がどれも1年以内ないし年度内になっている点も特徴であり、TBの場合、私の理解では年度をまたぐような国債です。この点も別の機会に記載します)。

上記が最近に発行されているものですが、これまで発行されたFBだと、下記の通りです。

発行されるFBのほとんどが外国為替資金証券
下記が最近の5年間の発行になりますが、実際に発行されるFBのほとんどが外国為替資金証券であることがわかります。

外為特会が発行する根拠法は、「特別会計に関する法律(第82条第1項)、第83条第1項」であることもわかります。第82条第1項および第83条第1項は下記の通り記載されています。
(融通証券等)
第八十二条 外国為替資金特別会計においては、融通証券を発行することができる。
2 第十五条第四項又は第六項の規定にかかわらず、外国為替資金特別会計において、歳入不足のために一時借入金若しくは融通証券を償還し、又は繰替金を返還することができない場合には、その償還し、又は返還することができない金額を限り、同会計の負担において、一時借入金の借換えをし、又は融通証券を発行することができる。この場合における第十七条の規定の適用については、同条第一項中「借入金の」とあるのは、「第八十二条第二項の規定により借り換えた一時借入金及び発行した融通証券の」とする。
3 前項の規定により借り換えた一時借入金又は発行した融通証券は、当該借換え又は発行をしたときから一年内に償還しなければならない。
4 基金通貨代用証券については、これを融通証券とみなして、第十六条及び第十七条の規定を適用する。
5 外国為替資金特別会計においては、同会計の外国為替資金に属する現金を繰り替えて使用することができる。
(外国為替資金における一時借入金等)
第八十三条 外国為替資金に属する現金に不足がある場合には、外国為替資金特別会計の負担において、一時借入金をし、融通証券を発行し、又は国庫余裕金を繰り替えて使用することができる。
2 前項及び第四項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替金の限度額については、予算をもって、国会の議決を経なければならない。
3 第一項の規定により、一時借入金をし、又は融通証券を発行している場合においては、国庫余裕金を繰り替えて使用して、支払期限の到来していない一時借入金又は融通証券を償還することができる。
4 第一項の規定によるほか、外国為替資金に属する現金に不足がある場合には、外国為替資金特別会計の余裕金を繰り替えて使用することができる。
5 第一項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替金並びに第三項の規定による繰替金は、一年内に償還し、又は返還しなければならない。
6 第四項の規定による繰替金は、当該年度の出納の完結までに返還しなければならない。
これまでのメモ
外為特会の基礎①:外為特会のBSと為替介入|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎②:運用の概要|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎③:外国為替資金証券(為券)について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎④:日本には非不胎化介入は存在しない?|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑤:為替介入規模の推定|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑥:外貨準備と外為特会の違い|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑦:国債整理基金特会との関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑧:IMFとの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑨:外為特会が有する外貨資産の活用とチェンマイ・イニシアティブ|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑩:為替介入と民間銀行のBSの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑪:為替介入や特会の運用に関する財務省の体制|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑫:外為特会改革と外為特会の積立金制度について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑬:積立金制度廃止とFBの償還(外為特会改革について)|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑭:外為特会における適切な剰余金(30%ルール)とリスク管理(VaR)の考え方|服部孝洋(東京大学)
外為特会の基礎⑮:2022年の円買い為替介入と不胎化介入について|服部孝洋(東京大学)
