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駆け落ちのその後は幸せなのか?夏目漱石の『門』が教えてくれた夫婦の切ない行く末

夏目漱石の『門』を読みました。この作品は前期三部作の最後の作品と言われています。前期三部作は、『三四郎』、『それから』、『門』の3つを指します。

これらは全て独立した物語です。登場人物の名前も違い、お互いに関連はありません。
しかし、それぞれの異なる人物が描かれているのに、人生を描いているかのような、時間の流れが共通しているように感じられます。さすが明治の文豪、夏目漱石と感じさせる作品だと感じています。

ややネタバレを含んでいます。どうかご容赦ください。

作品のリンク

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この記事の後半で、実際の使用感をもとにAudibleとKindleの違いを書いていきます。


前期三部作の関係性(ざっくりイメージ)

『三四郎』
主人公:小川三四郎
親友:佐々木与次郎
女性(恋愛対象):里見美禰子
相関イメージ:田舎青年の上京・成長。無垢で未来志向。後の代助・宗助の「学生時代」の原型のような存在。

『それから』
主人公:長井代助
親友:平岡
女性(恋愛対象):三千代(平岡の妻)
相関イメージ:理想主義者。親友の妻に恋し、略奪を決意し、社会から孤立していく姿。

『門』
主人公:野中宗助
親友:安井
女性(恋愛対象):御米(安井の元恋人)
相関イメージ:駆け落ち後の夫婦。過去の罪に苛まれ、禅へと救いを求める。代助の「その後」の姿とも言える。

『三四郎』は、主人公・三四郎が若く何気ないままに、都会や人間関係に翻弄される時期です。

『それから』では、はっきりしない自分を感じながらも、恋から略奪を決意し、その結果、親や社会から孤立してしまいます。

『門』では、駆け落ち後の生活が描かれますが、過去の罪が常に重しとなる生活が、宗助を少しずつ蝕んでいきます。

略奪からの駆け落ち婚はドラマチックだが現実は厳しい

大恋愛の末に二人で駆け落ちし、ひっそりと暮らすというのは、「愛を貫くのは愛し合う二人」という描写で、美化されがちです。しかし、実際はとても大変だと感じました。

離れて暮らしているだけならまだマシなのですが、駆け落ちされた相手(元夫)が近づいてくる場面があります。そのとき、宗助は心が不安定になり、読んでいるわたしも、そのストレスがよく伝わってきました。

人生に負い目を背負って生きていくというのは、想像以上に辛いことだと感じました。

世の中は因果応報の教え

この物語では、因果応報の考え方も感じとられました。宗助の実家はもともと資産家でした。しかし『それから』では、家から断絶され、親のサポートは受けられませんでした。

そして『門』では、彼の親が亡くなった後、そのあとの資産は叔父が管理することになりました。法律的には親は親でしたが、宗助は、自分の相続分は必ずあると心の片隅で思っていたことでしょう。

しかし、叔父に残っていると思われた資産は、見事に食いつぶされてしまいます。宗助に残ったのは、お金には換えにくい金屏風だけでした。

さらに、弟の小六が宗助の家に来て、一時的に来たと思っていたのに、結局は養う身分になり、学費まで世話することになります。

そして、宗助の奥さんも体調を崩してしまいます。まさに因果応報だと思いました。

まっとうに筋を通して生きる大切さ

過去の不義理が今になって牙をむいてくる辛さは、とてもリアルに描かれています。

今後、老いもやってくるでしょう。そんなとき、過去にどう生きてきたか、どう周りに接してきたかによって、その先の豊かさは大きく変わってくると思いました。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

実際に使ってみたAudibleとKindleの違い

Audibleの音声聞こうか、Kindleの活字で読もうか迷うこともあると思います。それぞれの良い点、悪い点を実際に使った感想をもとに比較してみました。

夏目漱石シリーズの他の作品の感想はこちら

1. 吾輩は猫である(1905年)

主人公は名前のない猫。中学教師・珍野苦沙弥の家に飼われる猫の視点から、人間社会の滑稽さや矛盾をユーモラスかつ風刺的に描きます。最後はあっけなく終わるみたいですね!

2. 坊っちゃん(1906年)

江戸っ子気質で正義感が強い主人公「坊っちゃん」が、四国松山の中学校に数学教師として赴任し、同僚教師や生徒たちの中で騒動を起こしながらも自分の信念を貫く物語です。

3. 草枕(1906年)

画家である主人公が熊本県の温泉地を旅しながら、芸術や人生について思索を深めていきます。

4. 二百十日(1906年)

二人の男が阿蘇山に登る道中で、自然の厳しさや人間の滑稽さを体験する短編小説です。

5. 野分(1907年)

東京で暮らす青年たちの友情や恋愛、理想と現実の葛藤を描きます。

6. 虞美人草(1907年)

新聞連載小説です。複雑な人間関係や恋愛、金銭問題を背景に、近代知識人の苦悩や社会の矛盾を描きます。

7. 坑夫(1908年)

若者が鉱山労働者として働く体験を通じて、社会の底辺や人間の本質を見つめるリアリズム色の強い作品です。

8. 三四郎(1908年)

九州から東京帝国大学に進学した青年・三四郎が、都会の知識人社会や恋愛、自己の未熟さと向き合います。「ストレイシープ(迷える羊)」しゃれた英語が飛び出します。漱石の前期三部作の第一作目です。

9. それから(1909年)

裕福な家庭に育った長井代助が、親友の妻・三千代への恋と社会との葛藤の末、安定した生活を捨てて愛を選びます。漱石の前期三部作の第二作目です。前期三部作は、登場人物は全く異なりますが、ストーリーは繋がっているかのようです。

10. 門(1910年)

過去の罪(親友の恋人を奪ったこと)を背負い、社会から距離を置いて暮らす宗助と御米夫妻の静かな日常と、救いを求めて禅寺を訪れる宗助の心の葛藤を描きます。漱石の前期三部作の第三作目です。

11. 彼岸過迄(1912年)

複数の人物の視点から、家族や恋愛、人生の意味を探ります。結婚に踏み切れない男女や、知識人の深刻な苦悩を描きます。漱石の「後期三部作」の一作目です。

12. 行人(1912-1913年)

兄弟や家族の関係を通じて、人間の孤独や不安、自己探求を描きます。妻を愛しているが、その妻を信じることができないという心理描写に重点を置いた作品です。漱石の「後期三部作」の二作目です。

13. こゝろ(1914年)

「先生」と「私」の交流を軸に、明治から大正への時代の変化や個人の孤独、罪の意識を描きます。友人「K」との友情をとるか恋愛をとるかの心の葛藤に苦悩します。漱石の「後期三部作」の三作目です。

14. 道草(1915年)

漱石自身の体験を色濃く反映した自伝的作品です。家庭や親族との関係、作家としての苦悩が率直に描かれています

15. 明暗(1916年、未完)

夫婦の心理的葛藤や人間関係の複雑さを描きましたが、漱石の死により未完となった作品です

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