明治の恋愛観と親の力:『虞美人草』に見る時代のリアル
今、夏目漱石の虞美人草を読んでいます。読み終えるまでにはもう3時間くらいかかりそうですが、今の時点で感じたことを記しておきます。
それにしても、明治の文豪の小説は読むのが大変です。ぼくはオーディブルで聴いているので、テキストで読むよりは難易度がだいぶ下がっているはずですが、なかなか頭に入ってきません。
音声で聴いても理解が追いつかないほど、明治文豪の文章は手強いです。
ただ、何冊も読んでいくなかで、何故分かりづらいのか、自分なりに気づいた部分もあるので、読むコツのようなことも書いておきたいと思います。
関連リンク
キンドル版【じっくり読みたい方向け】
オーディブル版【耳から聴きたい方向け】
比較記事:オーディブルとキンドルの違いを実際に使ってみた感想
音声で聴く読書と、紙や電子書籍の読む読書の良い点、悪い点を実際に使った感想をもとに比較してみました。
藤尾(女性)と小野(男性)はどっちもどっち
物語の主人公は、藤尾という女性と小野という秀才です。藤尾は男を手玉に取り、自分のなんでもいうことを聞く男性を求めており、ところどころで自分の意に添わせようとします。
小野は、大学院生の立場で、当時からするとエリートです。とはいえ、外交官の試験は何度も落ちており、なかなか経済的な安定を築けません。
そこで、その打開策と考えているのが藤尾です。小野には、許嫁がいるにもかかわらず、実家が金持ちの藤尾と結婚した方が将来安泰ではないかと打算的な考えを持っています。
現代風に言うと両者ともくず人間とも言えてしまいます。しかし、それが人間のであって、業の深さを感じずにはいられません。
結婚は親同士が決める時代
小説の話の中ではあるが、恋愛関係については藤尾と小野との間には三角関係のようなものがあります。ただ、結婚となると一番影響を与えるのは親同士の会話です。
明治時代では家長がもっとも強い力がありまして、結婚は親が決めているところがあります。
本作の中でも随所にみられますが、その親が、「娘をあげる」、「娘さんをもらう」という話をしております。そして、「この点は本人に確認してみてみないと…」という意見がでても、「いやいや、大丈夫だと、そう思うに違いない」という感じでどんどん決まっていきます。
明治時代の親同士の会話が、今聞くとちょっとホラーです。
このような会話をしていると現代では「女性はモノではない!」と真っ先に叩かれるとおもいますが、明治時代はまるでモノを扱うかのようでした。
今でも『お嫁に行く』『嫁をもらう』という言い方が残っているのは、この時代の空気が一部色濃く残っている証なのかもしれません。
とはいえ、明治時代に恋愛感情が全くなかったかといえば、そんなことはなく、恋愛は真っ盛りです。当人同士だけではなく、結婚できるように親へのアピールも必死でした。
藤尾と小野はどっちもどっちと書きましたが、当時の年頃の人たちの生き辛さがそうさせていたとも考えられます。
イルミネーションなんて言葉が当時からあったのが驚いた
イルミネーションがキレイとかいうのは、平成以降の言葉かと思ったら、どうも明治からあったようです。今のように音と光のファンタジーだったかどうかはわかりませんが、当時からイルミネーションはあったようです。
ちなみに、イルミネーションの歴史は16世紀の宗教革命家マルチンルターが、夜空の星が綺麗だと感じ、木々にローソクを付けて飾ったころからあるというから、昔からファンタジーな世界は好きだったのですね。
なぜ、明治の文豪の小説が読みにくいのか、勝手に分析
明治の文豪の小説はときにとても難解で一筋縄では読めません。素直に「おもしろかった」となるのがあまりない状況です。そこで、どうして読みにくいのか考えてみました。
1.著者ファーストの考え
現代なら読者ファーストが当たり前です。しかし、明治のころの小説は、少数の文化人にしか読まれていませんでした。そのことから、著者が好きに書いても結構売れて重宝がられていたのです。ですので、著者ワールドを展開させているので、なかなか話がわかりにくいのです。
2.本は何度も読むことが前提になっている
次に気づいたのは、文章は平易でも、読んでいて何のことか、誰のこと分からなくなるときがあります。自分の読解力の低さだと思っていたのですが、どうもそれだけではないようです。
あえて、ちょっと分からないように書いています。例えば、本書に出てくる謎の女です。藤尾の母親と素直に書けばいいのに、なぜか謎の女と書かれています。母親と書いているときもあります。
一度読んだだけでは全貌が見えてこないのも、明治小説ならではの特徴かもしれません。読者に考えさせるのが好きなようです。
明治の文豪作品攻略のヒント:あらすじを知ってから読み始める
明治時代の小説は、現代人にとっては難解ということがわかりました。
その対抗手段は、自分なりの攻略法ですが、あらすじを読んだ上で、物語を読んでいった方が頭の中にすっと入ります。
虞美人草は、現代に通じる会話がたくさんあるのですが、先の例より、オーディブルで耳から聞いても理解に苦しむ場面があります。(藤尾が女性ということも、最初よくわかりませんでした。自分なんて富士夫と思ってましたから)
なので、一度あらすじを知ってから読んでみた方が、すっと物語に入っていけるのではと思うのでした。
夏目漱石シリーズの他の作品の感想はこちら
1. 吾輩は猫である(1905年)
主人公は名前のない猫。中学教師・珍野苦沙弥の家に飼われる猫の視点から、人間社会の滑稽さや矛盾をユーモラスかつ風刺的に描きます。最後はあっけなく終わるみたいですね!
2. 坊っちゃん(1906年)
江戸っ子気質で正義感が強い主人公「坊っちゃん」が、四国松山の中学校に数学教師として赴任し、同僚教師や生徒たちの中で騒動を起こしながらも自分の信念を貫く物語です。
3. 草枕(1906年)
画家である主人公が熊本県の温泉地を旅しながら、芸術や人生について思索を深めていきます。
4. 二百十日(1906年)
二人の男が阿蘇山に登る道中で、自然の厳しさや人間の滑稽さを体験する短編小説です。
5. 野分(1907年)
東京で暮らす青年たちの友情や恋愛、理想と現実の葛藤を描きます。
6. 虞美人草(1907年)
新聞連載小説です。複雑な人間関係や恋愛、金銭問題を背景に、近代知識人の苦悩や社会の矛盾を描きます。
7. 坑夫(1908年)
若者が鉱山労働者として働く体験を通じて、社会の底辺や人間の本質を見つめるリアリズム色の強い作品です。
8. 三四郎(1908年)
九州から東京帝国大学に進学した青年・三四郎が、都会の知識人社会や恋愛、自己の未熟さと向き合います。「ストレイシープ(迷える羊)」しゃれた英語が飛び出します。漱石の前期三部作の第一作目です。
9. それから(1909年)
裕福な家庭に育った長井代助が、親友の妻・三千代への恋と社会との葛藤の末、安定した生活を捨てて愛を選びます。漱石の前期三部作の第二作目です。前期三部作は、登場人物は全く異なりますが、ストーリーは繋がっているかのようです。
10. 門(1910年)
過去の罪(親友の恋人を奪ったこと)を背負い、社会から距離を置いて暮らす宗助と御米夫妻の静かな日常と、救いを求めて禅寺を訪れる宗助の心の葛藤を描きます。漱石の前期三部作の第三作目です。
11. 彼岸過迄(1912年)
複数の人物の視点から、家族や恋愛、人生の意味を探ります。結婚に踏み切れない男女や、知識人の深刻な苦悩を描きます。漱石の「後期三部作」の一作目です。
12. 行人(1912-1913年)
兄弟や家族の関係を通じて、人間の孤独や不安、自己探求を描きます。妻を愛しているが、その妻を信じることができないという心理描写に重点を置いた作品です。漱石の「後期三部作」の二作目です。
13. こゝろ(1914年)
「先生」と「私」の交流を軸に、明治から大正への時代の変化や個人の孤独、罪の意識を描きます。友人「K」との友情をとるか恋愛をとるかの心の葛藤に苦悩します。漱石の「後期三部作」の三作目です。
14. 道草(1915年)
漱石自身の体験を色濃く反映した自伝的作品です。家庭や親族との関係、作家としての苦悩が率直に描かれています
15. 明暗(1916年、未完)
夫婦の心理的葛藤や人間関係の複雑さを描きましたが、漱石の死により未完となった作品です
ここからは少し余談です
1年前の記事:連続600日を達成したようです
1年前は連続600日を書いていたようです。この記事、最近書いたような気がしますが、もう1年経つのですね。時の経つのは早いものです。個人的に面白いなとおもったのは、寝方です。
毛布で包まって寝ていました。今年もそうです。厚手の布団で寝れば快適なので、まだいけると薄着です。1年たっても同じ自分がいます。
こんな、まだいける思いが自分にはあるようです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。記事が役立ったと思ったら、感想やコメントをいただけると、とても励みになります。
▼ おすすめマガジン
他にもこんなマガジンもあります。お立ち寄りいただけたら嬉しいです。
大人の話題です。三大欲求の叡智(えぃっちー)な話題です。これを無視して人間はやっておれません!
便利で役立つツール、そして日々の暮らしで見つけたものを集めています。
自転車の記事も書いています。趣味の延長で気づいたことが多いので、気楽にのぞいていただけたら嬉しいです。
感想の交換や新しい出会いも楽しみにしています。ご質問やお仕事のご依頼も、こちらからお気軽にどうぞ。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
いいなと思ったら応援しよう!
最後まで読んでいただきありがとうございます🙇♂️
記事が気に入られましたらサポートをよろしくお願いします。
いただいたサポートはnoteクリエーターとしての活動費に使わせていただきます!