見出し画像

進化生物学の短歌・詩・小説 Xまとめ2025年10月〜2026年1月

 やあ。花星沙夜です。
 短歌・詩・小説 Xまとめ2025年10月〜2026年1月第九弾、今回は「進化生物学の詩歌」です!
 「進化生物学」です。

 過去のまとめはこちら!(今すぐ読まなくても大丈夫だよ!)

 「進化生物学」とのことで、「!?」思われたかもしれませんが、これはわたしの原動力なのです。
 進化生物学では、わたしたちはランダムに運動する原子の成れの果てにすぎず、環境に適応できた個体が生き残っているだけなのです。運。有能であることが不利に働くこともあるし、謎の機序で生き残った個体もいる。それすらただの結果に過ぎない。
 進化生物学の概念はわたしを救済しました。

 有能さも美も意味も何もないんです。
 何もないついでに幸せならいい。

 そんなわけで、「進化生物学」の詩歌や小説、エッセイが溜まったわけです。

 性質上、過去のまとめとの重複もあるかもしれませんが、お気になさらず楽しんでいってください!

短歌(+解説、短歌から繋がる詩、140字小説)

ランダムに揺れる原子が人となり僕の配置になっているだけ

花星沙夜 単語で短歌/お題「化学」

 我々はランダムにぶつかる原子が偶然を繰り返してできただけの意味などない物質だと考えたら、なんかどうでもよくなっちゃった。
 厭世的にもとれる歌だけど、生まれた意味を考えて思い詰めてしまう人の、心のお守りになればいいな。


生物が死を愛するは当然で二重螺旋はエラーを憂う

花星沙夜 単語で短歌/お題「憂鬱」

実は死も悪くないものです。生物学的には、死は我々の戦略なのです。多細胞生物が長く生きるとDNAにエラーが蓄積され、エラーは子孫にも受け継がれ、それを繰り返すと種は絶滅してしまうそうです。しかし、死があることで、エラーの蓄積を防ぐことができます。

死も味方にできます。安心して、その日が来るまで一生懸命過ごしましょうね。きっと一生懸命じゃなくてもいいですよ。生物学的には、何が有利になるか、わからないのですから。

花星沙夜 X



猫ならば二度は死んでる歳となり窓から眺む伸びゆく線路

花星沙夜 単語で短歌/お題「線路」

大人になり、猫の寿命二回分は生きました。三回目は人として生きてみます。わたしが苦しむ猫だったとき、線路を横から眺めていました。「そこに入りたかった」のです。しかしわたしは人になりましたので、先頭車両に乗り込み、汚れのない車窓越しに、続く線路を眺めます。

花星沙夜 X

 むかしむかしにぶつかった原子がひとつずれていたら、本当に苦しむ猫だったかもしれませんね。猫の寿命三回分にたどり着けた人でよかったですね。


風吹けば桶屋が儲かり蝶が舞い僕を迎えるラプラスの悪魔

花星沙夜 次世代文学/テーマ「偶然、セレンディピティ」

この世界にある必然は
教訓の意味は残しても
羽より小さいゆらぎによって
人ではとうてい扱えない

僕の祖先は粒子です
粒子は偶然父母になって
僕は偶然生まれます
僕は突然死にました
僕は偶然死にました

存在しないラプラスの
悪魔が一人 僕をお迎え
存在しない所へと

花星沙夜 X

無粋なので解説をします
『(前略)桶屋が儲かる』は「偶然に見えて繋がりがある」みたいな教訓ですね
『ラプラスの悪魔』は「この世の全ては計算可能」みたいな説でしたが、『バタフライ効果』等で「些細なゆらぎにより予測不可」と論破されました
僕は死に、死んだラプラスの悪魔が迎えに来たんですね

花星沙夜 X

 あの、誰が分かんねん。

. ⠀    *   .   .   ⠀  *⠀      .        *           .  .  . *   .     .          .    ⠀     *                *       . ⠀    .      *  .    

未来でも真珠は宝石だといいな僕らの骨もカルシウムだよ

花星沙夜 次世代文学/テーマ「石」

こちらの短歌で、第31回 毎月短歌 【自選部門】にて、422首の中から二席をいただきました!

 選者の遠藤雄介様のnoteはこちらです。たくさんの素敵な歌と素晴らしい選評をぜひご覧いただきたく、恐縮ながらご紹介させていただきます。

 ありがとうございました!!
. ⠀    *   .   .   ⠀  *⠀      .        *           .  .  . *   .     .          .    ⠀     *                *       . ⠀    .      *  .    

詩(単体)

ランダムに運動する原子が時間をかけてたまたま人となり、一時的に私の配置になっているだけだから、火葬されてもきっと大丈夫だと自分に言い聞かせている
本当はずっと死にまつわる燃焼が怖い

花星沙夜 X

 わたしの過去の記事を読んでくださった方ならお分かりだと思いますが、わたしの詩歌には火葬がよく出てきます。4歳ごろに骨上げをした記憶が根深いのかも。
 ひい祖母のお葬式で、「なんで燃やしちゃうの? そのままにして飾っておけばいいのに……」と母に言った記憶があります。母は「腐る」と言いました。

質量保存の法則が届かないところで、体験が付加されている
魂とかいう概念があるところ
だから大丈夫だよ

花星沙夜 X

 「わたし(成人)、なんて言ってほしいんだろう?」と考えた結果、こう言ってほしかったので、上の詩にセルフ引用RTをしたのでした。


わたしがお空の星になった後、つまり、私が燃焼し切った後の星の砂は、あなたの好きにしていいよ
何があっても、宇宙のどこかに原子として揺蕩っているから

花星沙夜 X

 火葬されたとしても、肉体は原子として形を変えて残る。遺灰も星の砂だよ。科学はわたしを燃焼の恐怖から少し救いました。


「もし私が灰になっても」と書こうとしたんだけど、私は誰かに火葬してもらえる前提で物事を考えているんだなあと気が付いた

花星沙夜 X

 死と火葬繋がりで、この一文から始まる記事もよろしければぜひ。死は生物学的には味方です。



140字小説(単体)

「生まれてきた足跡を残したい」ともがいてきたけれど、何も残さなくてもよかったんだ。人は必ず分子の配列を変え、あっという間に違うものになる。ただ、私がゆらゆらと心地よく過ごした時間があったこと、それが質量保存の法則すら届かない不可侵の概念となって、かつて私の領域だった魂を保存する。

『温もりの消えないまあるい概念に着陸、安らかに眠る』
花星沙夜 X

. ⠀    *   .   .   ⠀  *⠀      .        *           .  .  . *   .     .          .    ⠀     *                *       . ⠀    .      *  .    

エッセイ

死ぬより宇宙に放り出される方が怖い気がしてきた。もし死んでも、地球の中で分子の配列が変わっているだけだと思うと少し安心する。明日も分子配列が私のままだったら、球の中で地を這いウゴウゴ活動するぞ〜。

花星沙夜 X

仏陀vs進化生物学、案外相性がよかったりして
私はランダムに運動する分子がぶつかり合い自己複製分子となったDNAの乗り物……死はエラーを防ぐ手段、恐れずともよい……分子がたまたま私を形成しているだけ、何にも苦しまなくてよい……覚醒はエネルギー摂取のための副産物、ただ心穏やかに眠ればよい

『私は不眠症』
花星沙夜 X

 なぜ戦わせた? バトルプランナー?

あなたより辛い人は大勢いる……?! 
大変だ! みんなで絶滅しよう! 
これって国家転覆罪になりますか!?

花星沙夜 X

 おちつきなさい。軽んじすぎもよくない。

AIが人間の作った情報を食ってる今のうちはいいんだけど、AIが出力した情報をAIが参照し続けたら猛烈な情報汚染にならないのか謎。情報のミスが濃縮された大型魚を人間が食べさらに大きなAI魚に食わせ、毒が回って無意味な不協和音に熱狂しランダムな色の割合に恍惚とし同じテンプレの文章に頷く宿主。

花星沙夜 X

 進化と環境のミスマッチで絶滅することなんて、よくありますからね。
 現代の人間の脳は急速な文明の進化に取り残され、大バグを起こしている説もあります。

「人生は一度しかプレイできないゲームだから何があっても最後まで楽しめ」も、「拷問が続くと殺してくれと願う」も、どちらも分かる
折衷案として、「過ぎた負荷からは逃れろ、しかしいつか幸福に通じる負荷からは逃れ過ぎるな」を目印に生きている

花星沙夜 X

 大義がなければこの世はゲームです。楽しんだもの勝ち。
 でも、それは平和な暮らしをしているときの考えであって、苦痛を伴うこともある。

自分が幸せに生きたことで、周りの土壌の栄養価も少しだけ上がるといいな

花星沙夜 X

 それでも人の幸せを祈れる原子の集まりであることに感謝します。


できた!


 異例の「進化生物学」まとめでしたが、誰かの希望になれば幸いです。YouTubeなどで進化生物学を分かりやすくまとめてくださっている解説動画もたくさんあるので、興味のある方はぜひ……! こちら側へ!
 わたくし文も理も大好きです(理解しているかは別)。

 次回、短歌・詩・小説 Xまとめ2025年10月〜2026年1月最終回です!
 物をモチーフにしたものなど、大ジャンルに入りきらなかったものをごった煮にして締めくくろうと思います。
 その後、2026年2月まとめを書きます。ジャンル別に書くのが楽しかったので、次もそうしようかな。

 では、原子の集合体たち、次回もまたお会いしましょう!

. ⠀    *   .   .   ⠀  *⠀      .        *           .  .  . *   .     .          .    ⠀     *                *       . ⠀    .      *  .    

 短歌を作るにあたって、たくさんのお題を使わせていただきましたこと、また、企画に参加させていただきましたこと、感謝いたします。



いいなと思ったら応援しよう!

花星沙夜 応援をお待ちしております!

この記事が参加している募集