生オペラで祝った、幸せな誕生日
息子の23回目の誕生日は過ぎてしまったけれど、昨晩はお祝いのディナーに出かけた。
地元のイタリアンレストランが、生オペラのイベントをしていて、それを見つけた夫が予約してくれていた。息子は私よりずっとオペラに詳しく大好きなので、これは夫(息子にとっての義父)から最高のプレゼントになった。
店の中央にはピアノが置かれ、地元のオペラ団のメンバー十人ほどが入れ替わりで歌っていく。ときには全員がワイングラスを片手に合唱し、観客のテーブルの間をまわりながら、人気のアリアを次々に披露してくれる。信じられないほど美しい声を、ほんの数歩の距離で聞ける贅沢さ。恋愛の歌では女性歌手がおどけて男性客にちょっかいを出す場面もあり、息子まで何度か触られていて思わず笑ってしまった。
私はプッチーニの『トゥーランドット』の「Nessun dorma」を聴いて鳥肌が立ち、その後『ジャンニ・スキッキ』の「O mio babbino caro」をソプラノ歌手が歌いながら歩いている姿を見て、感動のあまり食事が喉を通らなくなった。
去年アムステルダムでこのオペラを観ようとしたが、三部作のため上演時間が合わず断念。ところが美術館を出た時に、路上シンガーがこのアリアを歌っていて、偶然その歌声を受け取れたことを思い出した。きっと誰もが耳にしたことがある、あの美しい旋律。
そして、テノール歌手がパグリアッチ・『道化師』の「Vesti la giubba」をピアノに手をつきながら歌ったとき、ウルウルしている息子を見てちょっとびっくりしたけど、本当に胸に響く瞬間だった。
夫は、この五年間で何度も私たちをオペラに連れて行ってくれた。夫抜きで行ったこともあるが(笑)、思い出は尽きない。
今回の『道化師』は、三人で初めて観たオペラでもある。だから私にとっても感慨深い。
オペラに行くときはいつも素敵なディナーを予約してくれる夫に、感謝の気持ちは尽きない。こういう時間を過ごしていると、かつて私が心の中で思い描いていた「こんな家族になれたらいいな」という景色は、こういうものだったのかもしれない。
今、息子の誕生日を祝いながら、夫と3人でオペラを聴いている。願いは、いつも思いがけない形で叶っていく。だから、願うことを遠慮しなくていいのだと思う。
食事の間、オペラの歌はえんえんと続いた。レストランは満席で、ときにはみんなのお喋りで歌声が聞きづらいときもあったけれど、コンサートではないので仕方ない。歌手に見入っている人たちより、お喋りしている人の方が多くて、それはそれでなんとも楽しい雰囲気だった。
極めつけは、歌手たちが息子の背後に回り、美しいハッピーバースデーを合唱してくれた場面。あまりの感動で、ビデオを撮ろうとしながらスイッチを押し忘れてしまったほどだ。
こんな時間の積み重ねがあって、今の私たちがいる。

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