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Z世代息子、引っ越す

息子が冬の厳しいシカゴへ旅立った。重たいスーツケース二つと手荷物を車に積み込み、空港まで送った。チェックインでは超重量オーバーで追加料金がかかったけれど、それはもう承知の上。宅配代わりだと思えば、飛行機に乗せてもらえるだけありがたい。スタッフに同情されるが本人はホッとした顔でクレジットカードを出す。

ゲートに向かう前の「じゃあ、またね」で、ふたり同時に少し涙ぐんだ。それまでずっと笑っていたのに急に胸が締めつけられた。
先月、日本の母と別れたときも同じだった。ずっと私たちの背中を見送ってくれた母から、あとで「とても幸せそうだから、私も幸せです」と添えられた、私たちの後ろ姿の写真が届いた。

別れの瞬間に胸の奥がギュッとするのは、親子だから仕方ない。でも、息子の場合はずっとそばにいたいというわけでもなく、色々な場所でたくさんの体験して欲しいと心から思ってる。

転職先はダウンタウンにある高層ビルの27階。地図アプリのライブビューで一緒にビルの周辺を見たとき、胸がときめいた。私はシカゴの街並みが好き。どことなくこの街のレイアウトに似ている。それに、私にとってのシカゴ観光の思い出はどれも楽しかった。NYより小さくて、急ぎすぎない大都会という印象が強かったけど、住むとなるとどうだろう。冬は厳しいことで有名だけど。

数日前に珍しく雪が降ったシカゴの街の動画が拡散されているのを見た。冬服をほとんど持っていない息子に、夫が自分のカシミアのロングコートを貸してくれた。それを聞いた元夫からも「ありがとうと伝えて」と連絡があった。

そういえば、ゲートに向かう前に、空港内のクリスマスツリーの前で写真を撮った。きらびやかなデコレーションがあちこちに飾られていたけれど、空気を明るくしていたのは、むしろスタッフたちの笑い声だった。アメリカの空港はトラブルのニュースが多いのに、こんなに楽しそうなんて意外だね?なんて息子と顔を見合わせて、明るい気持ちになっていた。

息子を大きなツリーの横に立たせて写真を撮っていると、スタッフのひとりが駆け寄ってきた。「どう?きれいだろう。朝から僕たちが飾ったんだよ!」と誇らしげに言い、「二人で撮る?」とスマホを受け取って、母子のツーショット写真を撮ってくれた。



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