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サッカードイツ代表を分析! vsフィンランド代表戦(2026年5月31日 親善試合):「基準点型CF」不在のフォーメーション




vs フィンランド代表戦

2026年5月31日、ドイツのマインツに位置するMEWAアレーナで、サッカードイツ代表vsフィンランド代表の親善試合が行われた。2026年W杯に向かうドイツ代表にとっては残り少ない実戦形式での調整の機会だけに、多くの注目を集めた。本稿は、ユリアン・ナーゲルスマン監督率いるドイツ代表がどのような目的・戦術でこの試合に挑み、解決を模索したのかを検討していく。

4-5-1」の布陣で堅牢な守備を築くフィンランド代表に対し、ドイツ代表は得意とする「3-3-3-1」の布陣で崩しを狙った。フィンランド代表の守備は、中央を固めつつ、ドイツの両ワイドの崩しに4人の選手がせり出して徹底的に潰す形。なかでもミドルブロックは強固で、サイドを狙うドイツに対して6枚で当たった。レナート・カールは前半、多くの場面で効果的にプレーできなかった。

クロスに対しては、2選手で壁を作りつつ、中央はマンマーク。「面+人」の安定した守備ブロックにドイツ代表は手を焼いた。興味深かったのは、フィンランド代表の選手がボールホルダーに対して寄せるため、結果としてニアのハーフスペースに巨大な空間ができるにも関わらず、ドイツ代表は前半、ほとんどそのスペースを使わなかった点。正確には、狙っていなかったのであるが…。

ドイツ代表のフォーメーション「3-3-3-1」。
左SBのブラウンは、事実上の左IH。

サッカードイツ代表が抱える「課題」

まず、この試合のドイツ代表にとって重要な目的となったのは、最前線にポストプレーができない小柄なストライカーを置いてもチームは機能するのか見極める点だった。W杯予選で「起点」となっていたティム・クラインディーンストが負傷により選外となったことで、ドイツは新たな解決策を見出さねばならない。加えて、今もっとも好調なストライカーは、デニズ・ウンダフである。

ウンダフの身長は179cmと比較的しっかりした体格の持ち主だが、「潰れ役」というよりはフィニッシャーであり、キープ力に秀でるタイプでもない。そこでナーゲルスマンが見出した解決策は、サイドを攻撃の起点としつつ、「シュタイル・クラッチュ役」をトップ下のジャマル・ムシアラに担わせるというものだった。ムシアラであればキープ力があるうえ、パスも正確である。

実際、ムシアラは効果的にシュタイルクラッチュ役をこなした。顕著だったのは25分58のシーン。バイタルエリアでボールを受けたムシアラは、反転ターンからスルーパスをウンダフに送り、決定機を演出。インサイドハーフのナサニエル・ブラウンフェリックス・ヌメチャ、左ウイングのフロリアン・ヴィルツとの連携も効果的で、フィンランド代表は防戦一方だった。

フィンランド代表は局面で密集を形成も、
ムシアラとヴィルツに翻弄される。

サッカードイツ代表の「名優」たち

攻撃のスイッチ役となったのはムシアラだったが、崩しを担ったのはヴィルツだった。左サイドを主戦場としたヴィルツだが、状況に応じて多様にポジションを移動する「クライフ役」を担い、相手のFWーMF間を抜けていくドリブルで魅せた。ボールを刈り取るためにフィンランド代表の中盤は前進するもボールを奪えず、バイタルエリアは肥大化。そこをムシアラが効果的に狙った。

また、何度も効果的なクロスを送ってチャンスメイクを担ったのがヨズア・キミッヒだ。1点目のウンダフのゴールのアシストとなったクロスは見事だったうえ、カールを抑えるために相手左SHが低い位置を取ったため、何度かフリーでクロスを上げることができた。ヴィルツが崩し、キミッヒやムシアラが好機を演出して、ウンダフが決める。ドイツ代表の新たな形が出来上がった。

また、ヌメチャの好調ぶりも光った。現在のドイツ代表においてヌメチャの中盤制圧能力は大きな武器で、彼がもたらすダイナミズムはチームの「核」となっていた。完璧なポール捌きをみせたアレクサンダル・パヴロヴィッチとともに絶対的な主力となっていくだろう。ここまで、ドイツ代表の狙いと強みについて語ってきた。では、弱点はないのだろうか。分析していこう。

ヴィルツは時折ポジションを捨て、右サイドへ。
ヌメチャとのワンツーで崩すシーンも。

サッカードイツ代表の攻略方法

終始試合を支配し、フィンランド代表を圧倒したドイツ代表だったが、弱点がなかったわけではない。例えば、フィンランド代表が前半に打った枠内シュートは1本だけだったが、そのシーンのドイツ代表は完全に崩されていた。フィンランド代表のビルドアップは、「3+2」からインサイドハーフに縦パスを送ることで解決する形だったが、お世辞にも優れているとはいえなかった。

チャンスの悉くをドイツ代表の5枚でのプレスに潰されたフィンランド代表。では、どうやってシュートまで持ち込んだのか。ドイツ代表はプレス時、バイタルエリアが広がるのを恐れずに前進する。そのため、プレスを引き出しつつGKにボールを戻し、2列目にミドルレンジパスを繋ぐことで攻略できるのだ。フィンランド代表の好機は、GKルーカス・フラデツキーの見事なパスから生まれた。

28分24秒、 フラデツキーからの縦パスを繋いだフィンランド代表は、右サイドを強引に突破。ドイツ代表のDFラインが下がりすぎたことでマイナスのクロスを上げられ、フリーな状態でシュートを打たれた。もしW杯本番で同様の状態を迎えれば、致命的だっただろう。スイーピング能力を考えても、マヌエル・ノイアーがどのようなコンディションで大会に臨めるかがカギとなる。

ドイツ代表は5枚でプレスも、
広大なバイタルエリアを提供する形に。

サッカードイツ代表のビルドアップ

またドイツ代表は、ビルドアップにも不安な部分を覗かせた。親善試合であったためか、フィンランド代表はドイツの「GK+4+2」の7人のビルドアップに対して、6人でプレスを実行。ショートパスを繋ごうとするドイツ代表は苦しみ、とくに足元に自身のある左SBブラウンが出しどころを失っていた。この試合では、結果としてドイツ代表の「穴」となったのはブラウンだった。

崩しにしても、この試合の前半におけるドイツ代表最大のチャンスは、あくまでセットプレーだった。「GK+10枚」で引いて守られれば、いくらドイツ代表でも簡単には崩せない。もしベストメンバーで全試合に臨めるならば、相手の好機を極小化できるだろうが、現実はそううまくはいかないだろう。マクシミリアン・バイアーなどの控えメンバーをどう起用するかも重要だ。

この試合でも明らかなように、ナーゲルスマンは手の内を大会本番まで隠すようなタイプではない。彼は相手の弱点を突くのではなく、予め狙いを定め、作戦を忠実に実行させるタイプの指揮官だ。フィンランド代表戦では、予定している戦術を実戦で実現可能かを確かめている節があった。ナーゲルスマンの手腕には、一切疑う余地はない。W杯本番が楽しみで仕方ない。


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