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【創作裏話】企画・お題参加まとめ #002

こんにちは。財布野紐ゆるみと申します。

この記事では、アップ済みの「企画・お題に参加して書いた記事」10作品についての裏話を書いています。企画参加で書いた短編での発想の出し方やまとめる工夫など、何か参考になるところがあればうれしいです。

第1段の記事はこちらになります。
【創作裏話】企画・お題参加まとめ #001

なお、前回の記事が別段好評だったとかではまったくないのですが、過去の記事を振り返ってまとめるのは結構自分にとっても新しい発見があり、刺激にもなります。

さて今回も、以下のような視点から、ゆるく振り返っていければと考えています。

・なぜこのお話を書こうと思ったか、またはどこから着想を得たのか
・ボツ案や悩んだ部分があればその話
・込めたテーマやメッセージ、お気に入りのポイント等

また、この場を借りて、企画に参加させていただいている主催者のみなさまへ感謝申し上げます。いつもありがとうございます。


11.無茶ぶりはやめて

 【アマノ文筆クラブ】
お題:「無茶ぶりはやめて」というタイトル
公開:2025年11月8日

「アマノ文筆クラブ」さまへ、二度目の企画参加をさせていただいたときのお話になります。

タイトル名の縛りがある企画なので、もちろん「無茶ぶりはやめて」という単語をもとにお話づくりを進めるわけですが、テーマを決めきれず絞り込むのに苦労した記憶があります。

それほど「無茶ぶり」があふれている世の中ですが、私の場合は、身近に思いあたる無茶といえばやはり「仕事関係」でした。以前に勤務していた会社の企業理念や上司のことを思い返し、作中の「先輩」のキャラクターが出来上がっています。

登場する仕事はメディア編集部系で、舞台はファミレス、登場人物に「企画書をたくさん用意させる」という無茶ぶりをすることに決めた判断は軽かったと思います。ただ「企画テーマ」については少し気を遣いました。テーマを「やさしい働き方」に決めたのは、彼らの境遇との「対比」になった方が印象に残りそうだったからです。いつの時代も、対比やギャップがお話のスパイスになると信じ続けている私は、考えが古い人間なのかもしれません。

また、詰め込む情報が多くなりそうだったため、テンポを優先して会話劇のように進めることにしました。その過程で先輩や主人公の性格が固まっていき、軽口を言い合える上下関係という風に落ち着きました。飄々とした先輩の性格から、企画を「割り勘」にするという行動でお話を締めるオチは、書きながら早い段階で見えていたと思います。

星の王子さまのくだりは、思いついて書いたものの、入れるか削るかで迷っていました。引用してお話が重くなってしまうなら削ったと思いますが、軽い雑談のように差し込めたので、結果残してよかったかなと感じます。

仕事の無茶ぶりに振り回される日々の中でも、「できない無茶はただの無理」と割り切って、なるべく気楽に生きていきたいものですね。

12.チャットルームの君

 【風まかせ文芸部 / 思い出】
テーマ:「思い出」
公開:2025年11月9日

こちらは、「風まかせ文芸部」さまに初参加させていただいたときのお話になります。テーマにまつわる創作物であればジャンルもスタイルも自由とあって、参加ハードルが高くないのがうれしいです。

さて、テーマの「思い出」からどう書くかですが、私はエッセイなどはもともと書きません。そして実体験の思い出をなぞるだけでは、私の場合はどうしても自分だけに寄ったお話になってしまいそうでした。

そこで、共感してもらえそうな共通の「思い出」を考えたときに、インターネット黎明期の空気感が思い浮かびました。残念ながら、若い子たちにはわかってもらえなさそうですが……。

記憶は、五感に紐づいて残りますので、詳細な説明よりも「チャット文をそのまま載せる」「電話回線のモデム音を入れる」といった感覚的に受け取ってもらえそうな表現を選んだつもりです。

また、終盤での視点の反転は、最後の方まで書いてから思いついたため、伏線を張るために前の文章に戻り、いろいろと改訂して仕込んでいます。文中ではコンマにしか触れられていませんが、つむぎ(あかつき)はいまも現在も「・・・」という変わった記法表現をしているのがこだわりポイントです。

派手などんでん返しよりも、「匿名の関係性が現実でも交差した」という「ありそうでなさそう」な小説らしい着地点を意識しました。今では当時のチャットルームもサイトも残っていませんが、今も記憶の片隅に残り続けているものがあります。

このお話が、そんな時代の空気を少しでも思い出していただけるきっかけになればうれしく思います。


13.猫にこんばんは

 【アマノ文筆クラブ】
お題:「猫にこんばんは」というタイトル
公開:2025年11月14日

「アマノ文筆クラブ」さまへ、三度目の企画参加をさせていただいたときのお話になります。

こちらのお話の場合は、お題で指定されたタイトルから考えはじめたわけではなく「夜、仕事帰りに猫に出会う」という自身の体験が先にありました。工事現場付近で、闇の中で見た黒猫。光に照らされてこちらを向いているその姿が美しく印象的で、その情景からつくりはじめた格好になります。

私は普段は、お話のテーマや人物の感情に入り込んで、そこを中心に書きはじめることが多く、今回のように情景や構造・論理から出発して書くことは少ないです。このあたりは、書き手によって違う部分だと思います。

お話は、猫に工事現場で会うシチュエーションに繋げるために、逆算や組み換えをして、「通い猫+建物取り壊しによる退去」を後付けで構成しました。

しかし、今回は先の通りテーマありきで書きはじめていないため、どういう結末にするかを考えておらず、展開に苦しみました。

そこで、「猫にこんばんは」のタイトルを活かすためにどうしようかと考え、あまり他にやっている人がいなさそうだったので、猫に「こんばんは」と名付けをすることにしました。

そうして、それまで考えていた「猫と別れる結末」は捨てることになりました。読後の余韻としては、その案の方が強かったかな……とも思っています。

けれど、お話の中とはいえ、猫ちゃんには不幸になってもらいたくありませんよね。猫好きの方、わかっていただけますでしょうか……。

また結果、「こんばんは」というそれまでただの挨拶だった言葉が、同じ呼び方で大きく意味が変わり、過去の思い出と新しい生活をつなぐ言葉にもなったところは面白いかなとも思えました。そのあたりの小さな変化を楽しんでいただければうれしく思います。


14.甘さのあと、残るもの

 【せりふ三題噺 / 木枯らし通行止め和三盆】
お題:木枯らし / 通行止め / 和三盆
せりふ:あんな奴やめとけよ
公開:2025年11月16日

こちらは、「せりふ三題噺」さまに三度目の参加をさせていただいたときに書いたお話になります。お題のひとつである「和三盆」は香川や徳島の高級砂糖ですが、その言葉で思い出したのは京都で見た、和三盆を使用した和菓子でした。

京都は少し縁もあり好きな場所でもあるので、お話で登場させることが多い気がします。登場する「変わる前の良さを理解していたのか」という主人公の問いは、私自身に向けたものでもあります。

お話では、京都という街の変化を描きながら、口の中ですぐに消えてしまう和三盆の甘さと、それでも残り続けるものとの対比をテーマにしました。

変化の部分を視覚でつないでいるので、記憶の方は匂いでつなぐようにしたのが、こだわった部分でしょうか。祖母の登場をお題のせりふ程度にとどめて、それ以上目立たせないように意識したのも覚えています。

最後に主人公が大きく決断をするわけでもなく、心の中で「今年もここに来られた」と思うだけのお話です。けれど、そういった小さな変化が、人生の中で大きく意味を持つ瞬間もあるのではないかと思っています。


15.落ち葉の幻影、刹那

 【虹色創作部 / 落ち葉】
テーマ:落ち葉
公開:2025年11月17日

こちらは、「虹色創作部」さまに参加させていただいた際に書いたお話です。参加は二度目でした。実家に庭を持つ知人の「ハナミズキの赤は好きだけど、葉が散って困る」というひとことから書きはじめました。

見慣れていたものがなくなるのは、やはり寂しいですよね。その気持ちから、「木を切ることになったが、残しておいた赤い葉の枝が幻想を見せる」展開にしました。髪を切った後に、鏡を見たときのような、どきっとする感覚が近いかもしれません。

その映像的な部分が物語の軸ですが、そこに心象やテーマを重ねた方がお話に深みが出るのではないかと考えました。そこから、冒頭の傷心の主人公や、不器用な父の優しさを付け足すことで、「何かを失ったとき、人を支えるのは意外と小さな温もりかもしれない」というテーマにつなげてお話にしました。

なくなってしまったものも、寂しいだけで終わるのではなくて、別のかたちで心にずっと残っていくような感触が、読んでくださった方に少しでも伝わっているとうれしいです。

こちらの記事で、虹くりっぷさまにイラストをつけていただきました。
ありがとうございました。


16.鈍色の眼

 【風まかせ文芸部 / 瞳】
テーマ:「瞳」
公開:2025年11月23日

このお話は、「風まかせ文芸部」さまに二度目の参加をさせていただいた際のものになります。

人の視界そのものが監視システムとして使われている、という世界観ですが、こちらはもともと「監視社会」をテーマに書こうと考えていた設定になります。今回の「瞳」というテーマに合いそうだったので、転用することにしました。

少し日常と違う世界観のお話を書く場合、その設定を活かすための展開をどうするか、を考えるのは、難しいですが楽しい作業でもあります。今回は、企画参加であまり長いお話を書くのもどうかと考え、「眼無しの主人公と、眼持ちを装った暴漢」との組み合わせで短くまとめました。

テンポが削がれるため、設定を説明しすぎないように気をつけたつもりですが、うまくいっていますでしょうか……。

主人公は、身を守るために格闘術を習わされています。前段の「普段の生活で親も配慮してくれていた」でふわっとにおわせたつもりでしたが、ここが少々急な展開に感じられたかもしれません。

「自分の視界は自分のもの」という最後の一文で、「安全のための監視」と「個人の自由」との間の微妙な距離感を感じていただけていると何よりです。


17.初雪とオーナメント

 【せりふ三題噺 / 初雪ピアノ線夫婦】
お題:初雪 / ピアノ線 / 夫婦
せりふ:もうおしまいだ
公開:2025年11月25日

こちらは、「せりふ三題噺」さまに四度目の参加をさせていただいたときに書いたお話です。

「ピアノ線」をどうやってお話に組み込むかは、少し悩みました。けれど、三題のうちひとつくらいは難しめのお題があった方が、参加して書き上げられたときに達成感がある気もします。結果、オーナメントと初雪とを絡めて舞台装置として登場させることにしました。

また、クリスマスの準備をするとき、主人公たちに、「成功させたい、なぜなら前はだめだったから」という気持ちがあった方が、強いモチベーションになるのではないかと考えました。

そこで、お話の中で「過去のクリスマスの失敗談」として、誰にでも思い当たりそうな身近な思い出を挙げ、最後の「特別なことをしなくても幸せだと感じられる時間」と対比させる構成にしています。

派手な事件を起こさず、あえて大成功にしなかったことで、結果的にふたりにとって印象に残る景色になる……というところが気に入っています。

なお、京都出身の茜さんと標準語で話す敦くん夫婦は、掛け合いをしたときに「どちらが話しているかを判断しやすい」のが書きやすく、別のお話でも登場させています。


18.終着駅で逢いましょう

 【三題噺】
お題:ラブレター・終着駅・カクテル
公開:2025年12月5日

こちらは「三題噺(木曜日は3ースデイ)」さまに初参加させていただいたときに書いたお話になります。

このお題を見て、「終着駅」を人生の終点という比喩として出し、そこを軸とすると書きやすそうだと感じました。ラブレターとカクテルもちょうどその「最後の時間」のイメージのアイテムとして合いそうです。

最後の場面こそ少し視点をずらしたドッキリ構造になっていますが、物語のメインに据えているのはあくまで主人公の「未練」の感情です。

空虚な状態で旅に出た彼女が、旅先で想い人と再会してしまう。その偶然が、「もうすぐ終わる」という状況により、その心情が少し違う形に変わっていく、というところが肝だと考えています。

書きながら、人々の行動が大きなパニックになり過ぎないようには気をつけました。理由は、物語の焦点とはぶれると感じたためです。

大きな出来事の中にある、ごく短い静かな時間。その一瞬が、主人公にとっての終着点を照らす光になった──そんな余韻を感じていただけたならうれしいです。


19.あの休日、いつもの丘で

 【風まかせ文芸部 / 錯覚】
テーマ:「錯覚」
公開:2025年12月7日

こちらのお話で、「風まかせ文芸部」さまに参加させていただくのも三度目となります。

お話の着想は、過去に聞いたUFO目撃の体験談で、「知人が、一緒に見たはずのUFOの存在を覚えていなかった」という内容からです。

テーマが「錯覚」ですので、単純になんらかの錯覚が登場するだけでは物足りない気がしました。そこで、現実にも起こりうる「記憶のずれ」をテーマに落とし込んで書くことに決めます。本来なら、違和感を積み上げて、過去の出来事が少しずつ「錯覚の正体」となって浮かび上がる構造に持っていきたかったのですが……正直のところ難しく、胸を張ってうまくできたとはいいがたいところもあります。

登場人物を三人に設定したあとは、過去の記憶の中での事故やないはずの思い出などをこねくり回して、今のかたちに仕上げました。

「最後に明確な答えを示さない」のははじめから決めていた点です。記憶の改ざんと不可解な出来事の境界を曖昧にすることで、読後に小さな違和感が残るような終わり方を意識したつもりですが、いかがでしょうか。


20.ブラインド・トラップ

 【風まかせ文芸部 / 抜道】
テーマ:「抜道」
公開:2025年12月8日

「風まかせ文芸部」さまの企画に、四度目に参加させていただいた際に書いたお話になります。

テーマは「抜道」で、もともと「16.鈍色の眼」を書いたときに考えていたひとつの案をかたちにしました。「義眼デバイスによって視覚情報が記録される社会」の仕組みにも、抜道がきっとある。もし保存時間に制限があってその隙間をついて犯罪を狙う者がいたら……という内容です。

「犯罪実行部分を読み手に見せて、最後に崩れる」という倒叙型ミステリの読み味を意識して書きました。

いつも書き終えてからタイトルを考えるのですが、仕掛けて騙そうとした主人公の行動と、偽の情報で犯罪者を引っかける罠、その両方の意味を持たせられそうな「トラップ」という言葉を使うことに決めました。

「複数意味を持たせる」アイデアが通せそうなときって、パズルのピースをはめるような気持ちよさがあると思いませんか。

また「完全に見える社会」であっても、唯一の真実というものは存在しないのかもしれない──そのあたりが、余韻となって残るように書いたつもりです。


終わりに


今回は以上となります。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

気が向けば、第3弾も出せればと思います。

なかなか気軽には書けないですが、お話を作ったときの気持ちを思い出す感覚は、なかなか心地よいものです。

これからも5分程度で読める短編小説をアップしてまいります。
また、のぞきに来ていただけたらうれしいです。


【これまで書いたすべての記事は以下にまとめてあります】
財布野紐ゆるみ全記事まとめ

※普段の企画参加以外の小説の創作裏話については、有料で出しています。

どうぞよろしくお願いいたします。


財布野紐ゆるみ


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財布野紐ゆるみ 書いてる人も偉い。書いてないけど考えてる人も偉い。まぶしい。