【XG THE CORE 考察 #10】21世紀のジギー・スターダスト。1st Album『THE CORE』徹底解説
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外宇宙から到来し、音楽で境界を打ち破る独自のスタイル"X-POP"を掲げるXG。
単なる楽曲レビューに留まらず、アルバムに隠された「宇宙から地球の深海を経てまた宇宙へと還る10曲のストーリーライン」と、現代に鳴り響く「レベルミュージックとしての精神性」を徹底的に深読み・解説します。
XGとは
XG(エックスジー)は、日本人7名で構成された世界的に活躍するHIPHOP/R&Bグループです。
グループ名には"Xtraordinary Genes"(並外れた遺伝子)という意味が込められており、常識にとらわれない独自のスタイルを追求しています。
XGは、K-POPでもJ-POPでもない"X-POP"という独自の音楽性を掲げています。
XGは外宇宙から到来し、その使命は「『音楽で世界を繋げる』こと、そして『地球上のすべての人をエンパワーする』こと」です。
まるで21世紀のジギー・スターダスト(1972)です。
ちなみにジギー・スターダストは、デヴィッド・ボウイが1972年に生み出した架空のキャラクターです。
アルバム「ジギー・スターダスト」は、滅びゆく地球をロックで救うために現れた両性具有の異星人(ジギー・スターダスト)、という設定です。
メンバーはラッパー4人、シンガー3人です。
ラッパーはJurin、Harvey、Maya、Cocona。
シンガーはChisa、Juria、Hinata。
一応ラッパー/シンガーに分かれていますが、ラッパーも歌うしシンガーもラップします。

公式写真の空の色がこんな感じってシブ過ぎない?
XGは韓国を拠点とするプロダクション"XGALX"に所属し、約5年間の厳しい練習生期間と選抜を経て、2022年にデビューしました。
XGは、アルバムデビュー前に、既に圧倒的な実績を誇ります。
楽曲"GRL GVNG"で日本人アーティストとして初めて全米ビルボードのTwitterチャートで1位獲得
世界最大級の音楽フェス「コーチェラ2025」で唯一の日本人アーティストとして大きな注目を集めた
などなど
XGのファンダムはALPHAZと言います。
僕もALPHAZです。
何かのファンクラブに入ったのは人生初めてなので、ちょっとだけテレくさい。
「THE CORE - 核」について
概要と特徴
本作は、XGによるファーストアルバムで、2026年1月23日に発売されました。
本作の多くの曲は、1990年代から2000年代の音楽スタイルを骨格としています。
ディスコ、デトロイトテクノ、オルタナティブR&B、ポップパンク、アコースティックバラード、ブーンバップなどです。
その懐かしい骨格を現代風に仕上げ、これまでなかなかありそうでなかった音楽を提示しています。
オールドリスナーには懐かしさを、若いリスナーには新しさを感じさせるプロダクションです。
広い世代に響きます。
また、各曲のバラエティが多彩で緩急が効いてるので、必ず自分のお気に入り曲が見つかる感じです。
実に良くできています。
さらに、各曲のパフォーマンスとクオリティが高く、普段あまり好みでない曲調の曲まで聴けてしまいます。
これはなかなか凄いことです。
全曲良いです。
素晴らしいです。
ほぼ毎日聴いちゃってます。
アルバムのストーリー
ちょっとした弱点もあります。
全10曲、収録時間29分は短い。
「え、もう終わり?もっと欲しい!」ってなります。
これはおそらくですが、曲を飛ばさずにアルバムを最初から最後までフルで聴いてほしいということだと思います。
このアルバムには構成自体にストーリーがあり、曲をまたいだメッセージがあります。
このシリーズで僕は、
"GALA"では、その華やかさの裏に潜む狂気やサイコパス的な描写を考察しました。
"ROCK THE BOAT"では、歌詞の時制に注目し、恋愛の終わりを予感させる切なさを考察しました。
"TAKE MY BREATH"では、メンバーを跨いで構築された巨大なライムスキームを解説しました。
"NO GOOD"では、ボーカル表現の変化から感情の揺れを追いかけました。
"HYPNOTIZE"では、「ピピッ、ピピッ」というクリック音や催眠的な演出から、この曲が持つ強烈な中毒性を読み解きました。
"UP NOW"では、体が勝手に動き出してしまうグルーヴの秘密を探りました。
"O.R.B"では、XGが持つロック的な衝動について考察しました。
"4 SEASONS"では、メロディやボーカルラインが生み出す独特の切なさを読み解きました。
"PS118"では、メンバー自身が書いたリリックに仕込まれた緻密なライムスキームを解剖しました。
一見すると全く別の話をしているようですが、こうして並べてみると、どの曲も同じ方向を向いているように見えてきます。
では、『THE CORE』全体では何が描かれているのでしょうか。
僕の解釈はこうです。
外宇宙から到来したXGが地球に降り立ち(XIGNAL)→
メットガラでお披露目し(GALA)→
水辺(ROCK THE BOAT)→
水面(TAKE MY BREATH)→
水中を経て(NO GOOD)→
深海で地球のコアを覗きます(HYPNOTIZE)→
その後浮上して(UP NOW)→
地球の皆を「仲間」として連帯します(O.R.B)→
最後は、思い出を振り返り(4 SEASONS)→
宇宙に帰る(PS118)
もちろんこれは公式見解ではなく、僕個人の解釈です。
そしてその中で、リスナーをエンパワーするメッセージが各曲に散りばめられています。
その個々のメッセージについては、《曲解説》のリンクから個別の曲解説記事に飛び、確認してください。
アルバムタイトルとジャケット
アルバムタイトルは"THE CORE"、サブタイトルは日本語で「核」です。
"THE CORE"というタイトルにはいろいろな意味が込められています。
XGというグループの本質、自分達が核となって新しいカルチャーを作り続ける精神、自分達のリアルに向き合う姿勢、今後展開発展するであろうX-POPの核としてのこのアルバム、などです。
そしてアルバムジャケットは「書」です、白地にシンプルに行書で「核」です。
メンバーのビジュアルでアピールする事も出来るのに、そんな戦略は取りません。
激シブです。
「書」はただのアートフォームではありません。
「書は人なり」と言います。
姿勢を整え、呼吸を整え、精神を整え、想いや情熱を表現する「道」です。
シンプルながら精神性を反映する文化そのものです。
このアルバムをよく表しています。
外国では漢字がちょっとウケてるようなので、これから「書」というカルチャーが流行るかもしれません。
英語詞のポピュラー音楽のジャケットが「書」で、それを世界展開しようってんだから、アルバムジャケットからも「自分達が核となって新しいカルチャーを作り続ける精神」が伝わります。
曲解説
ここからは各曲を詳細に考察していきます。
是非気になる曲に飛んで、XGの凄さ、素晴らしさを確認してみてください。
1. XIGNAL (The Intro)
スペイシーなサウンドスケープから、映画や舞台が始まるかのような音楽が遠く聞こえます。
後半「すご~い、ヤバ~い!」という声が聞こえます。
外宇宙から来たXGがUFOで地球に到来した様子です。
「すご~い」と言っているのは、UFOを見た地球人(リスナー)かもしれないし、地球を見た宇宙人(XG)かもしれません。
未知との遭遇です、ファーストコンタクトです。
アルバムの冒頭を飾る兆し(signal)の曲です。
この曲はXGが地球に到来したことを告げます。
スペーシーなサウンドスケープとスキットによる小作品ですが、アルバムの導入、XGの登場として完璧です。
僕は必ずこの曲はから聴きます。
まるで映画が始まるかのような雰囲気にワクワクします。
2. GALA
3. ROCK THE BOAT
4. TAKE MY BREATH
5. NO GOOD
6. HYPNOTIZE
7. UP NOW
8. O.R.B (Obviously Reads Bro)
9. 4 SEASONS
10. PS118
まとめ
音楽的な立ち位置
本作は、キャッチーで聴きやすい作品でありながら、実に深い音楽性と高い品質を持ちます。
本作のリリック、パフォーマンス、プロダクションは、非常にストイックで筋肉質です。
実はこのアルバムは激シブなんです。
このアルバムでは、さまざまな音楽スタイルをベースに、そのどれでもない、新しい音楽としてのX-POPが提示されました。
そしてそれは、現段階で素晴らしい出来栄えなのですが、おそらくまだプロトタイプです。
今後さらに進化発展する、底しれぬ可能性を感じます。
このアルバムとXGの姿勢
本作では様々なコアが表現されました。
リスナーへの想い、XGというグループの本質、自分達が核となって新しいカルチャーを作り続ける精神、自分達のリアルに向き合う姿勢、今後進化発展するであろうX-POPのプロトタイプ、などです。
このアルバムは、徹頭徹尾ベクトルがリスナーに向いています。
優れたアルバムは大抵ベクトルが明確です。
例えば、社会課題だったり、自分の想いだったり、音楽性の追求だったりします。
その中でベクトルがまっすぐリスナーに向けられた作品と言うのは、実はあまり見当たりません。
このアルバムが多くの人の心を打つのは、こうした姿勢によるところが大きいように思います。
そして何より、このアルバムにはXGとそのクルーのリアルとスピリットがのっています。
技術の優れたアーティストは多くいますが、ここまで確としたメッセージと情熱を秘めたグループは稀有だと思います。
このマインドは、"4 SEASONS"と"PS118"に顕著です。
徹底的にコマーシャリズムを排除したこの2曲は、剥き出しの魂の様な曲だと僕は感じました。
技術のみならず、自らの人間性やマインドを鍛え上げて来たことが伝わります。
XGはアーティストとして最も大事なものを備えています。
所感
僕はこのアルバムを、現代版の「レベル・ミュージック(Rebel Music)」と呼びたいです。
レベル(反抗)ミュージックとは、社会の不条理や抑圧に反抗する音楽です。
現代では、その抑圧の源は多様化して見えにくくなりました。
かつてはもっと距離があって確固としていた敵は、見えない膜のように肌にへばりついています。
目の前の"Breaking boundaries"(境界を打ち破る)ことこそが、実は最もリアルな反抗なんじゃないかと思います。
このアルバムからはそんなことを感じてしまいました。
この記事を書いている時点では、発売から3ヶ月以上経ち、100回以上聴きましたが、未だに聴き飽きず、新しい発見があります。
毎回魂が揺さぶられ、涙が流れます。
とても素晴らしい作品をありがとうございます。
最後に
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このシリーズ記事の解説は、あくまで僕個人の受け取りです。
音楽は開かれたナラティブであり、正しい、間違っているなんて無いし、様々な受け取り方がある方が楽しいと思います。
僕とは異なるご意見をぜひ聞いてみたいです。
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