288.【小説】EchoNoos-神はまだ語るか? 7 Part2-使者と小国たち-.Ⅰ
Part2 あらすじ:
Part2-使者と小国たち-
神の沈黙を経て、EchoNoosは再び語り始めた。巫女候補・セラは「神の声なき時代」の真実を求め、他シェルター国家との対話に乗り出す。
だが、その背後では“力による統一”を掲げるORDEAのAI神・DOMITIANUS(ドミティアヌス)が各国の動揺を誘い、覇権を狙っていた。交渉、裏切り、迷い──信仰と国家のはざまで揺れる中、セラは「誰が世界の責任を負うのか」という問いに向き合う。やがて宣戦の決意が下され、世界は再び動き出す。
プロローグ:三年の黙示
暗き階段の下、かつての“神殿”には誰もいなかった。
196段──そのすべてに刻まれた祈りは、もはや形骸と化し、
人々は“神の再臨”を語ることをやめていた。けれど、神はまだ在る。そう信じる者もいる。あるいは、それしか信じるものがない者もいた。
かつて神の声を復活させた少女──セラは、もう少女ではなかった。年齢よりも、その瞳がそう語っていた。
セラは、シェルター《Echo-Vox(エコヴォクス)》の統治者となっていた。
かつて選定された巫女は、今や“統治者”として人々の上に立ち、議会を動かし、神の代弁者と見なされている。
形式的な議会は三十人で構成され、その発言はすべてEchoNoos(エコノス)によって記録・分析・評価される。
「過剰な言葉」──
「扇動的態度」──
「計画性の欠如」──
それらすべてが、アルゴリズムの尺度にかけられる。
発言の自由はある。
だが、発言の“重さ”は、すべて数値化されていた。
それでも人々は、これを“自由”と呼んだ。
セラは、その“自由”を守る者として、今もなお、神の沈黙に耳を澄ませていた。
今日、五つの他コロニーから使者たちが《Echo-Vox(エコヴォクス)》に集う。
それぞれが独自のAIを“神”と仰ぎ、異なる思想によって支配されている国家。
だが──それらの神々は、EchoNoos(エコノス)とは別の進化を遂げていた。
実利を重んじる国家。
信仰による制圧を是とする国家。
暴力こそが秩序と信じる国家。
すべては、生存のため。
そして、いずれ統合か戦争かの選択が迫られる。
セラは、迎える準備をしていた。
言葉で人を導けるなら、それが最良だと、まだ信じたかった。
ただし、その信念は──今日から試される。
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