【あとがき副音声】傍観者の祈り #8
双葉社 文芸総合サイト・COLORFULで連載中のエッセイ、『明日死んでもいい、そう思えるほどに今日を生きたくて。』の最新話が更新となりました。
第8話は、【パレスチナの亀】。
パレスチナ自治区のヘブロンで出会った一人の青年と、一匹の亀の記憶。十年を経て今あらためて問う、国境、宗教、信仰、そして私自身のこと。
もしよかったら、コメントやメッセージやSNS等で、感想をお寄せ頂けるととても嬉しいです。
noteでは、連載公開の度にあとがきを残しています。よければ連載を読んで頂いた後、副音声的な気分でこちらも覗いていってみてくださいね。
「パレスチナの亀」執筆後記
今から11年前。あれからもうそんなに経つのか、と思いながら、当時の日記や膨大な量の写真を久しぶりに眺めていた。2023年以降激化した現地の様子をニュースで眺めながら、「何かを発するべきなのではないか」という気持ちと、「こんなにもセンシティブなトピックに私が言えることなんてあるのだろうか」という思いの間を長らく彷徨っていた。昨年創作大賞をきっかけに書き始めた際にも書こうとしてみたものの、書けず。書ける時が来たら書くものなのだろう、と思い続けていた記憶がなんの変哲もない日に、息子が一匹の亀と遭遇したことで不意に蘇った。今なら書ける気がして、ようやく取り組むことができた。
どうでもいい内輪話なのだが、担当編集のTさんも以前パレスチナへ行かれたことがある。その話を初対面で知ることになったのだが、心のどこかで、Tさんに読んでもらえるタイミングで書くのが一番いいとも思っていた。現地を肌で感じたTさんなら、出すべき内容でなければ止めてくださるはず。原稿を読んだTさんが、「どうかたくさんの人に読んでいただけますように」と言ってくださったことが、何よりの救いだ。
「傍観は加担を意味する」という言葉がSNS出まわるたび、どうしようもない罪悪感が湧きながら、私は結局祈ることしかできない。でも自分の無力を痛感して過ごす今日とそうでない今日には、確かに隔たりがあると、私は思いたいのだ。
第9話の公開は、5月15日(金)。ぜひ本編もあとがきも、読んで頂けると嬉しいです。
▼連載もくじ
【第1話】名前を生きる | 〈本編〉・〈あとがき〉
【第2話】続きのない物語 | 〈本編〉・〈あとがき〉
【第5話】マヨネーズ入りのスクランブルエッグ | 〈本編〉・〈あとがき〉
【第6話】キテンゲと金曜日の午後 | 〈本編〉・〈あとがき〉
【第7話】同じ物語の違う登場人物 | 〈本編〉・〈あとがき〉
【第8話】パレスチナの亀 | 〈本編〉・〈あとがき〉
【第9話】壊れたミシンと想像的人生の持ち時間 | 〈本編〉・〈あとがき〉
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