日本一の就労Bを作ると決めて、開所から2年間でできたこと・できなかったこと【振り返り】
こんにちは。パパゲーノ代表の田中康雅(やすまさ)です。
本日、2025年8月31日で「パパゲーノ Work & Recovery」の開所からちょうど2年になりました。開所から2年の節目なので、「できたこと7つ」と「できなかったこと5つ」を振り返ります。
パパゲーノの存在意義
パパゲーノは「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指して創業しました。事業を通して「リカバリーの社会実装」をするのが会社という箱を創った目的です。この想いに共感する方が集い、一緒に旅を始めて、何とか今に至ります。
全く順風満帆ではありませんでした。壁にぶつかったり、深夜までトラブル対応に追われたり、会社の資金が底を尽きかけたり、信頼していた社員が退職したり…。本当に紆余曲折ありながら、2年の節目を迎えることができています。支えていただいているみなさまに、心から感謝しています。

2年間でできた7つのこと
パパゲーノ Work & Recovery(就労継続支援B型)を開所してから、色んなことに挑戦してきました。振り返ってみると想像以上に前進できたと思います。

1.DX・AI活用で日本一の就労Bを作る
就労継続支援B型を開所する際に、日本一DXとAI活用をすると決めていました。その結果として、2025年6月に内閣府の「新しい資本主義実現会議」の中で作られた「省力化投資促進プラン」の障害福祉分野で、DXの好事例としてパパゲーノ Work & Recoveryの実践事例が取り上げられています。日本でトップクラスにDX・AI活用をしている障害福祉施設の1つにはなれたかと思います。

他にも、「令和の虎」など知らないところで名前を挙げられてたよと教えてもらう機会も増えてきました。
ちなみに、日本一の就労Bを作ると決めてからの経緯は歌にもしているので良かったら聴いてみてください笑
2.八幡山・用賀・下高井戸と3拠点に展開
開所時は八幡山の1拠点でしたが、2年間で用賀、下高井戸と合計3拠点まで拡大することができました。利用希望のお問い合わせも「500名」近くいただいており、少しでもニーズに応えていきたい想いで開所を決断しています。
今では「100名」ほど障害のある方が在籍し、パソコンを使った企業のDX支援の仕事に挑戦するリカバリーの機会を提供できるようになりました。
3.AI支援さんで介護福祉のDXに貢献
パパゲーノ Work & Recoveryでの実践を活かして、「AI支援さん」というプロダクトを開発しました。これにより、障害福祉業界全体のDX推進に貢献できるようになりました。現場での課題を解決するためのツールを作ることで、パパゲーノ社内だけでなく、業界全体の働き方改革や生産性向上に寄与できているのは大きな成果だと感じています。

開所当初から、自社で就労Bを運営することで、障害福祉業界の深いDX課題を理解し業界全体に良い支援を広げていけるようなサービス開発に挑戦したいと思っていました。

それがBPO(事務代行)なのかSaaS(ソフトウェア)なのか、はたまた自社で施設を増やしていくことなのか、全く決まってはいませんでしたが「リカバリーの社会実装」に向けて一旦全部やってから最適な事業戦略に絞ろうと考え今に至ります。
4.書籍出版、イベントなどで実践を広げる
2025年3月11日、書籍「生成AIで変わる障害者支援の新しい形 ソーシャルワーク4.0」を出版しました。
「生成AIが単なる効率化ツールではなく、障害福祉業界に革命をもたらす社会資源の1つであることを伝えたい」
「リカバリーに向けた障害者支援の実践を広めたい」
という想いから本を書きました。多忙な中での執筆でしたが、やり切れて良かったです。
特にこだわったのは、障害当事者の声をたくさん盛り込むことでした。「支援者の自己満足的教科書」にはしたくなかったので、多くの事例やインタビューを通じて、生成AIを活用して自分らしく生きる障害当事者のリアルな声を届けることに最もエネルギーを注ぎました。
出版後は、見学の依頼、企業への協業提案機会、講演・研修依頼が急増しました。AI支援さんへの問い合わせや就労継続支援B型の利用希望も増えてきていて、想像以上の反響をいただいています。
また、出版に限らず、パパゲーノの知見を業界全体に広げていくためにAI福祉ハッカソン、読書会、支援者向け研修会、当事者会など定期的にイベント開催もしています。
5.業界のDX実態調査・政策提言
現場での実践だけでなく、障害福祉業界全体のDX推進状況の調査もパパゲーノで実施しました。生成AIのお陰で、簡単な重回帰分析ならすぐできるのでありがたいです。厚生労働省の障害福祉分野のDX担当の方とも繋がることができたので、具体的に提言していくこともできました。
杉並区の福祉施設の任意団体に参加して、杉並区への提言も実施しています。少しずつではありますが、現場での実践を踏まえた現場の声を政策に反映させる取り組みは続けていきたいです。
また、毎月NPSや工賃に対する満足度をアンケート調査で回収したり、面談の音声データを記録したり、体調チェックのデータを蓄積したりすることで、縦断的なデータも2年分貯めていくことができました。
現状の福祉制度に対する違和感が色々あったので、ひとまず杉並区に提言してみることに。まずは地元の自治体から変えて、東京を変えていきたい。
— やすまさ (@yasumasa1995) June 11, 2024
違和感を言語化し、対話して具現化していく過程で、まだまだ勉強不足だと痛感するね。 https://t.co/ETgFiHSAE3 pic.twitter.com/zE4kI0FqMJ
6.自分も精神保健福祉士になる
代表である自分自身も、ソーシャルワークとより深く向き合うために精神保健福祉士の資格を取得しました。もともと公衆衛生学の修士は持っていたのですが、専門学校に通いながら就労Bを設立し、2025年2月に国家試験を受けて無事取得しています。今後も理論と実践の両方の視点から、チームでより質の高いサービス提供ができるように努めていきたいです。
もともと医学モデルから社会モデルへの変化が起きていた中で生成AIが一気に社会実装されることで、10年後の精神科医療の主役はソーシャルワーカーになると思っていて、それもあって精神保健福祉士の勉強をしている。とてもワクワクしながら学べていて充実感ある。
— やすまさ (@yasumasa1995) August 20, 2023
7.上場企業基準のガバナンス体制を作る
パパゲーノはまだ小さな組織ですが、経営体制は上場企業基準で整えられています。障害福祉サービスは「社会インフラ」としての側面が強いので、仕組み的にも、文化的にも透明性の高い運営を心がけてきました。
具体的には、契約締結、支払い、月締めのプロセスを標準化したり、僕の独断では意思決定できない形にして意思決定の透明性を高め、誰でもパパゲーノの代表取締役ができる状態にしています。そのため、今日僕が死んでも、明日もパパゲーノの事業は大きな支障なく回り続けます。利用者さんや関係者の皆さんに、安心して関わっていただける組織になれたと思います。
できなかった5つのこと(今後の課題)
一方で、やりたいけど、まだできてないこともたくさんあります。3年目に挑戦していく今後の課題もまとめます。
1.複数施設運営の組織体制づくり
八幡山・用賀・下高井戸と3拠点に展開したものの、それぞれの施設を自律的に挑戦できて品質も高い運営ができる組織体制づくりは手探り状態で道半ばです。現場スタッフの負担を軽減しながら、質の高いサービスを持続的に提供するための仕組みづくりは、まだまだ改善の余地があります。
単純に社員数も2倍、3倍と増えているので、事業所の課題解決をどういう組織体制でやっていくのか模索しながら最適な形を作っていきたいです。利用者さんも含めると、もう100名以上の大組織になっています。
2.パパゲーノならではの就職支援の仕組み
利用者さんの企業への就職支援において、パパゲーノならではの強みを作ったり、仕組みを構築することはまだまだできていません。これまで10名以上の方が企業に就職し卒業されていますが、そのプロセスを標準化してより個別支援を実践できる体制を作っていきたいです。
3.就労B以外でDX・AI活用の事例創出
現在は就労継続支援B型に特化していますが、他の福祉サービスでもDX・AI活用の可能性を広げたいと考えています。グループホーム、相談支援事業、放課後等デイサービスや、介護分野など、より幅広い分野での実践事例を作っていきたいです。
4.YouTubeチャンネル登録1,000人
ソーシャルワーカーとして身近な社会資源を知らなすぎるので、一次情報を取りに行きたい。そしてわかりやすく価値を伝えたり、社会の問題を提起したり、したいと思って取材やYouTube運営をがんばっています。
まだ登録者1,000人という目標には到達できていません。もっと多くの方に実践事例や想いを届けるために、良い動画をコツコツと制作していこうと思います。
チャンネル登録まだの方は是非していただけると泣いて喜びます!🙇♂️
5.もっとレバレッジをかけて勝負する
2024年12月に「AHCグループ」という東証グロース上場企業に参画し株主にもなったことで、より大きなスケールでの挑戦が可能になりました。介護福祉施設を全国に125施設運営する豊富な施設運営ノウハウがあり、毎月何万件もの面談を実施しているという大きな組織で、現預金も20億円あります。
このアセットを活用することで、AI支援さんの活用を広げたり、生成AIを活用した介護福祉施設経営のあり方を抜本的に見直して構築していくことができるかもしれません。小さな1施設での実践から始まったパパゲーノの取り組みを、全国125施設というスケールで展開することで、日本の障害福祉・介護福祉業界全体に本格的なインパクトを与える挑戦ができる環境が整っています。

しかし、まだその可能性を十分に活用しきれていないのが正直なところです。もっと大胆に、もっと戦略的に、上場企業ならではの力を活かした問題解決に挑戦していきたいと考えています。良いソーシャルワーカーになれるよう、マクロレベルの社会変革にも地道に挑戦していきたいところです。
リカバリーの旅を楽しむ
この2年間で「生きててよかった」と実感できる場所、リカバリーを体感できる機会を一緒に作る仲間がたくさん増えました。利用者さん、スタッフ、協力してくださる関係機関、企業や行政の方々に助けていただき、日々小さな努力を積み重ねて、目指していたことが1つずつ形になってます。総じて、自分らしい経営で歩みを進めることができたかなと感じています。
0→1から、1→10に事業フェーズが変わり、僕自身も現場の支援員から少しは経営者っぽい役割にシフトしていくことになり、また新しい課題に直面していくことになると思います。3年目も、初心を忘れずに、でも新しい挑戦もしながら、リカバリーの旅を楽しんでいきます。
事業所の見学やビデオ通話でのお話は随時受け付けているので、パパゲーノ Work & Recoveryに興味のある方は気軽にご連絡いただけたらと思います。
Special Thanks:104名の応援があったから
ちなみに、パパゲーノ Work & Recoveryを開所する前の、まだ何もない時に応援コメントを104名の方からいただいてます。今見返すと、感慨深いです。改めて応援ありがとうございます🙇♂️
以下、パパゲーノについて触れていただいているnoteのリンクまとめです。
