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銀河フェニックス物語 <恋愛編>  第八話 雪が生まれる場所で(10)

銀河フェニックス物語 総目次
第八話 雪の生まれる場所で (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
<恋愛編マガジン>

「アマンダは地元へ帰ってよかった?」
「刺激はないけれど楽よ。こっちの人はソラ系の人たちみたいにあくせくしてないし。売るものは雪しか無い星だけど、連邦の援助でやっていけてるから、貧しいけれどのんびりしてるのよね。困った時はお互い様、って。ソラ系にいた時はお隣さんの顔も知らなかったから、おすそ分けもしなかったし」
「わたしもソラ系じゃ、アガタおばさんみたいに付き合える近所の人はいないわね」
「そのせいで太っちゃったんだけど」
 肩をすくめるアマンダがうらやましい。ソラ系は刺激があって面白い。だけど、生活するには疲れるのだ。
「でもね」
 ポツリとアマンダがつぶやくように言った。
「ティリーが活躍してるのを見ると、うらやましくなる時もあるわ」
「わたし、何も活躍してないわよ」
「S1とか大きな現場にいられるって、それだけで違うのよ。私はこんな田舎で何してるんだろうって。ムーアがもう少し大きくなったら、本社のプロジェクトにも参加したいと思ってるんだけどね」
「その時には、一緒に企画書作ろうよ」
「ありがとう」
 力ないアマンダの笑顔から、優秀な彼女のあせりが伝わってきた。

**

 RRRR RRRR 

 レイターは反射的に通信モニターのスイッチを入れた。最悪な目覚めだ。アーサーからの緊急連絡音。時計を見ると午前五時を回ったところだった。

「何か用かよ」
 用があるに決まっているが、わざと不機嫌そうな声で聞いてやる。
 アーサーはあいさつもなくいきなり本題を切り出した。
「ロヤ山付近で不審な動きが観測された。監視カメラが捉えた映像を送信する」

 進入禁止の看板がかかった登山道に三人の人影が見える。雪が横殴りに降っていて、映りはよくない。
「雪の誕生地へ観光旅行へ向かったようだ」
「は?」
「冗談だ」
 嫌な感じだ。雪の誕生地から吹き出した気流は雪雲となってロヤタウンに雪を降らせている。俺の考えたことと同じことをアーサーが口にした。
「雪を利用して広範囲に強毒性ウイルスを撒くものとみられる」
「無差別テロってかよ」
「テロ認定はしていない。現時点では複数犯による無差別殺人の可能性があるという段階だ。山頂付近は吹雪だ。おそらくは山岳民族が関わっている。雪山が得意なお前で助るよ」
 昔、雪山で死にかけて、アーサーに助けられたことを思い出す。
「ったく嫌味な奴だ。で、どうしろってんだ? 俺に雪山観光しろと」
「いや、下山してくる彼らをマークして、身元を割って欲しい」
「ウイルス攻撃を止めねぇのか?」
「できれば止めたいが、もう間に合わない」
「あん? その雪が町に降ったらどうなるんだよ?」
「想定では住民の九十八パーセントにあたる三十万人が感染し、四十八時間で大半が死亡する。ちなみにこれまでに確保できた細胞洗浄装置の数は三百」
「俺、数字聞き間違えた? 千人に一人しか助かんねぇって計算になるんだけど」
 アマンダさんとムーアの顔が頭に浮かんだ。
(11)へ続く


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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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