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銀河フェニックス物語<出会い編>  第三十一話(20) 恋の嫉妬と仕事の妬み

第一話のスタート版
第三十話 まとめ読み版①  (11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)(18)(19

「告発文書を、情報ネットワークにあげてみてはどうでしょうか」
 情報ネットなら、誰でも世界に発信できる。弱者の武器だ。
 世論を味方にできれば公的機関だって動かせる。

「情報ネットワークか・・・」
 ワトキンスさんの目が細くなる。
「わたしと同じように、おかしいと感じる人は必ずいます」
「そうだよ、何度も何度も情報をあげて、ようやくネットワーク上の良識ある人たちの間で話題になった」
 口元が笑っている。笑顔ってこんなに怖いものだっただろうか。

「その結果を教えてやろう。ロットリンダは名誉毀損だと警察に届け出た。あいつは今や有名人だ。そして、わしの投稿は削除されたんだ。さあ、わしは次はどうすればいいんだ?」

 打つ手がない。
 やり方が良くない、と言ってしまったけれど、ワトキンスさんはいろいろ考えて、実行していた。それを、みんなが無視したせいで、立てこもりという犯罪にたどり着いてしまったんだ。

 これは、おかしい。
 何かがわたしの中で弾けた。
 死ぬ前に、一言言わずにはいられない。  

 わたしは、人質のバッハさんに顔を向けた。

「バッハさん、どういうことなんですか? そもそもコッペリ社が産業スパイをしたっていうのは」
「いえ、それは、あの・・・」

バッハ怯える

 バッハさんが口ごもった。

「大体、フイールが危険な成分でできている、ってことを隠して販売するなんて、倫理的に問題じゃないですか」
「そう言われましても」

 コッペリ社は、フイールの危険性を一言も告知していない。
 わたしは速乾機能を喜んで使っていたけれど、こんなビルを吹き飛ばす爆発力を持っているなんて知らなかった。
 原材料が危険なことを隠すために、企業秘密として一切公開しなかったんだ。

 消費者への裏切りだ。
 
「売れればいいんですか。そんなコッペリ社もおかしいですけど、ワトキンスさんの勤務先だったハルタナ社はもっとおかしいです」
「ん?」
 ワトキンスさんがわたしを見た。

「だって、情報を盗まれたのなら、ワトキンスさんを責めるんじゃなくて、正々堂々と、社としてコッペリ社に抗議すべきです。ワトキンスさんが十年研究していた企業秘密を盗まれたんですよ。それを、社員一人の責任に負わせるなんて、おかしいじゃないですか。ワトキンスさんの居場所を奪うなんて、もってのほかです!」

n11ティリー@2桃柄スーツ怒り逆

 怒りが恐怖を上回っていた。わたしは逆切れしているのかも知れない。
 けれど、間違ったことは言っていない。

 ワトキンスさんが声を震わせた。 
「その通りだ。わしはずっと真面目に研究してきたんだ。速乾洗剤が完成しなかったのは、産業スパイのせいだ。それなのに、どうして、こんな目にあわなくちゃいけないんだ」
 
 契約を横取りした後輩のサブリナが、売買成立という日に、わたしは雑用仕事で、どうして、こんな事件に巻き込まれなくちゃいけないんだろう。

 世の中の不公平に腹が立つ。

「理不尽です」 
 わたしの言葉に、ワトキンスさんの表情が和らいだ。
「わかってくれるか、わしの無念を」
「はい」

 その時、わたしは気が付いた。
「ワトキンスさん、テレビを見てください」

 記者が最新情報をリポートしていた。
「ワトキンス容疑者の要求について、情報が入ってきました。コッペリ社の社長とフイールの開発者ロットリンダ研究員を呼ぶよう求めています。ワトキンス容疑者は、ロットリンダ研究員が産業スパイだ、という主張しており、謝罪を求めているとのことです。ワトキンス容疑者が研究してきた速乾洗剤の研究データを、ロットリンダ研究員が盗み出しフイールを完成させた、と訴えている模様です」

「ワトキンスさん。あなたの主張をマスコミが取り上げて流していますよ」

 ワトキンスさんが、テレビを食い入るように見つめた。

ワトキンス見つめる

「きっと、このニュースで銀河中の人にわかってもらえます」
 ワトキンスさんのとった手段は正しくない。でも、社会の不正はようやく表にさらけだされた。

 と、その時だった。

 ワトキンスさんの身体が硬直した。

 そして、手からガラスのボトルがするりと落ちた。えっ?!
 あれが床に落ちたら、爆発する。

 二本のボトルの落下がスロー映像のようにくっきりと、わたしの目にうつる。
 突然のことに身体が動かない。

 レイター、助けて!

振り向きの2シャツ微笑

 視界が真っ白になった。    (21)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」