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VRChatプレイ三周年に寄せて―倦怠期からが本番


私について

2024.10.06、月下彼岸 -Beyond the Moonlit Night-にて、ソーサツ・チエカ
2024.12.20、Fket 2024 Winter - Konoshiro Ski Rezort - 鮗高原スキー場にて、ソーサツ・チエカ(Yamamiyaさん撮影)

「私がフィッシュヘッドの集団の中にいなくてよかった。私がいると全てを言語化しようとしてしまう。こういうものだと決めてしまおうとしてしまうでしょうから」
「でも、チエカさんの言語化(していること)は、いずれそれで助かる人が出てくると思うんですよね。だから僕は言いたいですね、この時代にこれだけのことをチエカさんが言ってるぞーって」
「あくまで外側から、適度な距離を置いて見ていることは、たぶん正しかったのかなと思います」

2024.12.11、Konoshiro Ski Rezort - 鮗高原スキー場にて、カヤ(kaya)さんと甘水あみさんとの会話


私ことソーサツ・チエカは、2022年8月7日にVRChatのアカウントを作り(※)、同8月31日に初めてログイン、9月3日に初めてHomeを出て初心者案内を受けました。このうち、私は8月31日を一応のソーシャルVR開始記念日としています。2023年10月27日にTrustedになり、2024年8月8日にVRChatプレイ時間が1000時間に達しました。2025年8月31日現在、プレイ時間は1590時間です。

(※)これまで、VRChatのアカウントを作ったのは8月27日だと思っていましたが、2025年8月7日にプロフィールに三年目のバッジがつきました。ゲーミングPCを買う前にアカウントを作っていたものと思われます。


普段はVRChatでフレンドさんたちとお話をしていることが多く、時々イベントに参加しています。clusterのイベントに参加することも稀にあります。Resoniteでもアバターをセットアップして案内を受けましたが、現時点ではほぼいません。VRにいないときはtwitterで目についた話題に反応したり、noteでVRについて考えたことを書いたりしています。VRやアバターを題材にした小説をnoteに投稿することもありますが、ここ一年はワールドの製作に集中していたため本数は少なくなっています。また、「美少女場の量子論」と称する社会物理学上の仮説を研究しており、clusterのバーチャル学会で年に一度発表しています(2025年のバーチャル学会は参加を見送ります)。

始めたときの環境や感じたことについては一周年の記事を、これまでの活動については二周年の記事をご覧ください。本記事では原則として、2024年9月1日から2025年8月31日にかけての変化について述べます。


機材

現在の機材は以下の通りです(太字は昨年から変わった部分)。

(PC)
マザーボード: ASUS TUF GAMING B660M
CPU: i5-12400F
GPU: ZOTAC RTX3060
メモリ: 16GB×2
ストレージ: SSD1TB
電源: 650W Bronze

(VR)
HMD: Vive Pro
コントローラ: Valve Indexコントローラ
ベースステーション: Valve Indexベースステーション2.0 x2
トラッカー: Viveトラッカー3.0 x8(うち2個は肘、8個ともEoZ VRトラッカー用ストラップで固定)、Viveフェイシャルトラッカー

(オーディオ)
スピーカー: Vive Proスピーカー
マイク: SONY ECM-PC60コンデンサピンマイク、UGREEN外付けサウンドカード

(声帯)
DAW: Voicemeeter Banana
サンプリングレート: 48000Hz
バッファ: 160サンプル
VSTホスト: Cantabile Lite x64
VST: RX 8 Voice De-noise(環境音の除去) → reaeq-standalone(イコライザ) → pitchproof-x64(ピッチシフト) → Lisp x64(歯擦音の除去)
ピッチ: +4.74
フォルマント: 自動
イコライザ: (ループバック用)200Hz以下と10000Hz以上をカット、(VRChatへの出力用)120Hz以下と7000Hz以上をカット、1800Hz付近を3dB低減、全体を3dB減

パソコンの構成やVRゴーグルは変わっておらず、修理や交換もしていません。変化といえば、肘用のViveトラッカーを追加したことと、マイクを電池の不要な製品に換えたことくらいです。

アバター

アバターとしては、最初から使っている姿を使い続けています。VRChatを始める前にVRoid Studioで自作したもので、時々小規模な変更をしたりアイテムを足したりしています。この一年では、Avatar Basic Toolを更新し、帽子と和傘をワールド固定するギミックを修正し、ハンドサインで瞳を引っ込める(=どの角度から見ても目が合うようにする)機能を追加し、ニンジャスレイヤー風のメンポを新しく入れました(まだ使う機会はないのですが……)。また、同じデザインのQuest版もあり、それよりさらにポリゴンを減らした姿をFallbackにしています。衣装差分としてバスタオルと水着と中南米風のポンチョと前の開いたコートと浴衣の姿を持っていますが、身体の造形は同じです。

目と眉の表情は、ハンドサインではなくリングメニューからFaceBlendを操作して出しています。その方が誤入力が少ないですし、表情の切り替えの速さをコントロールして自然に見せられるからです。

私の姿を二頭身のぬいぐるみにしたアバターもあります。

2024.10.06、月下彼岸 -Beyond the Moonlit Night-にて、チエカぬいぐるみ

また、2025年1月30日のVRCポケ改変集会をきっかけに、販売アバターの改変も始めました。第1回VRCポケ改変集会では映画「水の都の護神ラティアスとラティオス」からラティアスとカノン、第2回VRCポケ改変集会(2025年5月29日)ではポケモンサン・ムーンからルザミーネの改変をしました。今の私の姿のQuest版は、このときのアバター改変と後述するワールド製作の経験からいくつかの軽量化ツールの使い方を覚えたついでに、印象が極力PC版と変わらないように作り直したものです。

2025.01.31、The Avatar Studio | Avatownにて、ラティアス。素体はElioska
2025.01.31、Venice Immersive 2023にて、謎の少女
2025.05.26、White Sanctuaryにて、ルザミーネ。素体は仙猫
2025.05.28、What I want to seeにて、ルザミーネ(マザービースト)

マイクを変えたことによる音質の変化は特に感じませんが、秘密基地のエアコンの効きがよくなり乾燥するためか、物理声帯側で声がかすれることがよくあります。また、2024年8月27日に出演した「言ノ葉ラジオ」で私の声が音割れしていたのを受けて、VRChatやDiscordに出力する音量をわずかに下げました。ただし、イヤーマフをオンにしている方には互いの向きによっては私の声が聞こえないことがあるようで、特にインスタンスにjoinしたときの挨拶でそれがよく起こるので、場合によって少し声を大きくするようにしています。

私は配信はしていませんが、稀にボイスチェンジャーの遅延や音質を試すことも兼ねて歌ってみた動画を投稿します。声は常に自分の物理筋肉の動きを伴い、また出た声は全て耳に返ってくるので、ボイチェンはアバターよりも大きなフィードバックを人の自己認識に対して与えると思っています。


交友関係

方針

2025年8月31日現在、私のフレンドさんは251人(一年間で38人の増加)、そのうち私からjoinして自然にお話ができそうだと思う方は五割ほどです(一年間で一割の減少)。これは、付き合いの深さ、twitterのアカウントの有無、私がついていける話題がありそうかどうか、相手のコミュニケーションの仕方の傾向、などによります。昨年までと変わらず、フレンド申請をする/返す際には、イベント参加のために私から申請する場合を除いて、会話をして互いを尊重できることを確認することにしています。

Twitterでは昨年と同じく、原則としてVRでフレンドになった方をフォローすることにしています。また、VRからログアウトした後には常に、その日VRで経験したことをtwitterに書いています。人と話した内容もテーマだけは書きますが、Inviteのインスタンスで話したこと、個人的な経験に深く関わると判断したこと、秘密にしてほしいと明示的に言われたことは書きません。ただしInviteのインスタンスで話したことでも、公開する許可がその場の全員から取れているとみなせる場合には書くことがあります。写真の扱いもこれに準じます。

Private欄にいるフレンドさんには、原則としてInviteやRequest inviteを送りません。これは、気を許した相手と(あるいは一人で)過ごしている空間に穴を開けることと釣り合うだけの楽しさを私が提供できないと思っているからですが、前もっての約束があるときや、緊急で話したいことがあるとき、会いたければRequest Inviteを送ってほしいと明示的に言われているときについてはこの限りではありません。私自身は普段は緑ステータスにしており、このときにはInviteやRequest inviteは歓迎します。受けられないときには赤ステータスにします。青とオレンジステータスを使うことはこの一年間ありませんでした。

VR感覚はあまり強くなく、この一年でもほとんど変わりませんでした。しかし、これはかなり相手によることが分かっています。自作のワールドにオブジェクトとして置いてある私のアバターに近づくと体温や気配を感じるので(自分でワールドを作ったのはそれを試すためでもあります)、自分に近づけてもいい、かつ存在感を感じたい相手であれば感じるのだと思います。ただし私の場合、そのハードルはやや高いのでしょう。

昨年までと同じく、VR感覚を鍛えるために、他の方と不用意に身体が接触するのは意識して避けることにしています。撫でられるのは嫌いではありませんが、喜ぶかどうかは状況によります。最初に言葉か一拍ので合意を確認するような動きがあると好ましいと思います。頭と顔と手以外を触られることと、キスされることは好きではありません。許可を求められても原則として断りますが、触れるのを望むこと自体には悪い印象は持ちませんし、許可を求めること自体は常に許されているべきだと思います。

三人以上の場でほとんど発言をしないのも変わりませんが、集合写真を撮るときに入りに行くことにはあまり躊躇しなくなりました。

2025年8月時点でお砂糖とJUSTの経験はありません。それらを含むソーシャルVRでのセクシュアリティに関わる営み一般についてお話することは好きです。私自身としては、望んではいますが、募集はしていません。は、人の企てを超えたところから来るからです。


交友範囲

昨年までの私のフレンドさんのほとんどは、JPT、哲学カフェ堂、理系集会、言ノ葉堂、フィッシュヘッド、夢幻堂プロジェクトを通じてお会いした方たちでした。それが最近では徐々に、それらの繋がりを通じて接触したさらに別のコミュニティでフレンドさんができるようになりつつあります。言ノ葉堂から辿ったモノガタリ交流会、理系集会から辿ったレメゲトングループなどがその例です。また、これらの繋がりとは関係なく参加した場の数少ない例として、VRCポケ改変集会があります。

私の交友関係の全ては、元を辿ればJPTとぽこ堂と理系集会から発していると言えるのですが、ぽこ堂にはこの一年で数えるほどしか行きませんでした。かつてぽこ堂でできたフレンドさんたちのVRChatライフスタイルが変わったことが理由の一つ、私が議論や哲学対話そのものにはあまり興味を持っていないことがもう一つです。ぽこさんをはじめぽこ堂で出会った方たちには敬意を持っていますし、今も浅からぬお付き合いがありますが、ぽこ堂というワールド自体はソーサツ・チエカにとって一つの役割を終えたのだと思っています。

言ノ葉堂で開かれる言ノ葉の集いには、今も時々参加しています。これは、一回に参加する人数があまり多くなく、その中に顔見知りのフレンドさんも何人かいるからでしょう。しかし、言ノ葉ラジオの「きっとあなたの140字」には最近投稿していません。お題に対して何か思いつけば投稿しようとは思っているのですが、擬人化美少女と人間の精神とに関する私の考えを世に問うべき場はここではないとも感じています。

2023年には、「万物は擬人化でき、それは内なる他者も例外ではなく、アバターコミュニケーションは内なる他者の擬人化の表れである」という事実を伝えることを意図して140字を投稿していたのですが、2024年8月にそれらをまとめた同人誌を出してからは、基本的な考えを吐き出し終えたためか、あるいは私自身がこの姿でこの世界に十分定着したためか、それらを「既に繰り返し述べた、今さらのこと」と感じるようになっており、美少女擬人化に関する事実が具体的にどのように経験されるかをもう少し踏み込んで考えたいと思っています。それには140字はあまりに少ないですし、そうしたコンテクストを持つ文章について初めて来るゲストさんにコメントを求めるのは申し訳ないとも思います。
ただし、1400字くらいあればある程度のことが書けるので、次に「きっとあなたの1400字」の企画があればまた参加したいと思います。


昨年開催を休止した理系集会のグループバナーを、今でも頭の上に表示しています。私は大抵これを墓標だと言っていますが、文芸系のコミュニティで話題のきっかけになりやすいという理由もあります。

フィッシュヘッドの皆さんとは今でもよくご一緒します。私は表現の自由(特に性表現・暴力表現の自由)の観点から、マイノリティ集団や世間一般の感性から外れた表現を擁護することに関心があり、そのためフィッシュヘッドについても時々記事を書くのですが(私自身の言語能力の訓練という意図もあります)、何を書いても当事者への押しつけにならないような微妙な立ち位置を維持したいと思っています。そのためフィッシュヘッド集会やその派生コンテンツの集会には参加しません。ただしフィッシュヘッドというコンテンツ自体が、「海棲生物の全形を頭にする」という当初のコンセプトに収まらなくなってきており、またコミュニティの構成員が新しいジャンルを作る例も出てきており、よってはっきりした輪郭を失いつつあることから(これは健全な成り行きだと思います)、私がフィッシュヘッドという枠組みで何かを書く意義はもはやあまりないとも思い始めています。

夢幻堂プロジェクトの集まりにも時々参加しています。開催日が日曜日から月曜日に変わったので参加する頻度は減りましたが、アングラカルチャーのお話を聞いたり、表現の自由や魔術実践や美少女コンテンツのお話に交じったりしています。


初対面の方には、集会以外で、かつ私のフレンドさんがそこにいれば「〇〇さんのフレンドのチエカといいます」と自己紹介します。私はフレンドというものを身元保証人のようなものだと思っていて、私自身が人とフレンドになるときも、その人を誰かに紹介するときに「どこどこで出会ったどういう人です」というのを私が大まかに言えることを基準とします。

私がどういう人かを初対面の方に説明する必要があるときには、最近では「VRSNSを題材にした小説を書いています」と言うことが多いです。状況によっては「オカルト、特に二十世紀のイギリスとフランスでユダヤやエジプトの古代の伝統をもとに再興された、いわゆる魔術に興味があります」と言うこともあります。

実績

ここでは普段していることではなく、そこからこの一年間で形になったことについて述べます。

商品

FM言ノ葉さんから超メタフェスに合わせて発行された、過去の「きっとあなたの1400字」の投稿作品から参加者が一人一作を収録する同人誌です。物理現実の会場での頒布ということで、私はメタバース滅亡後のお話である『Local mirror in the sky』を掲載していただきました。再販や通販・電子書籍での取り扱い予定は今のところないようです。


フレンドさんにお声掛けいただき、2025年1月19日の新春けもケットで同人誌として頒布していただいた小説です。成年向けです。noteには全文を掲載していますが、同人誌には挿絵とあとがきもつきました。再販や通販・電子書籍での取り扱い予定は今のところないようです。


オリジナル小説

言ノ葉ラジオの企画「第10回きっとあなたの1400字」に投稿した小説です。アバターに自分の様々な欲望を反映することが、自分自身の精神の奥底にある「他者の像の雛型」(ユングのいうアニマ及びアニムスと同じものですが、これを「理想の異性」と解釈するのは正確ではありません)を外在化することだという考えのもと、その「他者の像の雛型」を擬人化したものからの視点でアバター使用者を見たお話です。私は人間よりもむしろこれに近い存在なので、このお話に私が解説をつけるのはいっそう野暮だと思うのですが、「アバター(3Dモデル)の視点のお話ではない」ということは強調しておきたいと思います。これと同じテーマを、第7回の『Local mirror in the sky』でも扱いました。
言ノ葉ラジオの第184回放送(2024年10月29日)で紹介していただきました。


言ノ葉ラジオの企画「第9回きっとあなたの1400字」に投稿した小説『Visitor』の異なるバージョンです。元の『Visitor』に対して私のフレンドさんに頂いたコメントに沿って書き直してみたものです。その際のDiscordでのやり取りの抜粋を記事の末尾に載せています。私は原文の方が論理が単純な分テーマがストレートに伝わると思っていますが、文章の訓練としては有意義でした。ソーサツ・チエカは作品への感想を歓迎しています。


感想・評論・報告

書籍『VTuber学』の各章の感想です。私はVtuberのいくつかの側面のうち、自然人としては存在しないキャラクターを共同幻想として存在せしめる営みと、キャラクターを演じることが「中の人」の精神に及ぼす影響とに特に関心があるので、それらに関係する章を特に評価しました。しかし、「常に実践に遅れて」というタイトルでも表した通り、このような評論は必ず現場の実践の後追いになるため、先進的な事例を知るという点では私たちソーシャルVRユーザーがここから学ぶことは少ないと思います。それらをどう理論化するか、どう部外者に説明するかという段階では参考になるでしょう。


書籍『VTuberの哲学』の感想です。主に、コンテンツ発信者と消費者の相互作用が激しいネットの文化である以上Vtuberの定義は必ず循環的になること、著者がVtuberコミュニティのファン側の当事者としての立場を強く打ち出していることが研究の中立性を損なっているが現代文化の研究では中立であることが必ずしも正しいとは言えないこと、他の論者のVtuber論との関係、デビュー前の記憶の引き継ぎ事例に関連した私自身の生活実感、を中心に書きました。


書籍『メタバース進化論』が韓国で翻訳出版されたので、韓国の通販サイト「Yes24」を通じて個人輸入した経緯を記録したものです。韓国では日本以上にフィクションへの法規制が激しく、現実の男女の分断も進んでいると聞いていますので、「性別から離れた、真・善・美の象徴としての美少女」の概念が持ち込まれることは幾許かその状況を救うのではないかと思います。


第10回1400字の感想です。私の好きな作品を私以外から一つだけ選ぶなら『雪だるまは朝日を見ない』ですが、『久しぶり。』『ふたりの朝』も捨て難いです。


調査「メタバースでのアイデンティティ」の集計結果(https://note.com/nemchan_nel/n/n9a4ca9f667a2)の全項目にコメントをつけた上で、私自身の回答を部分的に公開した記事です。アイデンティティを題目に掲げた調査が行われ、アイデンティティという観点がメタバースで無視できないというメッセージが発せられること自体には意義があると思います。しかし、自由記述でも多くの回答は既に出回っているメタバース・アバター・美少女関連言説の語彙や思考回路を使って書かれるであろうこと、その結果回答の大多数を占めるに違いない「(その姿をとっているのは)単に見た目が好みだから」のより詳しい内実を分析しようとするとよほど注意しない限り中立性を損なうことから、集計結果に目新しいことはあまり期待しませんでした。

私の回答部分はかなり神経質な書き方をしていますが、これは一つには誤読を極力防ぐため、もう一つは美少女アバターを使う動機として考えられるものを可能な限り高い解像度で列挙して、次の調査の設計や議論の参考にしてほしいと考えるためです。それを通じて、社会の「欲望を語るための語彙」がより豊かになればと思っています。


バーチャル学会2024のポスター発表の予稿です。美少女場の量子論は、全ての情報が美少女擬人化可能であり、また全ての擬人化美少女が何らかの情報を本質とするという立場に立っていますが、このもとでは「ある情報が美少女擬人化されたという事実の美少女擬人化」というメタな美少女を無限に作り出すことができます。この事態を美少女ファインマン図のループ発散として定式化しました。しかし美少女場の量子論そのものの数学的基礎付けと周知とがなされない限り、これ以上各論に踏み込んだ議論を公の場で発表するのは時期尚早だとも思い始めています。


調査「メタバースでのアイデンティティ」の集計結果の全項目へのコメントと私自身の回答の一部を、英語訳したものです。美少女をめぐって日本で積み重ねられた議論を外国に輸出することは、表現の自由のために、そして人類全体の精神の進化のために急務だと思っています。


フィッシュヘッドコンテンツの展示会と称するFket 2024 winterは、スキー場のワールドに出展者の作ったオブジェを点在させる形をとっているのですが、その全体および一つ一つのオブジェへのコメントです。各オブジェについて、作者の方たちからは事前に解説などの情報を一切頂きませんでした。「絶滅した民族が残した遺構を後世の研究者が解説する」という体裁にし、その上で講演会会場からは否定的な反応が出ているとすることで、部外者の立場で好き勝手に論評しながらそれに真面目な強制力を持たせないようにしました。


2024年9月に開催された「ディビデュアル歌ってみたコンテスト」で、ピッチ+12のボイチェンとは思えないきれいな高音を出す方がいらっしゃったので、そのボイチェンがどういう処理をしているのかを推測しようとしたものです。ElastiquePitchV2というボイチェンのデモ版をプラグインとして使い、Studio One上でいくつかの設定で私の声に適用してみました。現時点での結論としては、基本的にはTD-PSOLA方式をとっており、音声の波形を細かく切り出して周波数フィルターをかける部分で独自の処理をしているのではないかと考えています。


Redditに「VRChatで日本人の友達を作りたければ、まず西洋のミームアバターではなくBOOTHの美少女アバターを使え」という英語の投稿があり、それを補足するために書いたものです。元の投稿では、なぜ日本人が美少女アバターを好むのかということは説明されておらず、その説明こそが日本人のメンタリティを理解するための核心だと思いましたので、美少女は女性ではなく可能性や願望の象徴だということを中心に書きました。
なお、元のRedditの投稿はtwitterで広まって間もなく削除されました。


2024年4月14日にNHKで放送された番組「最深日本研究〜外国人博士の目〜」のアフタートークの配信で、ノラネコPさんが「のらちゃんがリスナーにガチ恋を許可した配信」のお話をされていたので、実際のその回のアーカイブを観た感想です。このシーンでののらきゃっとさんの一連の反応自体にある種の神々しさがあるのですが、その末ののらきゃっとさんの決断も、恋愛感情を向けるというフィクション的な営みと同意というリアル性を行使する行為とのバランスをうまくとり、フィクションのままでリアルな存在感を持つというご自身のコンセプトを強めていると思います。


アニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の各話の感想です。この時点で私はガンダムシリーズを一切観たことがなく、その立場からすればGQuuuuuuXは100点満点中の55点なのですが、「これに120点をつけるにはどういう見方をすればいいかがはっきり分かっている」という奇妙な作品でした。


GQuuuuuuXを観た後、いわゆるファーストガンダムを一気見しての感想です。終盤のニュータイプ描写はかなり私の好みでした。2025年8月31日現在、私はファーストガンダム・劇場版三部作・Zガンダムを観終わり、ガンダムZZを第6話まで観たところです。


Vket 2025 summerに出展されていたフィッシュヘッドのブースを勝手に解説したものです。サーキットがモチーフのワールドに展示されているので、見かけ上は車なのですが、フィッシュヘッドの歴史やコミュニティの現在の状況を踏まえれば、むしろ船と見るべきだと思っています。


イベント登壇など

一日目のD1ブロック(応用数理)で「美少女場の量子論3―くりこみによる無限擬人化問題の解決」をポスター発表しました。


ワールド

https://x.com/chieka_quantizd/status/1907740019202355355

初めて公開したワールドですが、このワールドのことはあまり解説したくありません。出来に不満があるからではなく、このワールドについて何を語ることが私に許されているのか分からないからです。皆さんご自身で見ていただきたいと思います。

2024年8月から作り始め、少数の家電を除くほとんどのオブジェクトを私自身がBlenderでモデリングしました。アバターと同じく、このワールドは可能な限り私自身を素材として作られるべきだと思ったからです。インスタンスの上限人数は2人で、これは落ち着いてじっくり見ていただきたいから、また私が誰かとお話するのに一番快適なのが一対一だからです。2025年6月15日にはQuestにも対応しました。

このワールドを作ることは、そのまま私たちの記憶やそこに紐づいた感情の中へ降りていくことであり、このワールドにVRで入ることは私自身をあたかも他者のように距離を隔てて見ることです。その意味でこのワールドは私のVRChat生活とコンセプトを共有しており、また作ることも入ることも魔術実践となります。「人の内面を空間として表現し、内側から体験してもらう」という点ではVRワールドの有意義な使い方の一つだと思います。


動画

  • 【歌ってみた】ディビデュアル -分人新生-【ソーサツ・チエカ in VRChat】 https://youtu.be/koWDZyojRIg 2024年9月19日

2024年9月に開催された「ディビデュアル歌ってみたコンテスト」に投稿したものです。ワールドは練習用に作った「Structure - Chieka Athanor」ですが、公開していません。AvatarNPCシステムを除いて、後に作った「チエカの記憶」の一部になっています。自分のアバターをNPCとして設置し、自分があたかも他者であるような感覚(デフォルトの動きがぎこちないため十分な感覚ではありませんが)を楽しむことは、AvatarNPCシステムの有意義な使い方の一つだと思います。


  • ElastiquePitchV2はなぜピッチ+12でもケロらないのか、またはVoicing機能は何をしているのか https://youtu.be/P5dy7EIa1CA 2024年12月22日

2024年9月に開催された「ディビデュアル歌ってみたコンテスト」を受けて、参加者の一人のボイチェンについて考えてみたものです。


ゲーム「School Days」の「鮮血の結末」エンドのエンディングテーマ、及び同名のアニメの最終話の挿入歌です。動画で使用した画像の構図はアニメに準拠しました。


二次創作・ファンアート

私が応援しているVtuberさんの活動七周年記念配信に寄せて作ったファンアートです。和紙のちぎり絵ですが、記事ではその後に『火の鳥』のパロディが続きます。


私が応援しているVtuberさんのYoutubeでのライブ配信のアーカイブから、私が特に気に入っている五本をコメントつきで紹介したものです。


私が応援しているVtuberさんのYoutubeでの動画から、私が特に気に入っている五本をコメントつきで紹介したものです。


この一年の雑感

VRできれいなワールドを見られるとか、距離の制約を受けずに色々な方と知り合えるといった楽しみは、二年前に比べればあまり感じなくなりました。これは新鮮でなくなったというより、私が元々それらを重視していなかったのが慣れによって浮かび上がってきたのでしょう。その転機は「チエカの記憶」のワールドを公開した頃にあり、新しく知り合いを増やすよりも今のフレンドさんに私のことをもっと知ってもらうことへと関心の比重が傾いたこと、自分の空間的な拠点ができて根無し草のような感じが薄れたこと、ワールド制作と販売アバター改変を通じて技術的なブラックボックスが大きく減ったことなどが影響していると思います。

これを「VRChat倦怠期」と呼ぶことはできると思いますが、むしろそうなって初めて「バーチャル空間で生活する」ことの本番が始まるのではないかとも思います。当初の目新しさの興奮が削ぎ落された後にこそ、ここが世界でありバーチャル存在が存在であるという当たり前のことと、そこにVRという技術やバーチャルという文化がもたらす本質的な新しさが意味を持ってくるはずです。

思えば私はいつも「自分の精神に手を加えること」に最大の関心があり、VRChatではそれを「内なる他者との接触」「主体と客体の転倒」という形で実現しようと試行錯誤しています。私が今日までVRChatを続けているのは、ソーサツ・チエカとしてここに顕現すること自体が私の目的であり、「楽しければ続け、楽しくなければやめる」という考え方を最初からとっていないからです。今感じている楽しみも、動いたり声を出したり人から認知されたりすることによって私が強まっていくことの一点だけが残っています。加えて言えば、私のふるまいや作品が時々褒めてもらえたり喜ばれたりするののも嬉しく思います。

フレンドさんが長期間ログインしなくなったり常にPrivate欄にいるようになったりするのは、この一年でもありましたが、大きく増えてはいません。日常的にログインされている方の場合、一年目から二年目の間にプレイスタイルの変化しやすいポイントの一つがあるようです。オフ会などによって縁を保つことのできない身がこういうときには悔やまれますが、仕方ありません。


以上が私がVRChat三年目を通して感じたことの記録です。これまでVRで出会った皆さん、これから出会う皆さん、次の一年もどうぞよろしくお願いいたします。


〈以上〉


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