外為特会の基礎⑰:財務省と日銀が保有する金(ゴールド)

前回、外貨準備について議論しましたが、前回の外貨準備に関する発展的な話題です。
外為特会の基礎⑯:外貨準備の定義|服部孝洋(東京大学)

下記に記載されているとおり、外貨準備には金(ゴールド)も含まれます。下記をみると、104,045百万ドルなので、概算のため、1ドル=150円とすると、ざっくり16兆円の金をもっていることがわかります。

ちなみに、財務省がどれくらい金をもっているかは特別会計ガイドブックから概算できます。下記の通りですが、おおよそ1兆弱です。金の時価は上がっているので、現在ではずっと大きな値ですが、外貨準備の金の大部分は、日銀が持っているということが類推されます。

日銀が大部分の金をもっているということは、国会答弁でも追えます。少し長いですが、引用しておきます。

末松委員 では、次に、日本国の金の保有問題に移ります。
まず、財務省と日銀の金の保有について。大体、日本として何トンぐらい持っているのか。今、外為勘定の方で七百六十五トンというのが出ているわけですけれども、この内訳はどうなっているんですか。
武内政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、外貨準備における金の合計額でございますけれども、これにつきましては、毎月発表してございます外貨準備等の状況に記されておるとおり、平成三十一年の一月末時点で、金額にして約三百二十六億ドル、重量にしまして約七百六十五トンでございます。
そのうち、外為特会、財務省で持っている分については幾らかという御質問でございましたけれども、特別会計の資産及び負債の状況等の財務情報を開示することを目的といたしました特別会計財務書類をベースに計算しますと、平成二十九年度末時点の保有量は約三十五トンでございます。
末松委員 日銀はどうですか。
黒田参考人 ただいま答えがありましたように、我が国の外貨準備に計上されている金は七百六十五トンでありまして、そのうち、日本銀行が保有するのが約七百三十トンということで、残りの三十五トン程度が財務省の保有ということでございます。

第198回国会 財務金融委員会 第4号(平成31年2月27日(水曜日))

このように、日銀が持っているゴールドは730トンであるのに対して、財務省は35トンであるということがわかります。

さらに、この国会答弁をみると、財務省および日銀が有する金はほぼニューヨークにあるということもわかります。

末松委員 これはなかなか実際に数字が明らかにならなくて、いろいろな推量が飛んでいたわけですけれども、そういう形で一応しっかりと数字を言っていただいて、そこは評価をいたします。
この金はどこに保管されているんですか。
武内政府参考人 財務省の外為特会が保有する金につきましてでございますけれども、ニューヨーク連邦準備銀行において保管されてございます。
末松委員 日銀はどうですか。
内田参考人 お答え申し上げます。
 日本銀行が保有する金の過半につきましては、同じくニューヨーク連銀に寄託をしております。残りは日本銀行自身が保管しておりますほか、ごく少額でございますが、イングランド銀行及び国際決済銀行に寄託している分もございます。

第198回国会 財務金融委員会 第4号(平成31年2月27日(水曜日))


日銀は「営業毎旬報告」などでBSを適時開示しているのですが、これは簿価である点に注意してください(金の価格がかなり小さな値になっています)。

営業毎旬報告(10月20日現在) : 日本銀行 Bank of Japan

また、下記の記事にもありますが、日銀が金をもつのは、1942年まで金と日銀券を交換(兌換)できる仕組みをとっていたからです。日銀の金保有については別の機会でもう少し記載しようと思います。
最高値でも売らない日銀の金、ニューヨークに眠る - 日本経済新聞

なお、棚瀬本をみると、第3章5節に、外貨準備がありますが、「外貨準備における金投資」という項目を設けており、参考になります。そこでは日本というより、例えば、どこの国も金を外貨準備で保有しているなど、国際比較でみた外貨準備について議論がなされています。

これまでのメモ
外為特会の基礎①:外為特会のBSと為替介入|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎②:運用の概要|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎③:外国為替資金証券(為券)について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎④:日本には非不胎化介入は存在しない?|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑤:為替介入規模の推定|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑥:外貨準備と外為特会の違い|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑦:国債整理基金特会との関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑧:IMFとの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑨:外為特会が有する外貨資産の活用とチェンマイ・イニシアティブ|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑩:為替介入と民間銀行のBSの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑪:為替介入や特会の運用に関する財務省の体制|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑫:外為特会改革と外為特会の積立金制度について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑬:積立金制度廃止とFBの償還(外為特会改革について)|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑭:外為特会における適切な剰余金(30%ルール)とリスク管理(VaR)の考え方|服部孝洋(東京大学)
外為特会の基礎⑮:2022年の円買い為替介入と不胎化介入について|服部孝洋(東京大学)
外為特会の基礎⑯:外貨準備の定義|服部孝洋(東京大学)

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