創作大賞2026年 エッセイ部門を全応募者チェックして中間選考作を予想する(7001~8000)
・詳しいことはここを参照。
・7001~8000という数字はたおたお様の作者様&作品一覧【エッセイ部門⑤および⑥】に対応しますが、僕がチェックしたときより大幅に増えています。ていうか正直言ってかなり対応してません。漏れは7/8の締め切り後にチェックします。
・まずはざっくり選ぶ。最終的には100作に絞ります。
・ユーザーID順です。
106.駐在夫1年目の『生きててよかった10個の事柄』 むー 様
奥さんのアメリカ駐在に伴い、会社を退職して主夫になった筆者が綴った10の事柄。「生きててよかった10の事柄」とは今はなきラジオ番組の名物企画のことで、本来はそれに出すはずだったメールを番組に宛てるという形で書いている。
悩みや迷いもありつつも前向きに進んでいく姿勢が読んでて気持ちいい。現在アメリカ在住なので、海外事情ものとしても読める。中にはアメリカの床屋に行って散髪してもらうという、こっちがハラハラするような内容のエッセイもあって、非常に面白い(ちなみにチップ込みで40ドルほどという意外な値段だった。インフレ下の米だから、もっとするのかと思った)。その他のエッセイも過不足なく充実した内容のエッセイばかりで、読みごたえがある。
107.我が家の一大事。 おまつ | 子育てと愛着のnote。 様
児童養護施設で住み込みで働く筆者の体験談。応募作ではないが【愛着支援の説明書 総集編】などを読むと、ちゃんとした理論や実践に基づく経験があって「子育て」をしてると分かる。(いつかは手放す前提で)主導権を握る、傾聴は後手、先手で相手の気持ちを代弁するのが大事など、実践的な手法が書かれていて、なるほどと感心することしきりだった。
筆者も別のエッセイでは「戦場」と言ってるように、とんでもなく大変なんだろうなと思う。それだけに子供が無事に巣立ってくれた時の感動はひとしおなのだろうが、それにしても普通の人にはできない仕事で(離職率が高いらしいが当然だ)、頭が下がるとしか言いようがない。
108."13年間乗降者ゼロ"の駅で降りて旅をしてみた おさつ 様
秘境駅の旅行記。文章だけでなく素敵な写真も載っている。
他にもスマホもデジカメも持たずフィルムカメラを持って旅をするシリーズとか、日本一ショボいゲストハウスに泊まるとか、24時間の除雪バイトをするとか、紋別市のオカマバーとか、興味深い記事が満載である。旅行系のnoterとしてトップクラスの人だろう。そりゃフォロワー数も多いわと思う。
109.ミネストローネの家訓 大塚ぐみ 様
取りあえずこの作品を選んだが、他の応募作品も文章が巧みでちゃんと自分が体験したことを書いていて言うことがない。身の回りのドラマチックではない、つまり日常的な出来事を高品質な作品に仕上げられる地に足のついたタイプのエッセイストだ。
110.全てを失い、ミャンマーで坊主になった銀行員が、社会に戻ってたどり着いた場所『本業は自分』 まさき|本業は自分 様
紆余曲折を経て金沢でゲストハウスを経営してる筆者のこれまでの人生を語った自伝的エッセイ。
人生に迷った筆者が会いに行ったセアロ師という人が漫画に出てきそうな「師匠」で、仏教だとかキリスト教だとかそういう宗教の垣根を超えた人間力がある実に魅力的な人物だ(ちなみに日本人)。この人に出会えたのが筆者にとっては大きな幸運だったのだろうが、向こうから会いに来てくれたのではない。筆者が自ら動いてつかんだ幸運であって、そう、この方は実に行動力のある人なのだ。それで失敗する面も当然あるだろうが(借金もしたわけだし)、結局のところ局面を打開するのは行動するしかないという真実を教えてくれる。
今悩んでいる方や「人生いろいろなんだなぁ」と実感したい人におすすめのエッセイである。
111.「同じような服ばっかり」は、良い意味でクローゼットの最終形態かもしれない話 エミッコ/いいものを長く着たい服バカ 様
過去の中間選考を見るにファッション関係は外せないのではないかと思う。ファッション関係に全く疎い僕ではあるが、「同じような服」というネガティブな言葉が反転するタイトルに興味を惹かれた。
子供連れで再婚した著者の、夫との関りを描くエッセイ。
家族写真撮ろうよという著者の提案を夫は拒絶する。自分たちの都合で子供たちは引っ越しや転校を余儀なくされた。この結婚は悲しい出来事で、だからお祝いはできないと言うのである。これには唸ってしまった。まぁこの発言には賛否あるだろう。実際には子供たちがどう考えているのかは分からないからだ。意外と何の葛藤もなく「別にいいじゃん写真くらい。撮りなよ」と答えるかも知れない。しかし、こうした物の見方ができるということが重要なのだ。正直僕も読んでて少しショックを受けてしまった。僕なら「お、いいじゃん」とか軽く返したに違いないから。
その他にもこの旦那さん、書くことにチャレンジしたいという著者に対して無条件で後押ししたり、どうして信じてくれるのかと問う筆者に「信じる以外の選択肢なんてある?」と答えたりとか、はっきり言ってめちゃくちゃいい人なのだ。原哲夫の漫画に出てきそうな「いい漢」なのである。そして著者もヒネたり冷笑したり疑ったりするのではなくストレートに感謝して感動するので、結局のところお似合いのいい夫婦なのだろう。
リズミカルに短文を畳みかけるスタイルの文章には疾走感とある種異様な迫力があって、独特の魅力がある。
育児に燃えていた完璧な妻が自律神経失調症になったことがきっかけで、著者が夫として反省しつつ成長していく姿を描いたエッセイ。病気がらみであり、割と深刻な話ではあるもののユーモアを交えた語り口、かつハッピーエンドなのですっきりと後味がいい。奮闘する著者、女性から見ればどうなのか分かりませんが、男からしたら中々ここまでできませんよ。
上のエッセイに続いて、奇しくもいい旦那さんが続いた。面白いことに結構似た内容が続いたりするんだよね。
プロフィールに2024年2025年落選とあるが、さすがにこの作品は最低でも中間は通る。もし落選したら「どうしろって言うんだよ!」と絶望して(?)頭をかきむしるに違いない。そのぐらい渾身の力作だと思う。
と、ここまで書き、他の記事を読んで知ったのだが、この作品は2025年に応募して落選しているのである。うおおおおおおおおおい!! 上に書いた文、台無しやろがい! いやいや嘘だろ。これ中間選考落ちる/落とすのかよ……。運営ちゃんと読んでる? (目の前で手を振りながら)ちゃーんーとーよーみーまーしーたーかー? いやまぁひょっとしたら去年よりだいぶブラッシュアップしてるのかも知れないけども。はぁ~納得いかねえ、って一番納得してないのは著者か。なんか自信なくなってきた。
と、またここまで書いてふと思いついたのだがひょっとしたら「ジャンル被り」で落とされたのではないか。去年はフジワランドさんの 『ねぇ、先に死んでよね』という妻 が中間選考を通っていて、この作品と「夫婦もの」として競合してしまったのではないかと思う。運営はジャンルを意識してると考えれば、ごにょごにょな作品が中間を通ってる理由も腑に落ちる。
「理系特化型のファイナンシャルプランナーを気取ってみることにした」
筆者が「理系の新郎新婦の挨拶を学会発表風に」したネタ的エッセイ。
こういう真面目にふざけるのは大好きだが、エッセイ部門というよりオールジャンル部門だと思うのでおまけにした。
