また劇団チリに出るぞ!劇団チリにおける即興および大喜利の考え方について
また劇団チリに出ます。
今年に入って3回目となる劇団チリ。
今回は即興穴の穴。
タイトルの意味はよくわかってないですが、今回もオモシロ即興をぶちかまします。立川に是非お越しくださいませ。
主催のアンさんによる公演概要ブログ。
劇団チリとは何ぞや?というのは自分もちょこちょこ記事で紹介してるのでそちらも見てください。
今回の公演は
①11:30〜「即興穴の穴・昼の回」
②15:00〜「即興Labo ver.2」
③18:00〜「即興穴の穴・夜の回」
とあって、
自分は①昼の回と②即興Laboに出ます。
①は色んなルールに基づいて即興をやる、過去2回出演した時と同じテイストの公演。
②は今までとは少し趣向の違う、長尺の即興をやる公演。
どちらも面白いので、是非どっちも観てみてください。

予約はコチラ。
即興といっても、何でもかんでもフリーダム、役者は好き勝手やりたい放題テキトーに喋り散らかしてる訳ではございません。勿論、全く台本などはなくゼロからその場で始めるので、そういう意味ではフリーダムではありますが、全くの自由だと何から始めたら良いか分からなくなるもので、ある程度の考え方のようなものはあります。
今回で3回目の参加となりますので、即興のやり方、特に劇団チリにおける即興のやり方というのは大分わかってきました。この考え方は役者として参加する上でも知っておいて損はないですし、観客として観る側も役者が何を考えて動いているのか何となく分かってくるので、知っておくと劇団チリの楽しみ方がより深まるかと思います。
即興で役者が何を目指して動くかと言ったら“面白いお芝居”を作ることです。じゃあ、その“面白いお芝居”とは何なのか。
以前、劇団チリとは別の即興の稽古会に参加したことがありまして、そこでチリではやらない【フリー漫才】という形式の即興をやりました。これはその名の通り、2人で出てきて即興で漫才をやってみるというものです。これも特に正解はないので、やる人は指名されて、とりあえずやってみようとなりました。私の相方となる人はその日が初対面でほとんど何も情報はなく、知っていることは最初の自己紹介で聞いた「役者以外に普段は教師もやっている」ということだけでした。全くゼロの状態からしゃべくり漫才は出来る気がしなかったので、私はその時ハマッていたランジャタイの漫才をイメージしてやってみることにしました。始めてみて、相手が名前と教師をやっているということを言ったあたりで、「おかしい、ここは役者が集まって即興をやる場なのに、何で教師がいるんだ?さてはお前、教師じゃないな?」と私は訝しみ、「いや教師だけど、役者でもあるの!」と相手はツッコみ、「でもここに役者でもないのに、まんまと紛れ込むことができてるのは、逆に真の役者なのかも知れない!」と私、「いや嬉しいけど、そうじゃなくて、役者でもあるの!」とツッコミ、という何の中身もないやりとりを延々やるだけで5分間の漫才が終わりました。凄く盛り上がったので【フリー漫才】の一つの成功例ではありましたが、劇団チリでの面白みとは違うものでした。
また、去年行われていた劇団チリの公演を観客として観に行った時、森田ガンツさんと本井博之さんがセットで出る時がありました。この二人が趣味の音楽について延々とダラダラ話すだけの時間がありまして、話の内容も興味深いし、何より2人の空気感が最高なので、ずっと観てられました。何をダラダラやってるんだよジジイ!と櫻井智也さんが怒鳴り込んで入ってくるのを含めて最高でした。ですが、これも劇団チリの面白みとはまた少し違います。ダラダラ喋るのが面白いのであれば、もうフリートークで良いのです。ガンツさんと本井さんだから許される反則のようなものです。面白ければ何でも良いという意味では勿論アリですが。
劇団チリにおける面白みとは物語です。
即興なのに物語が生まれてるぅ〜!というのが劇団チリにおける即興の面白みであり凄みとなります。
そして、ここでいう物語というのは、巧妙な伏線回収だとか、大どんでん返しがラストに起こるとか、そんな難しいことではありません。もちろん、奇跡的に諸々の要素がハマッて結果そうなることもありますが、最初からそれを狙っていてもそうそう上手くはいきません。そんな難しいことを狙うのではなく、劇団チリで役者がやるべきことは、お互いの関係性を作ることです。
先に例として挙げたランジャタイ風自己紹介漫才やガンツ本井のダラダラお喋りは、その場に出ていた役者の波長や空気感がたまたま合ったという偶然の産物なので、劇団チリの目指すところとはズレてしまいます。基本的に劇団チリに出演する役者はお互いの関係性に影響を与えられるものは何か、ということを考えて動きます。【動き出す関係性=物語】で、この【関係性に揺らぎを与えること=劇団チリにおける面白み】です。
どうしても面白いことを考えようとすると誰とも被らない斬新なアイデアを出そうとしてしまいがちですが、そんなものは早々思いつきません。むしろ思いついたなら、ベタでも良いから出していくというのが大事です。目的が分かりやすい登場人物が現れれば、次に登場するのはその目的を邪魔する人物、応援する人物、とその後に出てくる人のやるべきことも決まってきます。また分かりやすい方が観客も次の展開を想像しやすいので、次はどっちに転がるんだ、という期待感も生まれます。その期待感にどう応えるか、というのも役者の腕の見せどころとなってくるでしょう。
劇団チリでは妖精や妖怪などのファンタジー設定がハマりづらい傾向があるのですが、その理由も何となく分かる気がします。
ファンタジー設定は何でもアリ過ぎて次の展開が想像しづらく、次の一手を出しにくい。また、関係性を他の方向に結びづらい。例えば、主人公にしか見えない妖精としてしまうと、主人公以外と妖精は関係性を作れなくなってしまうし、精霊の言うことを聞かないと世界が滅んでしまうという設定だと、主人公にとって精霊が絶対的すぎて他が影響を与えづらくなってしまいます。
でもファンタジー設定が絶対ナシという訳ではありません。上の設定でも、世界の滅亡or仕事がクビになる、の葛藤に主人公が悩むように持っていけば面白くなりそうです。要は次の展開が読みやすく、尚且つどっちに転ぶか分からない方向を提示することが大事、ということです。
この【提示する】ということも劇団チリにおいてはめっちゃ重要だと思います。設定はベタで良いと思っていても、全然思い浮かばない時もあります。だからと言って、いつまでも出ないでいると時間ばかりが経過して、ハードルがグングン上がり、何をやっても手遅れとなってしまいます。その時は「何も思いついてないけど、出なきゃいけないタイミングだから出た」という感じを提示しながら何かやりましょう。一気に周りがどうにかしなきゃという空気になります。
関係性の揺らぎ=劇団チリの面白みとしましたが、この関係性は劇中の登場人物たちに限りません。舞台上にいるのは生身の役者ですから、その役者たち自身がどう動くかも観客は観ています。登場人物の葛藤が舞台上の揺れ動きとして面白いように、役者自身の葛藤も同じぐらい面白いものです。そのため、スベる時は思い切ってスベりましょう。勿論、役者はダメージは受けますが、その様子も観客にとっては面白いはずです。ダメージを受けたくない人は死ぬ気でアイデアを出せるように訓練しましょう。
最近、大喜利を始めてみました。
演劇人大喜利会というものがあって、劇団チリの即興にも大喜利的な要素はあるなと思って参加してみたのがキッカケで、そこからちょこちょこ大喜利にも参加してみてます。知らなかったのですが、大喜利をやる界隈というものが存在するのです。私は秋葉原にある大喜利カフェ・ボケルバというところで大喜利に参加しています。といっても、まだ2回ぐらいしかやってないですが。まあでも、その2回だけの経験でも、発想を飛ばすことに関して考えることはあって。
大喜利ではお題に対して、近いところから考えて徐々に発想を遠くに飛ばしていくという感覚があります。あまりに発想がストレートすぎると予想通りすぎてウケないけれど、かといって飛ばしすぎるとイメージが出来なくてそれもウケない。お題を言われて最初に思い浮かぶ発想を少しだけ捻ったものを回答として出して、回答を重ねる中で捻りの角度を強くしていくような感覚です。
いくら面白い回答でも、観客に伝わらないとウケません。ウケる回答は観客のイメージの少し先ぐらいの発想がちょうど良いです。そして、観客のイメージ力というのも、回答が次々出されていく中で上がっていきます。回答する側もやりながら発想するための脳の回転が上がっていくのですが、観ている側もそれに合わせて回転が上がっていくのを肌で感じます。お題というものが中心にあって、最初はベタに近い回答を出していたのが、回答者や観客の回転数が上がっていくに連れて、同心円のように発想の距離が遠くに広がっていくのです。回転の渦が回れば回るほど、広がりの回転が早くなればなるほど、会場の空気も熱を持ち出して、盛り上がりのうねりが生まれます。こうなってくると、ショー体験として回答者も観客も楽しかった!というものになります。
即興における発想の段階の作り方というのもこれに似ていて、ベタで良いというのは基本ですが、観客の想像の回転数が上がってきたことを感じたら少し飛ばした発想をしても良いのだと思います。
まあ、この兼ね合いは本当に感覚的なもので、その場の空気に100%照準を合わせるというのも難しいです。また、ここまで書いておいてナンですが、ほぼほぼ上手くいくパターンというものも稽古を重ねていくと何となくわかってくるもので、そうなってくると逆にそれをやりたくなってくる心境もあるもので、ベタをやりゃあ良い場面で敢えて外してスベったりもします。そもそも、この考え方云々も一つの方法論に過ぎないので、全部無視して感覚的にやってる人もいるだろうし、他の人がやっても面白くないけどこの人なら何をやっても許される、みたいな場合もあります。
そういう色んな要素を引っくるめて役者は一丸となって面白い即興を提供しようと頑張ってますので、楽しんで頂ければ幸いです。
立川は遠いですが、それだけの価値はあるものを提供します。
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