2024/25シーズン、ドイツ・ブンデスリーガ!5つの注目クラブの今季ここまでを振り返る。 FOKUS Bundesliga!!! #57
前書き

第29節が終了し、2024/25シーズンのブンデスリーガも残すところあと5試合となった。各クラブの明暗が現れてきたなかで、順位の攻防はいまだに続いている。とくに6位SCフライブルクから12位VfLヴォルフスブルクまでの勝ち点差はわずか7と、中位層はいつ順位が入れ替わってもおかしくない状態だ。
本テキストでは、ブンデスリーガ18クラブのなかでも、とくに個人的に注目する5クラブに着目して紹介する。また、そのクラブの残り5試合のキーマンとなる選手をピックアップし、どのような活躍が期待されるかを詳細に述べていく。
Ⅰ. FCバイエルン・ミュンヘン

「マイスター・シャーレの奪還」を至上命題とした今季のバイエルンにおいて、ヴァンサン・コンパニ監督は完璧な仕事ぶりをみせた。前シーズン燻っていた選手たちを復活へと導き、より攻撃的で、ポジショナルプレーに類するスタイルをチームに植え付けた。相手選手全員を敵陣に押し込んでしまう戦い方は異様にすら感じられるほどだ。
何より素晴らしいのは、最大の難敵バイエル・レヴァークーゼンを完全に打ち破ったことだろう。リーグ戦の2試合では苦しめられたものの、チャンピオンズリーグのベスト16の対戦ではホームとアウェーの両方で完封勝利を挙げた。コンパニ監督率いるバイエルンのMVPを挙げるなら、ヨズア・キミッヒ。契約延長を果たした同選手は展開力を武器に躍動し、守備面でも高いアスリート能力を披露した。
PICK UP選手!:マイケル・オリーセ
バイエルンにとって、今季のリーグ戦残り5試合におけるキーマンはオリーセ以外にいない。特別な左足の持ち主である同選手は、精度の高いキックとカットインを織り交ぜたドリブルを武器に活躍。とくに第28節ボルシア・ドルトムントとの「デア・クラシカー」では、精密なトラップとドリブルで何度も好機を演出した。彼がどれだけ活躍できるかが、バイエルンのシーズン残りの試合の成否を分けるだろう。
Ⅱ. アイントラハト・フランクフルト

今季のフランクフルトが成し遂げた成功は驚異的だ。才能ある若手選手を獲得し、欧州屈指のタレントにまで育て上げたうえで、極めて組織的なサッカーを展開したのだ。中心人物はSDのマルクス・クレーシェ。ウーゴ・エキティケなどの才能ある若手選手を説得して連れてくるスカウティング面、新進気鋭の指導者ディノ・トップメラーを監督に据えて選手たちのマネジメントを託す決断力など、多方面で活躍した。
何より素晴らしいのは、前半戦だけで15ゴール9アシストを記録したオマル・マルムシュがシーズン途中に引き抜かれたにも関わらず、ジャン・ウズンやジャン=マテオ・バホヤなどの才能ある選手たちがその穴を埋めたことだ。ヨーロッパリーグでもAFCアヤックスに圧勝するなど、勢いに乗っているフランクフルト。バイエルン、レヴァークーゼンに次ぐ3位の位置を守り切ることができるのか注目したい。
PICK UP選手!:カウアン・サントス
今季のフランクフルトは、数多くの若手選手がチームを支えた。なかでも重要な存在だったのが、ブラジル人GKカウーアだ。絶対的な守護神ケヴィン・トラップが負傷で離脱した穴を見事に埋め、チームの勝利に何度も貢献した。長い手足のリーチを活かしたセービングはもちろん、足元の技術を活かしたビルドアップも見事だった。将来が非常に楽しみな選手だ。
Ⅲ. FSVマインツ05

今シーズンの開幕前、リーグ戦第29節終了時点でマインツが5位につけると予想した人がどれほどいただろう。夏には、昨季の主力だったブラヤン・グルダ、レアンドロ・バレイロ、トム・クラウスが海外の裕福なクラブに引き抜かれ、守備の要だったセップ・ファン・デン・ベルフも獲得できなかった。加入したのはアルミンド・ジープ、佐野海舟、モーリッツ・イェンツなど、ブンデスリーガ1部での経験が未知数な選手ばかり。それにも関わらず、チームは躍進したのだ。
最大の立役者は、2024年の最優秀デンマーク人監督にも選出されたボ・ヘンリクセン監督。本職が2列目のアタッカーであるヨナタン・ブルカルトをCFに配置してカウンターの先鋒とし、3-4-3のフォーメーションを駆使して強烈なプレッシング戦術を展開。選手たちの潜在能力を引き出し、実力以上の戦いぶりをみせた。グルダの穴を埋めたパウル・ネーベル、中盤で躍動したナディーム・アミリも圧倒的な存在感を発揮した。
PICK UP選手!:モーリッツ・イェンツ
マインツの好調ぶりを支えるのは、たしかにブルカルトを中心とした前線の選手たちだ。しかしチームが敗れないのは守護神ロビン・ツェントナーを中心とした守備陣の活躍があってこそ。なかでも今季、イェンツは真の才能を開花させた。ビッグクラブを渡り歩いた、圧倒的な潜在能力の持ち主であるイェンツは、屈強な選手たちとの競り合いに何度も勝利。ともに3バックを組むドミニク・コーア、ダニー・ダ・コスタとは見事な連携をみせ、相手の攻撃を何度も封じ込めた。
Ⅳ. SCフライブルク

13シーズンに渡ってクラブを率いた名将クリスティアン・シュトライヒの引退に伴い、フライブルクはユリアン・シュスターを新監督に起用したが、その判断は正しかった。13勝6分10敗という結果も見事ながら、戦術面でもシュトライヒ時代の戦術をアップデートし、「ジレンマ」を克服したのだ。シュスター監督はチームの布陣を4-2-3-1に固定。左右のウイングであるヴィンチェンツォ・グリフォと堂安律を強調する戦い方で、より能動的かつ機能的な戦い方をチームに定着させた。
ルーカス・ヘーラーをトップ下に配置し、彼の運動量を活用して何度も好機を演出。パトリック・オスターハーゲとマクシミリアン・エッゲシュタインの中盤コンビも躍動し、ポゼッションしながら戦うスタイルを実現した。CFの新星チュクビケ・アダムがより得点を重ねられるようになれば、さらに上の順位を目指すことも可能だろう。今季残りの5試合に向けて、懸念点は無い。フライブルクの残りの試合に要注目だ。
PICK UP選手!:ノア・アトゥボル
今季のブンデスリーガにおける最優秀GKは、アトゥボル以外にあり得ない。不安定な部分が見え隠れした昨シーズンとは比べものにならないほどに成長したセービング能力、ボールを大事にするチームスタイルに貢献できるほどの足元の技術力は大きな武器なうえ、驚異の6試合連続PKストップを記録するなどゴール前で放つ存在感も絶大だ。
リーグ内では比肩するGKはいないといっても過言ではない。アトゥボルに期待したいのはサッカードイツ代表での活躍だ。クラブでは実力ある先達フロリアン・ミュラー、代表では同世代のヨナス・ウルビッヒと研鑽しつつ、さらに成長してほしい。今の好調ぶりを維持できれば、遠からずマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンと正位置を争える存在となるだろう。
Ⅴ. VfLボーフム

今季のブンデスリーガで降格争いを演じるクラブは、実質的に3つに絞られた。1.FCハイデンハイム、ホルシュタイン・キール、そしてVfLボーフムである。この3クラブのうち、残留の可能性のある16位に最も近い実力をもっているのは、ボーフムだろう。今季、絶不調のスタートを切ったボーフムの英断は、早々にペーター・ツァイドラーを更迭し、後任にディーター・ヘッキングを招聘したことだった。
ヘッキングは上位クラブと渡り合える戦い方をチームにもたらした。冬に加入したトム・クラウスとヨルゴス・マスラスのタレントを活かすカウンターが冴え渡ったうえ、可変式5バックを活かした安定した守備の確立にも成功。着実に勝ち点を獲得できるようになった。とくに第22節のドルトムント戦、第25節のバイエルン戦の2試合で勝利を飾り、勝ち点6を獲得したのは見事としか言い表しようがない。
PICK UP選手!:イヴァン・オルデツ
ヘッキングはボーフムに安定した守備をもたらした。布陣を5-3-2に固定し、フロントと対立したマヌエル・リーマンに代わる守護神にティモ・ホルンを指名して、ゴールマウスを守らせた。ただ、このヘッキングの成功はオルデツの存在なくしては成しえなかっただろう。オルデツは守備のリーダーとしてチームを支えた。ベルナルドとエルハン・マソビッチのカバー役として活躍したうえ、相手CFへの老獪な潰しも光った。ボーフムのシーズンの残り5試合の命運は、オルデツに掛かっているといっても過言ではない。
後書きに代えて

4月13日、ドイツ・ブンデスリーガを代表する大一番、FCバイエルン・ミュンヘン対ボルシア・ドルトムントの試合「デア・クラシカー」が行われた。私は試合を見るため、dining&bar ESTADIO 渋谷店で開催された観戦会に参加。白熱した試合展開、マクシミリアン・バイアーに先制されるもラファエル・ゲレイロ、セルジュ・ニャブリの得点で逆転したときの興奮を、同じバイエルンファンとわかち合えたことが本当に嬉しかった。
観戦会を主催してくださったのは、FCバイエルン・ミュンヘン公式ファンクラブ「Mia San Japan」。会を盛り上げる様々な企画が用意されていたうえ、試合中にも様々な盛り上げ方で、ファン体験を味わうことができた。今後も、このようなリアルな形で楽しめるブンデスリーガ体験が得られるような、そんな場が日本中で増えてほしいと、また自分自身もそういった場に携わっていきたいと心から感じられる機会だった。この会を主催してくれた「Mia San Japan」の運営の方々に心からの感謝を。
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